かみかわ陽子のラジオシェイク第11回オンエア(2)地域と子どもたち

2月26日オンエアのかみかわ陽子ラジオシェイク、続きです。

 

 


 

(鈴木)さて、卒業式シーズンということで、ここからは地域と子どもについて考えてみたいと思います。陽子さんも私も葵区の横内小学校の卒業です。私は陽子さんより10年ぐらい後の卒業ですが(笑)・・・、横内小学校時代のこと、覚えていますか?

 

(上川)まず思い出すのは校歌です。「♪ わき出ずる〜われは泉よ、わきわきて〜♪」。

 その昔、駿府城のお堀の水が冷たく澄んでいて、横内通りに流れる小川にはアユがいたんですって。運動場の隅の田んぼに竹の棒を押しこむと、穴からコンコンと冷たい湧水が噴出したものです。小魚や小エビがすいすい泳いでいて、いつのまにか水藻が生えて、泉になったのです。

 

(鈴木)横内小学校の校歌には「泉」というフレーズがたくさん出てきます。ちょっと読んでみましょう。

 

わき出ずる われは泉よ わきわきて 常に新し 新しく 踊る姿はわが今の心の姿


わき出ずる われは泉よ 一すじに 流れてやまず一すじに 進む姿は限りなきあゆみの姿


 わき出ずる われは泉よ 力あり あふるる力 あふれつつ やまぬ力は横内の今の姿


(上川)今、目を閉じて聞いていたんですが、校歌というのは、学校周辺の風景や自然の豊かさを伝えてくれる心のポエムですね。皆さんも小学校時代のことを、校歌を通じて思い出すことが出来ると思います。校歌は、大人たちが、子どもたちに「こんなふうに育ってほしい」と願う希望の言葉ですね。


(鈴木)今の横内小学校は周囲の田んぼや空き地がなくなって、新しい家やマンションに囲まれてしまっています。今の子どもたちは、母校の風景をどんなふうに記憶するのでしょう・・・。

 

(上川)母校が残っているだけでもありがたいのかもしれませんよ。少子化によって、静岡市内の小学校も統廃合が進んでいます。子どもたちも、少し離れた学区まで通わなければならなくなりました。小学校というのは地域の顔のような場所でしょう? 子どもたちは、自分たちの地域が見えなくなってしまうのでは、と心配しています。

 

(鈴木)子どもたちが生まれ育った地域に愛着を持てなくなると困りますね。


(上川)時代の流れからいって、少子化や学校統廃合をただちにくい止めるはできないでしょう。ならば静岡というまち全体を、「私が生まれ育った故郷です」、「私の故郷はこんな町なんです」と、子どもたちがちゃんと言えるよう、故郷を意識できるような体験や環境が大切だと思います。そして、大人になっても、子どものころの体験を記憶として残し、蘇ってくるような体験の積み重ねが大事です。

 

(鈴木)具体的にはどんなことができますか?

 

(上川)以前、この番組でもご紹介しましたが、私が現職のとき、子どもたちが中山間地と都市部の学校の2つの体験をすることができるダブルスクール構想を提唱し、政策的にも力を入れてきました。そして去年、神奈川県の小学生が安倍奥に体験学習を実施するなど、ひとつ構想が実現しました。

静岡市内は、水源をもつ安倍藁科地域から、海岸までの自然や歴史環境が豊かです。地元静岡の子どもたちは豊かな歴史、豊かな自然環境のなかで、山と海2つの故郷体験ができる。しかも、ひとつの行政区の中で可能なんですね。たくましく育って欲しいし、そうした環境づくりのために、惜しまぬ投資をしていくべきでしょう。

 

(鈴木)新東名の開通は、「内陸フロンティア」という言葉で表現されるように、新しい地域間交流を促進させますね。

 

(上川)新東名の開通まであと少しです。ダイナミックな地域間交流の手段として、大いに期待したいし、新しい地域づくりの起爆になることは間違いありません。各地域でも、住民自らの取り組みが活発です。

例えば、美和地区の街づくり協議会では、地域資源のマップをつくるそうです。また、丸子の街づくり協議会では、地域の歴史資産を訪ね歩くエコウオークツアーが行われています。私の事務所のある七間町では、昨年歴史探索および地元の食文化体験ツアーを呼びかけて、大好評でしたよ。

 

(鈴木)そういうイベントやツアーに親子で参加して、今まで気が付かなかった地域の良さに目を向けてほしいですね。卒業を機に、別の地域に進学や就職をする子たちも多いと思います。それでも、自分が通った小学校や中学校のあるまちを、いつまでも心の故郷として大切にしてほしいですね。

 

(上川)その心が、地域の活力を生んでくれると思います。大人たちも、目先の開発にとらわれず、子どもたちの心をしっかりと養い、次の地域の担い手になってくれるまで、長い目で、責任ある地域づくりに取り組んでいかなければなりません。そのことを肝に銘じていきたいと思います。





 

(上川)今日は雛祭りや卒業式シーズンにちなんで、地域と子どもたちについて考えてみました。久しぶりに横内小学校の校歌も口ずさめて、懐かしかったですねえ。

 

(鈴木)校歌って文章として読んでみると、とても美しい言葉でつづられているんですね。子どもの頃は、ただ意味もわからず教えられたとおり歌っていただけですが。

 

(上川)たまには自分の出身校の校歌や、学校の周りの風景を思い出してみるのもいいものです。

 よく校歌は小学校の体育館に額文字で刻まれていますね。昨年、東日本大震災の被災地を訪問し、津波で壊滅的な被害を受けた地域の小学校の体育館にも、校歌の歌詞が飾ってありました。その下のフロアにはガレキの中から拾われた地域の人々の思い出の品がたくさん並んでいて、心がしめつけられる思いでした。

 ガレキの処理問題は今、被災地復興の大きな壁となっています。昨年は「絆」ということで、全国で復興支援に取り組んできましたね。ガレキ問題も全国で平等に負担していただく、そういう力が持てるかどうかというギリギリの場面に来ていると思います。

 

(鈴木)3月11日東日本大震災1周年の日、追悼イベントを予定されているそうですね。

 

(上川)そうなんです。3月11日日曜日、夕方6時から、青葉イベント広場で慰霊のキャンドルナイトをやることになりました。キャンドルをハート形に並べて、参加者が増えるたびにだんだんハートが大きくなる、という仕掛けを考えています。

 

(鈴木)なんだか想像するだけでもジーンとします。


(上川)私たち、昨年福島県いわき市の「道の駅よつくら港」に、炊き出しボランティアに行きましたね。昨年暮れには「よつくら」のみなさんが静岡へお礼に来てくださって、津波にやられてしまった道の駅の建物が今年夏にリニューアルするという嬉しいニュースも聞きました。

私たちから、再建される道の駅に、ハート形に切りぬいた「絆のはり絵アート」を贈ろうと考えまして、11日のキャンドルナイトのときには、来場者のみなさんに貼り絵の共同作業をしていただく予定なんです。

ラストに、参加者全員で「ふるさと」を合唱しようと思っています。若いボランティアスタッフが実行委員会を作って、一生懸命準備をしています。ぜひ多くの方にお越しいただきたいですね。


(鈴木)素敵なアイディアですねえ!青葉イベント広場の静岡市役所側の葵スクエアで、3月11日日曜、夜6時からキャンドル点灯スタートですね。楽しみにしています。そろそろお時間となりました。陽子さん、来月もよろしくお願いいたします。

 

(上川)最後までお聴きくださったリスナーのみなさま、ありがとうございました。それでは、来月までごきげんよう。

 

 

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