<2015年5月5日>
(鈴木)リスナーのみなさま、こんばんは。コピーライターの鈴木真弓です。上川陽子さんは出張中のため、事前にお電話でうかがいました。なにとぞご了承くださいませ。
さっそくですが、東京にいらっしゃる陽子さんにつないでみましょう。陽子さんこんばんは。
(上川)こんばんは。上川陽子です。今夜もお電話で失礼いたします。
(鈴木)ゴールデンウィーク真っ只中ですがあいかわらずお忙しそうですね。
(上川)今年のゴールデンウィークはメキシコで開催中の世界経済フォーラムラテンアメリカ会議に出席することになりました。日本の閣僚として初めてご招待を受けたものです。
(鈴木)法務大臣が経済フォーラムに招かれたのですか?
(上川)現在、経済発展中のラテンアメリカでは治安の問題が浮き彫りになっています。そこで治安の良い日本の事例を学ぼうと、お声がかかったわけです。
(鈴木)なるほど。日本の法務大臣として初めての世界経済フォーラム、ぜひお気をつけて行ってらしてください。さて今度の日曜、5月10日まで国立公文書館で開催中のJFK-その生涯と遺産展、私も連休前に行ってきましたが素晴らしい展覧会で、大盛況でした。公文書館始まって以来の入場者数を記録更新中だそうですね。
(上川)そうですね。今回の展覧会、国際的なアーカイブスを日本で展示するのも初めての試みでした。2年前にアイディアを思いついたときから、準備にはいろいろな苦労もありました。ケネディ大統領に関する重要なアーカイブスをアメリカ国外に持っていくのは今回初めてだということで、緊張感を持って臨みました。蓋を開けてみますと、多くのみなさまに関心を持っていただき、公文書館の館長はじめスタッフも大変喜んでおられました。
(鈴木)私が行ったのはちょうど先月、オバマ大統領とキューバのカストロ議長が歴史的握手を交わした日でした。JFK展でとくに印象的だった1962年10月キューバ危機の13日間の年表や資料を見て、半世紀という年月の重みを実感しました。
(上川)公文書の持つ意義というのはいろいろな角度で感じられることですが、当時の歴史的な事件に際し、どのように解決したのか、リーダーの決断はどうだったのか、手に取るようにわかります。キューバ危機は、今は死語になっている「冷戦」の時代、アメリカの鼻の先のキューバに、ソ連が核兵器を持ち込むかもしれないということで、世界が固唾を呑んで見守っていた事件です。時を越えて、日本の国立公文書館で、事件に関わる正式文書から現場のメモ書きのようなものまで展示できるというのは、本当に感慨深いことです。
(鈴木)本当に手書きのメモ書きが残っていたんですね。見て臨場感が倍増しました。
(上川)大統領を中心に閣僚が集まって寝る間もなく議論を重ねた13日間は、世界的にも重みのある13日間でした。こういうときはこうしようと事前にシナリオがあるわけではなく、本当にその場その場で決断を下していかなければならない状況で、政治家がどのように振る舞ったのか。大統領の弟でもあるロバート・ケネディをはじめ、各省のエキスパートが集まってその場で書き記したメモ書き、本当に私も胸を揺さぶられました。
(鈴木)JFK展とは関係ないんですが、公文書館展示室の出口近くに展示されていた、1945年8月の天皇陛下の終戦の詔。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び・・・という玉音放送で有名なお言葉ですね、陛下のご署名とみしるしの付いた原文を見たのは初めてで、ここは本当に国の歴史的資料を保管している重要な施設なのだと改めて感動しました。
(上川)玉音放送のときの原稿ですね。これも、今のような平和な状況下で書かれたわけではなく、戦争中の厳しい環境の中で書かれたもので、大変意味のあるものです。そういうものが公文書館に残っているということを、私たちも重く受け止めなければなりません。
実は今の公文書館は大変手狭になっております。今回のJFK展は一般の方々が多く訪れてくださっていますが、ふだんは専門家が必要に応じて利用する、という施設です。国のリーダーが国難にあたって下した決断がどのような経緯をたどってきたのか、さまざまな制度がどのような変遷を経て決められたのか、後世の国民が知ることは大変重要です。つまり国にとってかけがえのない知のインフラなんです。公文書館がそのような資料を守る重要な施設であり、時代にふさわしいものに作り変える必要性を、この機会にぜひ知っていただきたいと思っています。新館建設の動きは着実に進展していますので、注目していただきたいですね。
鈴木)そうですか。キャロライン・ケネディ大使の就任時期に合わせ、JFK展という画期的な展覧会を企画されたことで、本当に多くの人が公文書館の存在や役割を知ったと思います。
(上川)新しい公文書館の建設場所は、できるだけ三権に関わる場所にしたいと思っています。総理をはじめ三権の長、議運委員会の長にも要請活動をしまして、衆議院議運委員会に、国立公文書館の新館建設に関する小委員会を作っていただくことになりました。
(鈴木)大きな一歩ですね?
(上川)昨年も同じ要請をしたものの、具体的なアクションにはつながらなかったのですが、JFK展の成功が大きな後押しになりました。議員の先生方も多く展覧会をご覧になってくださいましたし、なにより一般の皆さんの声が心強い。ぜひ国民が誇りに思えるモニュメントのような施設を、なんとか2020年までに作りたいと思っています。
(鈴木)JFK-その生涯と遺産展は5月10日まで、東京北の丸の国立公文書館で開催中。その後、5月30日から7月11日までは平成27年度第1回企画展【恋する王朝】を開催します。平安時代に成立した歌物語や王朝物語について、公文書館所蔵の写本などを展示するそうです。古典に興味のある方はぜひご覧になってみてください。
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(鈴木)さて後半は静岡市に新たに建設された草薙体育館、このはなアリーナについてうかがいましょう。4月2日にオープンし、5日にはこけらおとしの大相撲富士山静岡場所が開かれました。陽子さんもご覧になったそうですね。
(上川)そうなんです。生で、一番前の砂被りの席で見せていただきました。本当にびっくりしました。
(鈴木)まずはこのはなアリーナについてうかがいます。何やらすごい施設のようですね。
(上川)延べ床面積約1万3500平方メートル、観客席2700。天竜地域のスギなどの県産材約7千本を活用した国内最大級の木造建築で、2700席の観客席を備えています。ドームのようなつくりで、天井から延びた柱はすべて木材です。
(鈴木)木製のドームってすごいですね。
(上川)メインフロアは3,772平方メートルの広さで、バスケットボールやバレーボール用のコート4面を確保できるそうです。とにかく木目調の大変美しいアリーナで、ヨーグルトのふたのような形をしているんですよ。木材は単に見た目だけでなく、構造材として加重を支えているのです。こういう形で木材を構造材にするのは大変難しい技術だったそうですが、登呂遺跡に似たような形の住居があり、昔からあるものならきっと整合性があるはずだと信じて設計したそうです。
(鈴木)見た目だけ木材ではなく、建物を支える内部の構造材も含めてすべて木材ということですね。
(上川)すべてを木材で仕上げた素晴らしくスケール感のある建物でした。
(鈴木)ところで大相撲の富士山静岡場所、7500人も集まった興行だったそうですね。木材を生かした美しいアリーナで、日本の伝統であるお相撲って見事なマッチングじゃないですか。
(上川)私、大相撲を観戦するのは生まれて初めてだったんです。やはり生を観るとファンになっちゃいますね。テレビではよく観るんですが、呼び出しから始まってすべてが美しいじゃないですか。横綱の土俵入りもすばらしく美しかったです。
(鈴木)草薙運動場は公園一帯がリニューアル整備され、来月6月26・27日には草薙球技場でプロ野球公式戦ヤクルト巨人も開かれるんですよね。2020年東京オリンピックに向けて、静岡のスポーツ文化を盛り上げる意味でも、草薙という地名が今一度注目されます。
(上川)そうですね。健康スポーツはこれからの時代のキーワードです。草薙がスポーツ拠点になっていくかもしれません。
(鈴木)プロ野球ファンにとっては、草薙球場は沢村投手が大リーガーをバッタバッタと三振で斬った伝説的な球場だと聞いたことがあります。2020年に向けて、草薙という地域がますます存在感を高めるのではないでしょうか。
(上川)今度のオリンピックは東京と名が付いていますが、事前の合宿やスポーツ関連イベント等は全国津々浦々で開催されると思います。ぜひ静岡でも盛り上がってほしいですね。
(鈴木)さて、5月のゴールデンウィークは明日でひと段落ですが、今年は秋にも大型連休があります。観光レジャー産業の盛り上がりが期待されますね。
(上川)日本は四季折々の中で、自然が素晴らしい季節の彩を与えてくれます。自然の恵みを生かした観光や関連産業をもっともっと育てて、多くの人に利用していただきたいですね。
(鈴木)陽子さんご自身、お休みを取って旅行を愉しむ、なんて日は来ないんでしょうか?
(上川)今まで年に1回程度、家族で旅行をしてきましたが、集中して仕事をしていると、自分自身のワークライフバランスも大事だと実感します。旅行はよいストレス解消になると思いますが、今はなかなかその余裕もとれません。
(鈴木)どうかくれぐれも上手に疲労やストレスを解消してくださいね。今日も公務でお忙しい合間を縫ってのお電話でのご出演でした。ありがとうございました。
(上川)お聞き苦しくて申し訳ありませんでした。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。