<2017年1月17日オンエア>
(上川)リスナーの皆さま、こんばんは。上川陽子です。
(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。さて新年1月も早、半分が過ぎました。年末年始の行事が一段落して、疲れが出てくるころだと思いますが、この時期の体調管理や風邪予防などはいかがですか?
(上川)うがいと手洗いは徹底していますね。特に今年はインフルエンザや感染力の高いウイルスによって高熱に苦しんだりお腹をこわしたりされる方もいらっしゃると思います。日頃から病気に負けない体力づくりということで、ご家族で介護予防に役立つ運動などを心がけていただきたいと思いますね。実は昨年「しぞーかでん伝体操」というのに出合いました。ご存知ですか?
(鈴木)しぞーかでん伝体操、いえ、初めて聞きます。
(上川)結構、地域の中で広がっているようです。昨年、柳町の公民館で体験させていただいたんですが、調べてみます、米国国立保健研究所・老化医学研究所のガイドライン【50歳からの健康エクササイズ 体操・運動・安全・栄養】を参考に静岡市地域リハビリテーション推進センターが考案したものだそうです。
考案者のお一人で作業療法士の丸山さんは「以前、介護予防に効果的な体操はないかと探していた時に、歩くのもやっとだった97歳の女性が、週に2回、3カ月体操を行って走れるようになったという映像を見て、衝撃を受けました。そこでその体操の基となった、アメリカ国立保健研究所・老化医学研究所推奨の運動を取り入れ、でんでんむしむしでおなじみの『かたつむり』の曲に合わせて、肩やお腹、お尻の筋肉をゆっくり刺激する筋力トレーニングとして考案しました。慣れてきたら手足におもりを装着し、週2回行うと、なお効果的です。地味な体操ですが、じわじわ体に効いてくるところが魅力」とおっしゃっているんです。
(鈴木)でんでんむしの歌に合わせて、アメリカの専門機関が推奨する筋力運動ができるなんて斬新で画期的ですね!
(上川)私もやってみて、じわじわ効くのを実感しました。公民館では30人ぐらいの方とご一緒したんですが、聞きなじみのある「で~んで~んむ~しむ~しか~たつ~むり~」の節に合わせて体を動かす。最後の方になるとかなりきつくなるんですが、しっかりと鍛えられているって感触でした。後ろから見ると皆さん背筋が通り、体幹がしっかりしている背中美人でしたよ。これはなかなかいいなと思い、医療福祉学会の全国大会で講師に招かれたとき、国会紛糾中で参加はできなかったのですが、20分に講演の要旨をまとめ、この体操もビデオで紹介したんです。
静岡はこういう新しい取り組みを始める際も、指導者や参加者を集めやすいんですね。これはもともと地域コミュニティがしっかり機能していて、まとまりがある証拠です。
健康長寿の国づくりを進める中でも大切な3要素として「運動」「口腔ケア」「生きがいづくり」が挙げられます。そのベースに地域コミュニティがあることですぐに伝播できる。こういう静岡の良さを、エビデンスを取って全国に伝えていきたいと思っています。
国は今、地域包括ケアを広げていこうとしています。ご高齢になっても住み慣れた地域で地域の皆さまと触れ合いながら過ごせる仕組み作りで、難しいテーマなんですが、私は静岡型の地域包括ケアというものがあってもいいと思っています。しぞーかでん伝体操もそうですね。こういうものを健康自立のステージで役立てていくことが大事です。歴史的に町内会やコミュニティ活動が活発な静岡ですから、でん伝体操を広めるだけでなく、その先の地域包括ケアという難しいテーマに取り組み、静岡らしいスタイルを構築してほしいですね。
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(鈴木)ところで陽子さんは以前から、きんさんぎんさん勉強会というのをやっておられましたね。
(上川)落選した時期に静岡の良さって何だろうと勉強させていただき、先ほども紹介した土地柄で、これからの健康長寿社会におけるフロントランナーになれる力があると実感していました。3年前に再び議席を得た時、真っ先に立ち上げたのがきんさんぎんさん勉強会です。
これは、百歳を過ぎても「老後の備えを」を口癖に長寿をまっとうされたきんさんぎんさんのように、最後まで自立した生活を送りたい、そんな高齢者の自助努力に社会全体で報いることができるような長寿社会を実現したいということで、毎週1回、企業や自治体、健保組合等の方々をお招きし、先進事例として稲城市にも視察に行ったり、長野県の長寿村の村長さんにご講演していただくなど成熟した社会にふさわしい社会保障制度の「革新」について検討を行ってきました。この勉強会の成果が、ヘルス&コミュニティ(H&C)議連へと発展し、スポーツ健康政策に提言するまでに至っています。一人で健康長寿だと言って家の中で運動していても長続きしないんですね。外に出て地域の皆さんと一緒にやることが必要です。
(鈴木)勉強会から議連、政策提言と、着実なステップアップですね。どんな提言をされているんですか?
(上川)今は政策提言を通り越し、H&C議連の提案に基づいて、健康長寿におけるインセンティブについて法律に書き込み、実際に改革を進めています。税金を使って困った時のためのセーフティネットを張るというのが今までの発想でしたが、今は、困らないように自助努力をする取り組みに支援をしていく、と発想を変えたのです。健康ならば医療費の削減にもつながります。健康づくりに取り組むための応援支援金をお渡ししましょうと。
(鈴木)以前、医療費を使わない人にポイントを差し上げるという事例をうかがったことがありますが。
(上川)そうです。SWC-スマートウエルネスコミュニティ協議会という全国組織が立ち上がりまして、私もアドバイザーとして参加しています。いろいろな側面から健康長寿を達成するため社会技術の実験・構築を行う組織で、静岡県では三島市が参加しています。
たとえば駅の階段にピアノの鍵盤を埋め込んで歩くと音が鳴るようにしたら、今までエスカレーターを使っていた人が階段派に変わったのです。親子連れなどが楽しそうに階段を昇り降りするんですね。また愛媛県松山市では俳句の句碑を訪ね歩くコースを作って、実際に歩いた人の健康状態を愛媛大学医学部が調査し、データ収集しています。句碑のところにはここまで歩数何歩、消費エネルギー何キロと表示する仕掛けを作り、結果として医療費削減に結びついたのです。世代別に集計した最新データでは、昨年より平均4~5万円削減ということですから、大変な成果でしょう。
(鈴木)それはすごいですね、静岡でも東海道ウォークとかさかんですから、すぐにでも出来そうな気がしますけど。
(上川)ラジオ体操やしぞーかでん伝体操もキーワードですね。国としてスマートウエルネス推進実現に向け、体操の指導員やインストラクターを全国に配置する予算をすでに組み込んでいます。静岡では相当な数の指導員が該当すると思いますので、ぜひ今までやってきたことを、そのような目的意識を持って組み直し、役立ててほしいですね。健康長寿とコミュニティ、2つがあってこそ成り立つ実験です。3年間の落選中、ずっと考え続けてきたことがようやく形になりそうです。
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(鈴木)私はこの冬、みかんの取材をしているんですが、静岡の三ケ日ミカンが生鮮食品では初めて「機能性食品」の表示を許可されたんです。温州ミカンに含まれるβクリプトキサンチンという成分が、骨粗鬆症予防、成人病予防に効果があるそうで、体内で長期間留まる成分なので、冬場にしっかり食べておくとよいと専門の先生にうかがいました。地元の旬の特産品を食べるって本当にいいんだなと実感しました。
(上川)みかんとお茶は健康長寿のかなめですね。機能性表示はある条件を満たさなければ表示できませんが、みかんの皮は生薬の原料にも使われており、昔から体に良いと言われてきました。おっしゃるとおり、旬のものを旬に食べること自体、大事ですね。
(鈴木)みかんの消費量が落ちているそうで、若者が食べなくなったと聞きました。
(上川)食育担当大臣のとき、大臣室に来ていただいた香川大学の先生から聞いた話ですが、その先生は全国の野菜くだもの消費量を調べており、静岡は果物の消費量が少ないと聞きました。みかんがとくに落ちているんです。その先生からは、冬場、小学校の給食でみかんを必ず食べて風邪予防に努めてほしいと言われました。「静岡はみかんの産地なのに食べてないじゃないか」とお叱りを受けたことを思い出しました。
(鈴木)みかんとお茶、静岡が持つ優れた機能性食品にもかかわらず、外の人からそのように指摘されないと気が付かないというのは、静岡人ののんびりした気質のせいかもしれませんが、改めて大事に守っていかなければいけないなと思います。
(上川)さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。