<ミャンマー下院議会ウィン・ミン議長を訪問>
5月5日、ミャンマー下院議会ウィン・ミン議長を訪問。ウィン議長から温かな歓迎の挨拶をいただいた後、私から、ⅰ)ミャンマーにおける民主化の定着 と国民和解、経済発展への取り組みに敬意を表するとともに、日本として全面的に協力すること、 ⅱ)私が会長を務める自民党・司法制度調査会では、「法の支配」等普遍的価値を世界に浸透させる「司法外交」を積極的に展開するため、法律の起草および人材研修を中心に法制度整備支援プ ログラムをさらに充実発展させたい旨発言しました。 小一時間に及ぶウィン議長との意見交換の中で、最も印象に残った発言は、「法の支配は、人権の尊重と民主主義の不可分の要素として、経済成長と平和国家建設のために重要と考えます」でした。穏やかな風貌と語り口のウィン議長は、実は、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問とともに長年にわたり民主化運動を進めてきた指導者です。前政権下、下院の法の支配・平和安定委員会において、スー・チー最高顧問が委員長を、ウィン議長が事務局長を務められ、お二人の信頼関係が厚いことがわかりました。
昨年、スー・チー議長率いるNLD政権が誕生し、民主化の動きは急ピッチに進んでいます。経済成長を牽引する内外投資の環境整備をはじめ、新しい国づくりにとって法制度整備支援プログラムの重要さは増しています。昨年、日本の起草支援により投資法が成立し、さらに、現在会社法案が議会に上程されています。「ローマは一日にしてあらず。しかし、ミャンマーは、一日にしてありたい」とのウィン議長の真剣な表情が、日本への期待の大きさを物語るものでした。
<在ミャンマー日本人のみなさんとの意見交換>
ミャンマー行政府の各省庁に派遣されているJICA専門官や現地進出日系企業の責任者、さらに法務・弁護士等のみなさんとそれぞれグループごとに意見交換を実施しました。意見交換の中で浮き彫りになったことは、法律は整備されても、運用のためのガイドラインやその徹底のための現場担当者の研修など、多くの課題が残されていることでした。
<ティラワ経済特区(SEZ)の視察>
ミャンマー・ヤンゴン市から南東約20㎞に位置するティラワ経済特区(SEZ)は、2015年9月開業のミャンマー初の大規模工業団地です。日本の商社が、第一期3年間の超特急で開発したAブロックは400ヘクタール、完成すると2400ヘクタールの巨大な工業団地となります。団地内には発電所などの基本インフラは完備されていますが、周辺の港湾、道路、橋梁など公共インフラの整備は、今後日本のODAで進められる予定です。 成功のカギを握るキーパーソンは住友商事から出向しているミャンマー・ジャパン・ティラワ・デベロップメント社の梁井崇史社長。ベトナムとフィリピンで工業団地を手掛けた敏腕商社マンながら、快活で爽やかな若手ビジネスマンです。牛や羊の放牧をしていた荒れ地をたった3年で見事な工業団地に完成させました。ミャンマーの経済成長を牽引するモデル事業として、内外から大きな賛辞と期待が寄せられています。
<エースコックの視察>
すでに日本をはじめ欧米の多国籍企業・アジア企業も続々進出している中、今回4月操業したばかりの即席めんのエースコック工場を視察しました。
<その他>
ヤンゴン市内から車で移動。国民の8割が農業従事者とあって、一歩市街地を出ると素朴な農村風景が広がります。第二次世界大戦中に亡くなった日本人兵
士の共同墓地と、ミャンマーの国づくりに日本が貢献した初めての橋の建設のために、現地に向かう途中の飛行機事故で殉職した6名のJICA職員の墓碑
に献花をし、手を合わせました。