4月3日オンエアの「かみかわ陽子ラジオシェイク」、トークの後半です。
(上川)犯罪被害者等基本法は、平成16年に出来た法律です。関わったきっかけは、衆議院議員の2期目に当選した直後の平成15年始めのことでした。当時、自民党では国民に身近な司法制度に改革しようということで、司法制度調査会の保岡興治会長から、「犯罪被害者への施策に関するプロジェクトチームの座長として提言をまとめてほしい」という要請を受けたんです。
保岡会長からは6か月後に中間報告を出すよう言われていました。立法の世界でいう「中間報告」とは、通常、ほぼ最終報告に近いものを意味します。つまり、一般的には中間報告段階における検討成果によって、基本法あるいは基本計画の大きな骨組みが決まるわけです。
中間報告までの短いプロセスがきわめて重要な意味を持つと考え、私は、被害者や支援団体の皆様にこの会議に積極的に参加していただくようお願いし、公開の場で議論を進めていくことを提案しました。
保岡会長ほか同僚議員のみなさんにも議論に参加していただき、基本法へ、さらには基本計画へと努力を積み重ねました。無事、中間報告の成果を当時の小泉総理に提示することができ、その結果、直ちに基本法を作るよう総理から指示をいただきました。小泉総理はこの問題に大変強く関心を持ってくださっていました。6か月後の平成16年12月、議員立法で犯罪被害者等基本法という画期的な法律を制定することができました。
もとより、犯罪等による被害について第一義的責任を負うのは、加害者である。しかしながら、犯罪等を抑止し、安全で安心して暮らせる社会の実現を図る責務を有する我々もまた、犯罪被害者等の声に耳を傾けなければならない。
国民の誰もが犯罪被害者等となる可能性が高まっている今こそ、犯罪被害者等の視点に立った施策を講じ、その権利利益の保護が図られる社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。
ここに、犯罪被害者等のための施策の基本理念を明らかにしてその方向を示し、国、地方公共団体及びその他の関係機関並びに民間の団体等の連携の下、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。』
(鈴木)どういうことですか?
この表現が基本法に盛り込まれたことで、基本法が犯罪被害者のみなさんを単に「支援」の対象とする法律ではないこと、犯罪被害者の正当な「権利」を擁護するための法律であることを明確にできたのです。憲法には犯罪被害者のみなさんの権利は盛り込まれておりませんので、これが憲法に代わるものだと思っています。
(鈴木)支援することから、権利を保障するって、確かな前進ですね。
(鈴木)犯罪被害者がおかれた状況はそれぞれ異なりますよね。
(上川)そこが難しい点です。交通事故による被害者、殺人による被害者、サリン事件の被害者、9・11テロに巻き込まれた方、少年による犯罪被害者・・・、それぞれの被害者の思いや事情は異なります。お一人お一人、ケースバイケースできめ細かく対応することの大切さも法律に盛り込みました。
また全国どこに住んでいても、等しく適切な支援を受けることができるようにしていくこと、そのためには国、地方公共団体、そして民間の皆様のご支援も含め、これらがスクラムを組み、連携して対応していくことが不可欠です。
静岡市には被害者支援センターがありますが、例えば県内でも伊豆にはありません。どこに住んでいても安心して支援を受けることができるような仕組みを作っていくことにもっと力を入れていかなければいけないと思っています。
(鈴木)今は地震や津波対策のニュースに関心がとられていますが、考えてみると、地震や津波の被害にあう確率と比較しても、日常生活で、突発的な事件事故に巻き込まれる確率も決して低くないはずですね。
(上川)日本の場合、社会が縦割りの仕組みになっていますので、ややもすれば被害者の皆様が相談窓口を転々とすることになりがちです。そうしたことが起こらないよう、被害者の皆様の状況に合わせて必要な支援が途切れることなく提供される、シームレスな取り組みをしていく必要があります。基本法に基づくこれらの施策が、本当の意味で皆様の安心につながるよう、一層の改善に向けて求めていく根気強い取り組みが大切ですね。
(鈴木)上川陽子の声を初めて聞いたという人もいるかもしれませんね。
(上川)・・・声だけじゃなくて、私のナマの姿を見てみたいという方は、静岡まつり夜桜乱舞の『太陽連』というグループの踊りをぜひ見に来てくださいね。
(鈴木)今月から月に2回の放送になります。今日は硬軟取り混ぜた内容ですが、上川陽子のたくさんの引き出しの中から、楽しい話、面白い話、ちょっと考えたい話・・・いろんな話題を取り上げていきたいと思っています。
(上川)最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは、再来週までごきげんよう。