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ラジオシェイクradioshake

第93回 「日本の難民受け入れ、刑事訴訟法改正について」

<2015年8月18日>     

 

(上川)リスナーの皆さまこんばんは、上川陽子です。

 

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いします。8月のお盆休みもあっという間に終わりました。夏休み、少しはとれましたか?

 

(上川)いやあ、今回は通常国会の真っ最中ということで、150日間プラス95日の延長で、夏休みの感覚はまったくありません。法務省関係では10本の法案を提出しています。うち3本は本会議で登壇して審議をする重要法案です。刑事訴訟法の改正がその一つですね。平和安全の問題は大変大きな議論になっていますが、刑事訴訟法についても冤罪防止のために大きな改革を目指しています。気が抜けない毎日です。

 

(鈴木)今日は、陽子さんの今年上半期の活動をふりかえってみたいと思います。ラジオシェイクでご紹介いただいた活動の中でも、とくに印象的だったのが、メキシコでの世界経済フォーラム・ラテンアメリカ会議に参加されたお話でした。その後、いろいろと関係が発展されているようですね。

 

(上川)55日から7日まで世界経済フォーラム・ラテンアメリカ会議のために訪問しました。そのご縁もあって6月には東京にあるメキシコ大使館の夕食会にお招きいただき、日本とメキシコの国際交流の歴史や重みを実感したところです。きわめて少人数の家族的な雰囲気の夕食会にお招きいただきました。徳川家康の洋時計とのかかわりから、メキシコと静岡のご縁の深さをお話し、大使からは早期にうかがいたいとのお返事をいただきました。

 

実は618日・19日、世界経済フォーラムのJapan Meetingが衆議院議員会館の国際会議場で初開催され、18日のレセプションでスピーチをさせていただきました。

 

(鈴木)東京でも世界経済フォーラムが開かれたんですね。どんなスピーチをされたんですか?

 

(上川)メキシコで呼ばれたときのテーマがパブリックセキュリティ(治安)でしたので、地域に根ざした活動、保護司や人権擁護の皆さん、更生保護の分野で活躍されている女性の方々など、再犯防止のためは地域の協力が不可欠であり、その結果として安心安全が保たれている、国が旗を振るだけでなく地域住民の協力が必要だということを訴えました。

 

(鈴木)世界経済フォーラムJapan Meetingの翌日、620日は「世界難民の日」だったということで、国連難民高等弁務官として活躍された緒方貞子さんにお会いされたそうですね。

 

(上川)今年の「世界難民の日」では、国連難民高等弁務官事務所が、世界の難民や国内避難民らが昨年末時点で過去最高の5950万人に達し,1年間の増加数も過去最高だったと発表しました。とりわけ中東地域ではISのテロ事件等をきっかけに多数の避難民が発生しています。国際社会においては人道的見地から緊急の対応を求められており、難民や国内の避難民が平和に安定した生活を送ることができるようになることが大事だと考えています。緒方さんから直接現場でのお話をうかがい、そのことを一層強く受け止めました。

 

(鈴木)難民問題ときくと、我々、つい、日本からは遠く離れた紛争地域で起きていることのように思ってしまうのですが、日本も多くの難民を受け入れてきたんですよね。

 

(上川)歴史的に見ると、日本では昭和50年代前半のインドシナ難民の大量流出を契機に、難民問題に関する議論が急速な高まりを見せました。いわゆるボートピープルといわれる方々ですね。昭和566月の通常国会において、国連の難民条約・議定書(1967年の難民の地位に関する議定書)への加入が承認され、昭和56103日に難民条約に、昭和5711日に難民議定書に加入、昭和5711日から同条約・議定書が我が国について発効することとなりました。

 

(鈴木)インドシナ難民とは、1975年のベトナム戦争終結にインドシナ3国(ベトナム・ラオス・カンボジア)で発足した新しい政治体制になじめない多くの人々が国外へ脱出したというものですね。日本で受け入れた方々はその後どうなったのでしょうか?

 

(上川)昭和5410月、インドシナ難民の日本での定住を支援する方針が閣議決定されました。これに基づき、(財)アジア福祉教育財団に定住促進のための事業が業務委託され、姫路定住促進センター(兵庫県姫路市)、大和定住促進センター(神奈川県大和市)、国際救援センター(東京都品川区)が設置されました。ここで、日本語教育、職業紹介、職業訓練などの定住促進業務が実施されました。多いときは16千人ほどの難民を受け入れたのですが、近年のインドシナ難民受入れ数の減少により、姫路及び大和の定住促進センターは既に閉所され、残された国際救援センターにおいて、従来のインドシナ難民のほか、平成15年度からは条約難民向けの定住促進業務を行っていました。その後、インドシナ難民の我が国流入が終結したことに伴い、国際救援センターは平成183月末をもって閉所し、同年4月からは新たにRHQ支援センター(東京都内)を設け、条約難民及びその家族を対象とした定住促進業務を行っています。

 

(鈴木)そういう支援を国で続けてきたんですね。

 

(上川)国が難民を受け入れるということは大きな責任が生じることです。難民キャンプ等で一時的な庇護を受けた難民は、当初、庇護を求めた国から新たに受入れに合意した第三国へ移動させることで、難民は移動先の第三国において庇護あるいはその他の長期的な滞在権利を与えられることになります。緒方さんがおられた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、第三国定住による難民の受入れを各国に推奨してきました。

 

日本でも国際貢献及び人道支援の観点から、アジア地域で発生している難民問題に対処するため、平成2012月の閣議了解で第三国定住による難民の受入れをパイロットケースとして実施することを決定しました。日本語という壁がありますが、平成22年度から年に1回のペースで、1回につき約30人の受入れを3年連続、3年間で合計約90人をパイロットケースとして受け入れています。対象はタイの難民キャンプに滞在するミャンマー難民で、日本語教育や社会生活適応指導、職業相談などの定住支援事業を行い、日本国内における自立を支援しています。

 

(鈴木)難民申請している人は現在、どれくらいいるのですか?

 

(上川)実はここ数年、難民申請の件数が著しく急増しています。申請内容の多様化していて、就労・定住や、本国送還を逃れるためと思われるものも増えています。その外国人が難民条約に定義された難民に該当するか否かの判断(難民の認定)は、法務省の入国管理局が所管しているため、我々もしっかり対処しなければなりません。昭和57年の難民認定制度導入から、平成18年末までの申請数は4,882件で、うち難民と認定されたものは410件、不認定は3,162件にのぼります。

 

(鈴木)法務省は出入国管理という大きな責務を背負った省庁ですから、この人が本当に難民かどうかの判断も大きいですね。
(上川)国際的なネットワークを通じ、ミャンマーのこの地域で暮らしていた人だと裏づけをとり、丁寧に審査をさせていただいています。日本の難民認定制度については、昨年末に法務大臣の私的懇談会である「第6次出入国管理政策懇談会」や「難民認定制度に関する専門部会」から提出された提言の趣旨を踏まえ、現在、入国管理局において総合的な検討を行っています。今後とも国際社会の一員として,難民の適正かつ迅速な庇護の推進を図っていきたいと思っています。 

 

(鈴木)日本がこの分野で国際的に責任をきちんと果たしていけるよう、期待しております。 

 

       ♪          

 

(鈴木)さて、大幅延長となった今国会で審議中の案件として、刑事訴訟法等の改正案があります。冤罪防止の問題,取調べの可視化の問題といった、ニュースで時々聞くものですね。少しわかりやすく解説していただけますか?

 

(上川)冤罪というキーワードが出ましたが、厚生労働省の村木さんの事件を覚えていますか?検事による証拠の改ざんなどセンセーショナルな事件として注目されました。

 

刑事訴訟は警察検察が取調べをし、起訴をした事件は裁判での判断を仰ぐ。重要犯罪については5年前から裁判員制度がとられています。その前段階の取調べでは、対象者からの供述を引き出す捜査が主に行なわれてきました。被疑者と取調官のやりとりを調書に記録する。この、供述調書や取調べに過度に依存してきた状況から脱し、適正な手続の下で裁判が行われることができるようにしていこうというのが今回の法改正の要です。「証拠収集手段の適正化・多様化」と「公判審理の充実化」を図るということですね。

 

 証拠収集手段の適正化を具体的に言えば、取調べを録音録画する、ということになります。これを公判で検証手段として取り入れる。もう一つ極めて限定的な導入として通信傍受制度。組織的な犯罪、暴力団が関わる事件や詐欺事件など、役割分担がされて首謀者までなかなか辿り着けないという事件では、今までも一部、通信傍受が採用されてきましたが、これを裁判所の許可をもとに広く運用させようということです

 

(鈴木)プライバシーとのかねあいが難しそうなテーマですね。

 

(上川)これは極めて抑制的に取り組まなければなりませんが、組織犯罪では犯罪の首謀者に辿り着かなければ被害者が増えてしまいます。犯罪の形態は大きく変化しています。一般の国民を標的とした暴力団員によるものと見られる殺傷事件、あるいは特殊詐欺のように一般国民にとって現に脅威となって社会問題化している事案もあります。こうしたものに対処するためにも改正が必要だということをご理解いただきたいと思います。

 

(鈴木)IT技術がどんどん進化し、制度が後追いになっているという側面もありますね。
(上川)通信傍受の基本的な枠組みは変えず、高度に暗号化された通信に取り組む上で、システム全体で運用全体が適正かどうか、傍受令状にのっとった形で厳格な要件を決めた上で電話番号等を特定する、さらにスポット傍受という手法もとる。最小限の範囲で傍受をすることをお願いしているところです。IT技術の進歩は日進月歩ですので、こういうことをうまく活用し、プライバシーについては十分に配慮した上で,通信傍受という捜査の手法がしっかりと適正になされるようにしていくということが極めて大事だと思っています。

 

(鈴木)厳しい夏ですが、ぜひぜひ夏バテしないよう、国会を乗り切っていただきたいと思います。

 

(上川)ありがとうございます。さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

 

 

 

 

 

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