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かみかわ陽子

活動報告国会活動

児童虐待防止について国会質問

 

2004年11月5日

本日の衆議院・厚生労働委員会で、私は児童虐待防止のための児童福祉法改正案に関する包括的な質問を行ないました。

今回の改正案は、今春成立した児童虐待防止法と一体をなすものであり、そもそもは両案を同時に成立させるべきものでした。しかし国会議員の年金未加入問題をめぐる混乱から、たな晒しされてきたものです。その後も児童虐待事件が相次いでいるだけに、一日も早い法案の成立とそれに基づく適切な防止策の実施が望まれます。

私は衆議院・青少年問題特別委員会においても児童虐待防止法の成立に関わり、 2 月には大阪・岸和田市の児童餓死事件の現地調査に参加したほか、 9 月には北海道の児童養護施設などを訪問しました。そうした機会に接した現場の声の中で特に印象深かったのは、虐待を受けた子どもの多くが大人たちへの根深い不信感を抱いているため、まず何よりも信頼関係を築くことが大切だ、ということでした。子どもによっては、そうした不信感を取り除くだけで何年もかかる場合もある、とのことでした。児童虐待問題の難しさを改めて認識したところです。

さて、今回の私の質問は、以下のような内容でした。それらに対する厚生労働大臣および厚生労働省の回答については、 衆議院 TVビデオライブラリの「11月5日」→「厚生労働委員会」→「参照」→「上川陽子」で映像がご覧になれます(質問時間 57分)。

 

質 問 内 容

 

1.児童虐待問題についての厚生労働大臣の考え方

2.乳幼児健診の意義について

平成14年度に児童相談所に寄せられた虐待の相談件数は 2 万3千件と、近年急増している。また、今年3月発表された報告書『児童虐待死亡事例の検証』によれば、虐待によって死亡した児童のうち、乳児が38%を占め、さらにそのうち 4 ヶ月未満児が5割を占めているとのことだ。このことは、児童虐待の早期発見・早期予防がきわめて重要であることを示している。こうした観点から、乳幼児健診の機会を児童虐待防止のために積極的に活用することが有効と考えるが、いかがか。

――先日視察した 北海道では、新生児や乳幼児を持つ家庭をもれなく訪問することで、児童虐待の危険が高い家庭の早期発見に取り組んでいるとのことだった。乳幼児健診を受診しない家庭ほど、児童虐待の事実が隠されている可能性が高いと考えられるが、乳幼児健診の受診状況はどうか。また、受診しない家庭に対して家庭訪問を実施するなど、より積極的に接触の機会をつくるべきと考えるが、いかがか。

3.医療機関の報告制度について

児童虐待を発見した医療機関は、直ちに市町村へ連絡するよう手続きが定められているが、実際に乳幼児健診や病気治療の際、医療機関で児童虐待が発見され、報告されるケースはどのくらいあるのか。また、こうした医療機関から市町村への報告制度が存在することを各医療機関にもっと周知徹底すべきと考えるが、いかがか。

4.法律改正後の市町村の役割

今回の児童福祉法の改正では、児童相談に関する体制の充実が大きな柱になっている。すなわち、児童相談に関する各地方自治体の果たすべき役割分担を明確にし、都道府県が運営している児童相談所については専門性を要する機能に特化する一方、一般的な相談機能については市町村レベルに対応を委ねることとされている。

<要保護児童対策地域協議会 の狙い>

そこで、児童虐待の早期発見や発生予防に市町村が果たす役割が期待されるが、そのためには地域のさまざまな関係機関が連携することが重要だ。今回の法改正では、要保護児童対策地域協議会を法定化することとしているが、その狙いは何か。

<市町村虐待防止ネットワークの課題>

「市町村虐待防止ネットワーク」は現状においては必ずしも十分機能していないようだが、その背景には地域的事情やコーディネートの難しさもあるのではないか。具体的にどのような点に問題があり、今後克服すべき課題にはどのようなものがあるのか。

5.児童相談所のあり方

今回の改正により、都道府県が運営する児童相談所は、今後、もっぱら要保護性の高い困難なケースや、より高度な相談業務への対応に特化することになる。

< 児童相談所の人員配置状況 >

現在、児童相談所に配置されているスタッフの配置状況をみると、全国には児童福祉司が 1,813 人配置されており、そのうち児童福祉司や相談担当職員の教育、訓練、指導にあたる、より熟練されたスーパーバイザーは 132 人となっている。地域によっては、支援基準に満たない児童相談所もあるようだ。人員配置における現状の問題点とそれへの対策、さらに今後市町村との役割分担をした場合の児童相談所の人員配置についてどのように考えているか。

<職員研修のあり方>

深刻な児童虐待のケースに的確に対応していくためには、この問題に携わる関係諸機関の職員・スタッフの専門性向上を目的とした研修の実施が不可欠だ。とりわけ、児童相談所のスタッフのレベルアップが大切だ。現在、横浜市にある「子どもの虹情報研修センター」(平成14年4月設置)において、専門研修が実施されているようだが、その実態および今後の方向性はどうか。また、児童相談所の現場からは、「子どもの虹情報研修センター」で実施されているような研修プログラムを、各都道府県単位など身近なところでも実施してほしいとの要望が聞かれる。こうした要望に対し、国としてどのように取り組む考えか。

<小規模施設>

先ほども触れたように、虐待を受けた子どもは大人への不信感が極めて根深く、心を開くまでに何年も要するケースもある。彼らは総じて協調性に乏しいため、大人数の子供が一緒に生活する児童養護施設などではなく、もっと小規模な生活環境を提供することが望ましいといわれている。こうした点に今後どのような方針で臨むのか。

<里親制度>

虐待を受けた子どものリハビリには、家庭的な「里親制度」がいっそう効果的とされ、今回の法改正でも里親制度について改善が施されている。里親制度を普及させるために、今後、どのように取り組む考えか。

<再統合プログラム>

虐待を受けた子どものケアや自立支援だけでなく、虐待した親の指導や親子の再統合が重要だ。児童相談所や児童養護施設では、親子関係の修復を図るさまざまな再統合のプログラムを開発し、実践しているようだ。視察の折には、そうしたプログラムを実践するファミリーカウンセリングの設備なども見せていただいた。こうした取り組みに対し、国はどのような支援を行っていく考えか。

6.国の予算措置――三位一体改革との関連で

児童虐待防止法が平成 12 年に成立したわけだが、残念ながらその後も児童虐待事件は後を絶っていない。事件が起こるたびに問題や課題が浮き彫りになり、対応策が講じられてきたわけだが、十分ではない。とりわけこの問題に対する各自治体の取り組みには相当大きな格差が存在し、依然として隙間が残されている。

そうした隙間を曲がりなりにも埋めるためには、地方をリードする国の役割も依然として少なくないように思う。そうした意味から、目下議論されている「三位一体」改革との関連で、児童虐待防止のための予算のあり方についてどのように考えるか。

 

 

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