人身売買・児童虐待問題に進展2005年2月28日 これまで私が取り組んできた 2 つのテーマで今月、大きな進展がありました。一つ目は人身売買禁止が法制化されること、二つ目は児童虐待問題に取り組む全国の児童相談所で体制強化が図られることです。 ● 人身売買禁止の法制化 政府は 2 月 25 日の閣議で、犯罪組織が外国人女性を日本に連れてきて、売春などを強要する被害を防ぐため、「人身売買罪」を新たに設ける刑法の改正案と、被害にあった外国人の保護を徹底する規定を盛り込んだ出入国管理法の改正案を決定しました。これらの改正案は、日本が犯罪組織による売春や強制労働を目的としたいわゆる「人身売買」に対する十分な対策をとっていないと国際的に批判されていることを踏まえ、法整備を図るものです。 このうち刑法改正案は、「人身売買罪」を新たに設け、人を売り渡したり、営利やわいせつ目的で買い受けたりした場合、最高で 10 年以下の懲役に処することが柱になっています。また、出入国管理法の改正案は、被害にあった外国人女性の保護を徹底するため、不法滞在で摘発された場合でも強制退去の対象外としたうえ、法務大臣が人道的な立場から在留を認めることができるとしています。政府はこれらの法案を、今の通常国会で成立させたいとしています。 私は 3 年前、 IPU (列国議会同盟)にパネラーとして参加したことをきっかけにこの問題にかかわることになりました。以前から日本が人身売買について有数の輸入国であることは世界中に知れ渡っており、私も国際会議で大変肩身の狭い思いをしましたが、今回の法整備により国際組織犯罪防止条約の人身取引補足議定書を締結するための要件がようやく整うことになります。これまで国際会議で防止策を検討したり、タイ・カンボジアで現地調査を行ったほか、国会でも政府に繰り返し要望を行ってきましたが、今回の法改正でこれまでの苦労が報われうれしく思っています。
● 児童相談所の相談体制強化 厚生労働省は 2 月 28 日、児童虐待の相談件数が増えていることを受け、児童相談所で児童の保護や相談に当たる児童福祉司を 2005 年度から大幅増員する方針を明らかにしました。また、児童福祉司の任用資格を緩和し、新たに保健師や教員なども登用できるよう、 3 月中に関係政令を改正する予定です。 同省によると、全国の児童相談所が 2003 年度に処理した虐待相談件数は 26,569 件で過去最多だったほか、相談内容も複雑・深刻化しています。このため児童福祉司の配置基準を大幅に引き上げるほか、任用資格については大学で心理学を専攻した人などに加え、一定の実務経験がある保健師や助産師、保育士、教員、児童相談員も対象に加える方針です。 今回の児童相談所の体制強化は、昨年 11 月 5 日、私が衆議院・厚生労働委員会で厚生労働大臣および雇用均等・児童家庭局長に質問した内容を反映したものです(質問骨子参照)。児童虐待問題に取り組むこうした現場の体制づくりが今後どのようなかたちで成果に結びつくのか、引き続き注意深く見守っていくつもりです。
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