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ラジオシェイクradioshake

第141回 「衆議院憲法調査会ヨーロッパ3カ国視察」

(8月15日オンエア)

 

(上川)リスナーの皆さま、こんばんは。上川陽子です。

 

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。今年も8月15日を迎えました。やはりこの日は、戦争を知らない世代にとっても特別な日だと実感します。

 

(上川)戦争を知らない世代といっても、世代がずいぶん若返っています。私の世代と子供や孫との世代ともギャップがあるなあと感じます。私の母は今年88歳で、戦争体験を直接話してもらう機会があります。静岡は空襲がありましたので、さまざまな傷跡を行事の中で体験することもできます。実際の戦争体験者がどんどん少なくなる世の中ですので、風化させないという意識をしっかりもって政治において考え、行動しなければならないと実感するこの頃です。

 

(鈴木)陽子さんは今、日本の憲法や教育という国家の骨格ともいえる重要な政治課題に真正面から向き合っておられます。先月もヨーロッパ視察に行かれたそうですね。

 

(上川)先月11日から20日まで10日間、イギリス、スウェーデン、イタリアの3カ国を、衆議院の憲法審査会の超党派7人の議員で行ってまいりました。自民党は森英介会長、中谷元筆頭理事と私の3人が参加しました。

憲法の改正には、衆議院と参議院の3分の2以上の発議、その後国民投票により2分の1の賛成という非常に厳しい条件と手続きがあります。今回の視察目的の一つは、国民投票の実施国から教訓を学ぶことでした。イギリスではEU離脱、イタリアではかなり大きな統治機構の改正について、それぞれ国民投票が実施され、いずれも予想とは異なる結果となりました。

さらにスウェーデンは、未来投資である教育の無償化を世界の中でも先進的に進めてきた国として、教育をテーマに視察。また新しい人権といわれる知る権利、『情報公開』の在り方について視察してまいりました。

 

(鈴木)最初に行かれたのはまずイギリスですね。

 

(上川)EU離脱という大きな方向性を、最終的に国民の皆さんで判断していただいたわけです。

 

(鈴木)国民投票で決める、ということを政府が決めたのですね。

 

(上川)国家間の条約で発足したEUにはEU議会がありますが、そこで決められたEUのルールを国内で承認し、守らなければなりません。自分たちで何もかも決められるのではなく、EUが決めたことに従わなければならない、国内法も変えなければならないのです。

ですから、EUに入るということも大きな意思決定ですし、出るというのはもっと大きな意思決定になるわけです。離脱という問題が出たとき、キャメロン首相が、離脱になるわけがない、もし国民投票の結果離脱賛成となれば自分は首相を辞任すると明言したのです。結果キャメロン首相の意図とは真逆の離脱多数の結果になりました。キャメロン首相は辞任し、さらに議員も辞めてしまわれたのです。そのキャメロンさんに今回お会いしてまいりました。

 

(鈴木)直接お会いになったのですね。

 

(上川)当時を振り返り、後悔していることはありますか?何が国民投票に足りなかったのでしょうかと直球の質問をしてみたのです。すると率直に「I am regret(後悔している)」とおっしゃったのです。国民投票を開催したこと自体は後悔していないそうですが、本来ならば残留のメリット・デメリット、離脱のメリット・デメリットの両政策を公平公正に表に出して、国民に判断を仰ぐべきところ、実際には賛成派は賛成の、反対派は反対のPR合戦となり、結果として現政権の政権選択という構造にすり替わってしまった、つまりキャメロン政権に対する信任投票になってしまったというのです。そのことを後悔されているようでした。

 

(鈴木)国民投票にはそのようなリスクがあるということですか。

 

(上川)極めて大きなリスクですね。国民投票の直接のテーマの議論ではなく、政権選択にすり替わってしまったというところに難しさがありました。

 

(鈴木)一方、イタリアでは憲法改正に対する国民投票が行われたのですね。

 

(上川)イタリアでは昨年12月に憲法改正に関する国民投票が行われました。イタリアは日本と同様、第二次世界大戦の敗戦国となり、その後、新憲法が策定されました。日本と同じ二院制ですが、上院下院ともまったく対等の「完全二院制」を敷いています。

 

(鈴木)日本の衆参両院とは違うのですか?

 

(上川)日本の場合は、予算案は衆議院が優先され、首班指名も衆議院が優先されます。イタリアの場合、ムッソリーニ時代のような独裁制を防ぐために、両院は対等で権力を二分することにしたのですが、迅速に意思決定ができないという運用上の問題点もありました。

そこで、今回の憲法改正は、上院の権力を弱め、人数も半分にしようという大胆な内容でした。事前の予想では、国民は改正に賛成するだろうとの見方が大半でした。当時のレンツィー政権は憲法改正を追い風に政権安定を目論み、国民投票をむしろ仕掛けたほうだったのですが、やはりレンツィー政権への信任投票という形で否決となり、レンツィーさんは退陣に追い込まれたのです。

レンツィーさんにも直接お会いしてお話を聞こうとギリギリまで調整したのですが、我々の訪問時期にはローマにいらっしゃらないということで残念ながらお会いできませんでした。

国のかたちそのものである統治機構を体現したのが憲法であり、これを変えるというのは容易なことではないこと、国民投票に至るプロセスや議員の責任の大きさを痛感し、大きな宿題を抱えて帰国しました。

(鈴木)スウェーデンですけど、陽子さんは初めての訪問ではないですよね。

 

(上川)今回「教育」という切り口で視察をしましたが、改めて真正面からスウェーデンという国のしくみを考える機会となりました。

スウェーデンの人口は1,000万人です。国を維持するために国民全員が参加する、というイメージです。日の市にあたる単位組織としてコミューンという自治組織があり、課税権も含め非常に大きな権限をもち、地域を治めています。

 

(鈴木)国が何でも決めるというのではなく、ある程度自治に任せているという・・・

 

(上川)自治に任せるという発想は、国から地方へという上から目線ですが、そうではなく、自治が基本で、そこと国との役割分担をするという発想なのです。私たちはどうしても中央集権のしくみで、中央に対し地方という考えになりがちですが、それとはまったく逆の発想です。最初のうちは、私もよく理解できませんでした。

まず、文科大臣にあたる議員さんと面談しましたが、スウェーデンでは、教育は大学・大学院の高等教育まで授業料は無償です。高等教育までの無償化は国家戦略で決められており、100%賛同を得ているそうです。国のあり方として、専門的な知識や技術をしっかり持ち、国際社会の中で存在感を示す。

ただし、憲法(成文法)と類する法律が4つあり、そのいずれにも義務教育は無償とは書いてありますが、高等教育まで無償とは書かれていません。しかし現実には幼児教育から高等教育まで無償化されている。つまり、政策的な判断であえて書かなくてもいいというわけです。

 

(鈴木)なにやらものすごく進んでいる国のように思えますが。

 

(上川)私たち日本では、憲法とともに教育基本法や学校基本法という法律があります。今、進められている小中一貫教育も含め、すべて法律で定められています。法律で決めるか、憲法で規定するか、それ自身政策的な判断です。

 

(鈴木)さまざまな権利について参考になったとおっしゃいましたね。

 

(上川)そうですね。とくにスウェーデンは知る権利や情報公開制度が進んでいます。たとえば組織の中で持つ情報を、外部に口頭で話す場合は構わないのですが、文書で出すと問題になる。ところがその場合、咎められるのは受け取った側のトップです。

たとえば出版社がある企業の内部情報を受け取ったとしたら、出版社の記者ではなく経営者が責任を問われるというわけです。しっかり記録をとったわけではなく、私の記憶に残る通訳の英語での説明でしたので、正確でないかもしれませんが、少し不思議に思ったので「情報と引き換えに金銭を受け取った場合はどうなりますか?」と聞いたら、まったく問題にならないと。現場レベルで出したとしても責任を問われるのはトップですと。

そういう意味で、それぞれの国の社会ルールというのは、自分たちのモノサシだけでは判断できない、その国ならではの土台の上に出来上がったルールであると痛感しました。単純に、知る権利だからといって、外国のやり方をそのまま採り入れるのではなく、自分たちの国の社会に合わせたしっかりとしたルールにしていくのが大事だということです。

日本も憲法を中心に70年、いくつかの項目―9条や教育や参議院の合区に関すること等で改正の動きがあります。国民の理解に資するように、憲法審査会でよくよく議論をし、その上で国民投票という道にたどり着けるよう、プロセスをしっかり踏んでまいりたいと思っています。

(鈴木)3カ国、お忙しいスケジュールだったと思いますが、イギリス、イタリア、スウェーデンの夏がいかがでしたか?

 

(上川)要人とのミーティング続きで、唯一残された時間が朝だけだったんです。憲法調査会では出張先で朝、超党派で散歩をするという伝統があるようで、2日間、ヘビーな散歩に参加しました。

 

(鈴木)ヘビーな散歩ですか(笑)。

 

(上川)ローマでは、6時から8時30分まで11キロも歩きっぱなしでした。段差の多い街で足が疲れましたが、サンピエトロ寺院の早朝ミサに紛れ込むことができました。

 

(鈴木)ヴァチカンですよね、カトリックの総本山の!

 

(上川)そうなんです。難しい話で頭が一杯のときでしたので、ローマの町を2時間半も歩くと本当にいろいろなものが見えてリフレッシュできましたね。

 

(鈴木)ささやかなローマの休日でしたね(笑)。

 

(上川)そのとおりでございます(笑)。

さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

法務大臣 活動記録 2017.8.3~、2014.10.21~2015.10.7 総務副大臣 活動実績!

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