(11月21日オンエア)
(上川)リスナーの皆さま、こんばんは。上川陽子です。
(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。前回に引き続き、先月の選挙期間中、陽子さんが応援演説のために日本列島1万キロ以上を走り回った地域のお話をうかがいます。
(上川)今日は3つの都市を紹介します。蒲郡、大阪、神戸です。それぞれ歴史的にも文化的にも経済的にも特徴がありますね。
(鈴木)3都市とも海に面していますね。
(上川)そうなんです。私が今回1万キロ以上周って印象に残ったのは、「これからは海の時代だ」ということ。もちろん山には山の魅力があり、都市には都市の魅力がありますが、私たちはこれまで海についてあまり関心を持ってこなかったのではないかと実感しました。
蒲郡市は人口8万人で、三河湾に位置しており、海の関連レジャーや観光スポットが非常に人気です。うかがったとき、ちょうどセーリングのワールドカップが開催されていて、ヨットハーバーがあって海流も安定していて、マリンスポーツには非常に良い立地だそうです。温泉も3つあり、トヨタ自動車の研修センターがあったり、ハウステンボスを運営するHISが手掛けたレジャー施設もあり、観光的にも魅力ある滞在先として、スポーツのメッカとして注目されていくようです。
(鈴木)蒲郡というと競艇しか思い浮かばなかったのですが(苦笑)、だいぶ変わっているんですね。
(上川)変わっていますね。実は現地でお世話してくださった県会議員の先生方から「静岡と関係が深いんだよ」と教えていただきました。桶狭間の戦いで戦死した今川義元の胴塚が東三河の大聖寺というお寺にあるんだそうです。静岡市の臨済寺には首塚があり、以前、首と胴を一緒にするイベントをやりたいと静岡の県会議員の先生からうかがったことがありましたので、その場で話が弾み、もっと交流を深めようということになりました。
2019年は今川義元生誕500年にあたります。そのときにバラバラになった首と胴をひとつにしましょうと。すでに記念事業として計画が進行し、静岡市には実行委員会も立ち上がっています。小和田先生と商工会議所の酒井会頭が代表者になって記念事業を行うチームが立ち上がり、あちらと交流を始めたそうで、いろいろなレベルで交流をしていく必要があると思っています。
蒲郡はみかんの産地でもありますから、みかんの陳皮を健康食に生かす研究を一緒にしたらどうか、という話まで盛り上がりました。
(鈴木)選挙応援で行かれた会場で、今川さんで盛り上がっちゃったんですね(笑)。
(上川)東三河界隈には歴史的な史蹟がたくさんあります。今、大河ドラマでおんな城主直虎をやっていますが、歴史ストーリーというのは地域の枠を超えるものです。愛知は静岡市としてはこれまでご縁があまりなかったので、文化GDP的にも大いに推進していきたいですね。
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(鈴木)静岡と愛知は歴史的な結びつきが強いということですが、大阪と神戸も強いつながりがありますよね。
(上川)そうですね。大阪では心斎橋で街頭演説をしました。道頓堀川は、昔はものすごく汚い川だったのを再開発してきれいにしました。ちょうど雨が降っていたのですがものすごい観光客で、ほとんどが外国人で、何をしているの?という顔をしてこちらをみていました。そこから桃太郎と称して商店街を練り歩いたのですが、ご承知の通り心斎橋筋には昔ながらの商店がひしめき合っていまして、外国人観光客の合間を縫って練り歩きました。
(鈴木)練り歩くことを「桃太郎」というのですか?
(上川)そうなんです。大阪の中心街はインバウンド6000万人時代、どのように廻っていくのか大変期待されますし、グリコのマークのところで演説するというのはなかなか出来ない体験でした。
(鈴木)最近はインスタ映えでいろいろなシーンをSNS投稿する人が増えていますから、ひょっとしたら陽子さんとグリコマークの写真が世界中に配信されているかもしれませんよ(笑)。
(上川)ドキドキしますね(笑)。
(鈴木)神戸はいかがでしたか?
(上川)神戸は昔ながらの最大の港町でしたよね。それが阪神淡路大震災を機に港湾規模が一気に縮小し、やっと最近、震災前の取扱量に近づいたという状況のようです。
悲願は神戸空港と神戸港と陸の要衝の三位一体のインフラ整備。神戸市も例外なく人口減少していますので、昔の神戸のイメージとは違う課題を抱えているという印象でした。関西空港や伊丹空港は国際空港で、神戸空港は規模的に国際化が無理ですが、これからはコンセッションで同じ運営会社が3つの空港を運営することになりましたので、おそらく3空港を有機的に活用し、とくにアジアからのお客様を受け入れる、そんな大きな方向性が出てくるのではないかと思います。インバウンド6000万人時代、空港が大きな役割を果たしていくわけですから、その意味でも期待しています。
港は貨物の取扱高のみならず、クルーズ船の寄港もインバウンド時代に重要となっていきます。神戸から大阪を周遊する‟面の開発“も進めていかなければなりません。その意味で、前回お話した瀬戸内DMOと同じように、神戸と大阪も面として発展してほしいと思います。
(鈴木)港といえば静岡にも清水港がありますし、大型クルーズ船の寄港にもすごく力を入れていますよね。
(上川)ですから、これからの時代は海がカギとなるのです。陸と空ばかりではなく、海を中心とした人のにぎわい、スポーツ、レクリエーションがもう一つの街の魅力となっていく。用宗港も蒲原由比の港も、小さいけれども特色ある生業がありますので、それぞれの持ち味を大事に繋げていくと、面としての大きな魅力を底上げできるのではないか。富士山がある静岡のポテンシャルは非常に高いのですから、クルーズ船を誘致するときには、たとえば一日だけでなく何日も滞在していただけるプログラムを‟繋ぎ“の中で展開していってほしいですね。
(鈴木)私は仕事で朝鮮通信使の歴史を手掛けてきたのですが、通信使が辿った道のりはまさに瀬戸内海の各港で、清水の興津の清見寺で家康が接待したという記録も残っています。朝鮮通信使は世界記憶遺産の登録が決まりそうですので、通信使なり家康なり何か歴史をキーワードにいろいろな地域が繋がっていけそうな気がするのですが。
(上川)先ほどの今川の胴塚や首塚の話もそうですし、徳川家康四百年祭もそうです。1回限りではなく粘り強くチームで進めていく、たくさんの魅力おこしを粘り強くやり続けるチームが必要ですね。行政だけでは限界があります。行政スタッフはどうしても何年かごとに異動がありますので、民のアカデミアなパワー、あるいは学生ボランティアの若い力を投入するアイディアが必要です。
瀬戸内はその点、いち早く導入し、民間ファイナンスの仕組みもしっかり取り入れています。そういうものを小さな面ではなく大きなスケールで構想することが必要な時代でしょう。前々から文化GDPの活用を、と訴えてきたのは、そういう意味もあるのです。
(鈴木)陽子さんのような大所高所から新しい視点に気づかせていただける存在はとても大事ですね。ぜひ文化GDPを上げるチカラになっていただきたいと思います。
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(鈴木)陽子さんから文化GDPという貴重なお話をうかがいました。文化は歴史だけじゃありませんよね。
(上川)食文化ですよね。静岡には豊富な食文化があります。健康長寿で多種多様な味がそろい、東京から戻ってトップクラスのレストランを開業する料理人も増えています。静岡から東京へ美味しいものを食べに行くというルートではなく、東京から静岡へ食べにくるというルートに変わりつつあるのでは、と思うのです。その芽を静岡市内を廻って実感しているところです。
(鈴木)私はお酒が得意なんですが、東京の方からも静岡の酒蔵ツーリズムみたいなのを出来ないかとよく聞かれます。
(上川)それはとても大事で、真弓さんにぜひ仕掛けていただきたいのですが、お酒は食と一体のものですね。ここのところも静岡は蕎麦、懐石、しずまえの魚などいろいろありますし、最近はワインやウイスキーも地元で作られるようになりましたので、食文化の静かなるメッカになるのではと期待しています。
さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。