国会議員の男女比は、男性に偏っている。政党に男女同数の候補者擁立を促す「政治分野の男女共同参画推進法」が2018年に制定されたが、施行後初の昨秋の衆院選では、候補者の女性比率はほとんどの党で5割に程遠かった。全体の当選者では、前回の17年を下回る9.7%にとどまり、各党の姿勢が問われている。女性議員を取り巻く状況や増加に向けた取り組みについて、与野党の女性幹部に聞いた。(大野暢子、坂田奈央)
◆自民党幹事長代理・上川陽子さん 「なぜ志す」を政治塾で問う
―なぜ、女性議員は少ないのか。
「政治家は『私』でいられる時間はなく、心身ともにハードワークだ。家庭との両立や家族の同意など、特有のハードルも多い。自民党は多くの選挙区で既に現職がいる。代替わりの時が女性候補を立てる好機だが、地域の意向で実現しないこともある」 ―自民党の取り組みは。
「党では女性を増やすための政治塾に力を入れ、議員も輩出している。私が志望者に伝えるのは、『なぜ政治を志すのか』という基本姿勢は揺らがないで、ということ。抽象的な『国民』ではなく、具体的な『あの人』のため、という気持ちをしっかりと持つことが必要。他人の問題を自分の問題として感じることのできる共感力がないと、長続きしない」
―自身も苦労してきた。
「初当選までに7年半かかった。米国留学を経験し、外交という専門を生かそうとしたが、通用しなかった。『地盤(後援組織)、看板(知名度)、かばん(選挙資金)』も全くなかったが、人の顔が思い浮かぶ政治の大切さに気づいた期間でもあった。志望者にはまず、『やめなさい。7年半できますか』と聞く。それでもやりたいなら、そこからが出発だ」
―政治参画を進めるため、女性のトップの必要は。
「国際社会では女性の首相や大臣が増えている。『女性初の』と言われない時代が来るのではないか。自分自身は、どのポストでもベストを尽くす」