かみかわ陽子のラジオシェイク第12回オンエア(2)地域防災と原発事故検証記録

  3月25日にFM-Hiでオンエアの『かみかわ陽子ラジオシェイク』、続きをどうぞ。

 
 
 
 
 
(鈴木)静岡市は30数年前に東海地震説が発表されて以来、町内会を中心に自主防組織が活発に活動していると聞きますが・・・。
 
(上川)静岡県は全国トップの防災県として、東海地震に対する取り組みをしてきました。静岡市内の自主防災組織活動は活発で、連合自治会単位でも、さらに大きな町内では町内会単位で、毎年防災訓練や医療分野のトリアージの訓練をしてきました。私も、これまでに市内各地の防災訓練に参加、体験をしてきました。
3.11以降は、駿河区の海岸線や安倍・藁科川流域の地域では、地震時の津波対策が大きな課題になっています。被災地と違って、海岸線の地形上、発災後5分以内に津波がくるというシミュレーションも考えられますので、新たな対策が求められます。
 
(鈴木)ご近所同士のつきあいはいかがでしょうか?
 
 
(上川)日頃のご近所同士のつきあいは本当に大切です。ところが、地域の顔が違えば、防災の在り方も異なります。マニュアルどおりにはいかないのが現実です。  
 私の事務所は、静岡市葵区の七間町という中心市街地の商店街にあります。ご存知のとおり、七間町は、長年お洒落な商店や映画館のある街として親しまれてきました。お店とご自宅が同じところという方もいらっしゃれば、店のオーナーであっても住まいは別という方もおられます。私のように、事務所をお借りしている店子の立場で、住まいは静岡市の大谷という人間もいます。また最近は、マンションが立ち並び、新しい世帯が増えていますが、町内の繋がりは決して密ではないんです。
 
(鈴木)七間町は、生活スタイルが異なる住民が多いというわけですね。
 
(上川)そんな中、街の顔でもあった映画館の大半が移転・撤退してしまい、商店街としての勢いが急速に弱まってしまいました。それに伴い、空き店舗や空き事務所の数も増え、もともとの住民がぽつんぽつんと取り残されてしまった感じです。しかも、独り暮らしの高齢者世帯も少なくないんですね。こういう町の実態にあわせて、災害に耐え得る、安心安全に暮らせる地域計画をつくらねばなりません。

 (鈴木)課題があれば立ち上がる陽子さんとしては、何か行動を起こしているのでしょうか。

 (上川)七間町にお世話になって10数年になるんですが、昨年8月に、七間町町内会に特命委員会という新しい組織を立ち上げ、委員長に就任しました。検討事項の一つが「強い防災ネットづくりプロジェクト」です。
 毎月1回、町民出入り自由で、定例会を開き、中心市街地の町内における防災の在り方について、実践的検討をしています。まず、自分たちの地域の防災の実態を知る、防災活動に参加をする、防災に必要な施設・設備を点検する・・などなど、課題を明確にすることからスタートしました。
 初めは何をしているのかなと思われたでしょうけど、徐々に町内の参加者が増えてきました。2月17日は、第一回の防災講座を開催し、今後、第二回目防災講座では、DIG(デイッグ)、D(Disaster災害)、I(Imagination想像力)、G(Gameゲーム)、参加者が地図を使って防災対策を検討する訓練を体験することを計画しています。ご存知ですか?

(鈴木)いえ・・・シミュレーションゲームみたいなものですか?

(上川)そうですね。これまでのように、国や自治体の防災マニュアルを使って行動するという受け身ではなく、住民自らが積極的に街の実態にあった防災訓練をする、攻めの防災訓練が必要と考えています。それが、まさに自らの地域は自らで守る「自主防」の基本ではないでしょうか。

 
 


 
 

(鈴木)さて、原発事故から1年を経て、事故発生当時の初動態勢について、さまざまな検証がなされ、問題点もクローズアップされました。 2月28日には「福島原発事故独立検証委員会」、いわゆる民間事故調が「調査・検証報告書」をまとめて発表し、大きなニュースになりましたね。

(上川)あの報告書は、関係者300人余からのヒヤリングで構成され、「国民の視点からの検証」という意味でも価値があったと思います。一般書籍として販売もされましたね。
 それにひきかえ、政府では首相がトップを務めた原子力災害対策本部をはじめ、10もの関係会議が次から次へと設置されましたが、議事録が作成されず、確かな検証が不可能となりました。昨年3月から12月までつごう23回開かれた対策本部の議事概要というのが公表されましたが、毎回2ページ程度のおおざっぱな内容で、議事録とはいえないシロモノです。
 今回のような重大な対策会議の議事録を作成するということは、公文書管理法の制定に関わった初代公文書担当大臣としては当たり前のことなんですが、その基本がなされていなかったというのは非常な問題だと思いましたね。

(鈴木)議事録がなかったというニュースをみて、陽子さんが立法に奔走された公文書管理法のことを真っ先に思い出し、法律が活かされなかったのかなあと残念に思いました。

(上川)首相がトップを務める重要な会議で、記録がないというのはあってはならない話です。原発事故の当時国である日本政府のトップ会議の議事録が数十ページだったのに比べ、アメリカ政府の議事録は何と3千ページにも及びます。

(鈴木)えっ、この原発事故に関する会議だけで?

(上川)そうです。ホワイトハウスでは会議は徹底して記録し、相当の理由がない限り、記録の削除はできないのです。ニクソン大統領を失職に追い込んだウォーターゲート事件がそうでしょう。キッシンジャー元国務長官は、自分が行った電話外交の録音をすべて書き起こし、国立公文書館に渡したと回顧録で述べています。記録を残すことは、次の世代の人々に、正しい判断や決定をするための貴重な材料だという考えに基づいたわけです。

(鈴木)民間事故調の顕彰報告書では東京電力の調査協力が得られなかったということですが。

(上川)その意味では完全な検証とは言い切れず、後世に正しい判断材料を残せたうかわかりませんね。東京電力の方にも記録はあるはずです。
 議事録を残すのは必要最低限のことですし、重要な政策を決める際の、意思決定の過程を明確にするということが公文書管理法の大きな役割でもあります。このことを機に、公文書管理に対する意識が向上することを願ってやみません。
 社会の風土として、とりわけ政治の中で日常的に当たり前になっていくような時代になるよう、国民のみなさんのご理解や後押しが必要です。リスナーの皆さんもこのことにぜひ関心を持っていただきたいなと思います。
 
 

 
 
(鈴木)今日はラジオシェイク放送1周年を振り返って、やはり避けては通れなかった震災や原発事故のお話と、この未曽有の悲劇から得た教訓について考えてみました。

(上川)この番組自身が、自分の活動を振り返る検証のような存在だと感じました。ちょうど今、自分の活動報告集を編集しているところなんですが、前回の選挙で公約に掲げたことを、今日までどのように実践してきたか、きちんとまとめる予定です。落選はしましたが、私に一票を投じてくださった有権者の方々に対する義務だと思っています。ラジオシェイクで発言した言葉やメッセージも載せようと思っているんですよ。あらためて、言葉に対する責任というものを、ひしひしと実感しますね。

(鈴木)この1年の間に、リスナーの方からもいろいろ反響があったそうですね。

 
(上川)ラジオシェイクは、自分の生の声を直接リスナーの方に届けるという初めての体験でしたが、いわゆる政治家の演説口調ではなく、普段着の言葉でしゃべっているのがいいねって言われますね。嬉しかったのは、まったく面識のない一般リスナーの方から、「カーステレオで偶然聴いたら、とてもいいお話をされていて、上川さんという人のことを初めて理解できた。毎月欠かさず聴いています」ってお手紙をいただいたこと。ラジオを始めた甲斐があったなあって実感しました。ありがとうございました。

(鈴木)来月からのラジオシェイクですが、放送時間が変わるんですよね。

(上川)そうなんです。新年度からは、毎月第一・第三火曜日の夕方6時30分から7時までの放送になります。平日夕方の時間帯で、月2回のオンエアになります。次回は4月3日火曜日にお耳にかかれます。

(鈴木)新しいリスナーとの出会いも期待されますね。2年目のラジオシェイク、さらにパワーアップしてお届けします。

(上川)この1年間、第4日曜の朝におつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。放送日が変わっても引き続き、お聞きくださいますよう、よろしくお願いいたします。それでは、来月までごきげんよう。
 
 
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