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ラジオシェイクradioshake

第37回「新エネルギーとコンベンション機能を考える」

<かみかわ陽子のラジオシェイク 4月16日オンエア>

(上川)リスナーのみなさん、こんばんは。上川陽子です。

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。よろしくお願いいたします。今日4月16日は陽子さんと私にとって記憶に残る日ですね。ラジオシェイクがスタートした2年前の2011年4月16日、福島県いわき市を訪ねました。東日本大震災から1ヶ月あまり、大津波の被害を受けた海岸線約50キロを回りました。あのときの光景は、今も目に焼きついています。

(上川)静岡から出かけて、地元選出の吉野正芳先生と落ち合い、道路が整備されていない中でご案内いただきました。飛び込みで、復興センターの開所式で挨拶をさせていただいたことを昨日のことのように思い出します。

(鈴木)この2年あまりの間、自分たちの暮らしの中で何が変わったかといえば、やはり静岡ですから何といっても地震に対する切実な防災意識ですが、エネルギーに対する考え方も大きく変わりました。電気の多くが原発で作られていたということに、何の意識も持たずにいた震災前とは、明らかに変わりましたね。

(上川)そうですね。静岡県民は、大地震への防災意識に関しては東海地震の危険性が指摘された40年前から、連綿と、身についてきたと思いますが、原発施設が地震と津波であれほどまでに破壊され、放射能汚染や電力不足という日本の国土全体を揺るがす深刻な事態を引き起こす、というイメージは、今回初めて実感できたと思います。エネルギーに対する意識も、暮らしにとって切実な問題として出てきたと思います。今なお苦しんでおられる福島の人々や、原発事故現場で働く人々には、手を合わせる気持ちで一杯です。ご案内くださった吉野先生が、原発を推進する側から原発を無くす側へと転換され、必死に努力されているということも忘れてはいけないと思っています。

(鈴木)ところで今日は少し前向きなお話をしようと思います。私は日ごろ、ベンチャービジネスやニュービジネスにかかわる企業の方々に取材する機会が多く、震災と原発事故以降、エネルギー問題に取り組む起業家の皆さんが増えたなあと実感しています。

(上川)省エネやエコは、震災以前から国を挙げて取り組んできたテーマですが、震災と原発事故をきっかけに、国家としてのエネルギー政策を根本から見直し、化石燃料や原子力発電に代わる新エネルギーの研究開発や事業促進に拍車をかけました。

(鈴木)とくに注目されるのは、再生可能な自然エネルギー分野ですね。

(上川)ひとくちに新エネルギーといっても、国内を見渡すと、各地域の地形や気候によって得意・不得意な分野がいろいろあります。わが静岡県は太平洋に面した広い海岸線、一級河川、森林資源、温泉資源と、多様な自然環境に恵まれていますね。静岡で有望な新エネルギーといえば、何を想像しますか?

(鈴木)そうですねえ、やっぱりソーラーパネルの太陽光発電とか、巨大風車でおなじみの風力発電あたりでしょうか。

(上川)県が力を入れている新エネルギーは9つあるんです。太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、水力、地熱(温泉熱)、天然ガスコージェネレーション、燃料電池、ヒートポンプの9分野です。また潜在的エネルギーとして研究対象になっているのが、LNG冷熱利用、メタンハイドレート、海洋エネルギー、マグネシウム循環システムの4分野です。メタンハイドレートは先月、遠州灘の東部南海トラフ海域から取り出すことに成功しましたね。その埋蔵量も400年分あるといわれ、海底からガス産出は世界初。資源の少ない日本にとっては願ってもないニュースでした。

(鈴木)太陽とか風とか海底に眠っている資源って、クリーンですし、自然エネルギーの開発って手付かずの宝探しみたいで、なんだかワクワクしますね。

(上川)この中で、静岡で一番有望なのは太陽光発電。なにせ一日の平均日照時間が日本一の、おひさま県ですから。

(鈴木)いいですね、ふじのくにはおひさま県!

(上川) 2012年7月から国の再生可能エネルギー固定価格買取制度というのがスタートしました。民間企業が再生可能、つまり無尽蔵にある自然エネルギーなどをもとにした電力を、電力会社が固定価格で買い取ります、という制度ですね。これがインセンティブになって、民間の太陽光発電事業が加速したのです。静岡県全体では、住宅用太陽光発電設備の導入が、10年度から11年度までに157%という全国一の伸び率を記録したんですよ。

(鈴木)そういえば、ご近所にも屋根にソーラーパネルを設置した家がずいぶん増えました。

(上川)当初、設定された固定価格というのが、若干高めで、期限付きでしたので、事業者の注目が一気に高まりました。安心安全で地産地消できるエネルギーということで、多少電気代が高くついても導入したいという市場が、やはり原発事故をきっかけに広がっていったのです。

(鈴木)海外の資源に頼らざるを得ない化石燃料のリスクを考えると、エネルギーの地産地消って重要ですね。

(上川)静岡で有望なのは、もう一つ、風力発電です。微振動があるというデメリットもあって海岸沿いでの設置が進められていますが、こちらも県の導入計画の目標値を予定よりずいぶん早くクリアしたそうです。

(鈴木)静岡市にも中島に大きな風車がありますね、「風電くん」でしたっけ。

(上川) 風力発電は欧米では広く普及しています。日本でも「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の補助制度をはじめとした様々な国家的な取り組みが行われていますが、さきほどの固定買取制度の後押しもあって、民間の参入が進んでいます。今後は洋上、海の上での発電施設も有望視されていますね。  実は先月、東京で『スマートエネルギー展』という新エネルギーに関する大きな展示会に行ってきましてね。静岡市からは鈴与さんが風力発電技術を出展されていたのです。

(鈴木)鈴与さんは物流会社ですから、エネルギー分野に関しては積極的でしょう。

(上川)新エネルギーへの導入は早くて、NEDO主催の平成18年度太陽光発電新技術等フィールドテスト事業に参画され、JR静岡駅前にある鈴与静岡ビル屋上に太陽光発電システムを設置しました。

(鈴木)そうそう、国道1号線沿いの柱に何キロワット発電中ってデータ表示盤がありますね。

(上川)長沼にある東静岡ビルには、太陽光と風力発電を用いた電気自動車(EV)充電ステーションを設置しています。車両への充電の他、東静岡ビル1階のショールームでも使われているそうです。

(鈴木)地産地消を実践されているんですね。

(上川)鈴与さんはJリーグの試合の冠スポンサーも務めておられます。エスパルスとジュビロの静岡ダービーが日本平で開かれたときは、「しずおかウインドパワーエコマッチ」と名づけて、試合で使用される電力を静岡市の風力発電でまかなったそうです。

(鈴木)そういう広報活動も重要ですね。

(上川)太陽光や風力は海沿いのエリアというイメージがありますね。一方、中山間地の豊かな森林資源を活用したバイオマス発電も、静岡の有望な新エネルギーのひとつです。新東名の開通をきっかけに、内陸部の中山間地の発展が期待されていますが、エネルギーの地産地消のモデルケースとして、ぜひ静岡市のオクシズエリアでも進めてほしいと思っています。 ♪♪♪

(上川)さきほどちょっと触れた『スマートエネルギー展』、東京ビッグサイトで開催されたんですが、真弓さんは東京ビッグサイトのトレードショーって行ったことあります?

(鈴木)はい、毎年何かしらの展示会に行っています。とにかく広いし、交通の便もいいし、お台場ですから帰りに寄り道ショッピングも楽しめます。

(上川)あのような集客力のあるコンベンション施設って、これからますます重要になるなあと実感しました。スマートエネルギー展は65カ国の参加があり、1週間の期間中、1700億円の商談がまとまったと聞きました。時代の変化をとらえた先端技術や、未来の暮らしを変えそうな新しいサービスについて、実物を見て、開発当事者の話も聞けて、実際に商談もするわけです。同じテーマのものを、いろいろな企業で見比べることもできます。

(鈴木)私は仕事柄、新商品のパッケージやキャッチコピーの傾向をリサーチしによく行きますが、目からウロコの連続で、大いに勉強になりますね。

(上川)とくに中小企業にとっては、未知の取引先との出会いの場として有効です。自分たちがこういう目的で使ってもらおうと想定して開発した製品が、まったく想定外の分野の人の目にとまって、思いもよらない使い道が出来た、なんてケースもよく聞きます。異業種交流といいますが、一つのテーマの元、さまざまなチャレンジングを志向する企業が集っているわけです。展示スペースの規模が大きければ大きいほど、出会いのチャンスも広がるわけです。モノづくり・技術立国ニッポンの優位性を維持していくためにも、このようなコンベンション機能をもっともっと充実させていかなければならないとつくづく思いました。

(鈴木)先日、島田のお茶やさんを取材したんですが、ラスベガスで開催されるアメリカ最大のお茶の国際展示会・ティーエキスポに出展して、有名なコーヒーチェーンの会社から抹茶ドリンク用のお茶の取引オファーをもらったと聞きました。小さなお茶やさんですが、大変なビッグチャンスをつかんだわけです。展示会っておろそかに出来ないんですよね。

(上川)静岡市内でも世界お茶まつりやホビーショーなど、地域産業をテーマにした国際展示会が開かれていますが、正直なところ、キャパシティが十分ではありません。実は、東京ビッグサイトでのスマートエネルギー展、来年すでに200社のオファーがあったそうですが、東京ビッグサイトのキャパでは対応できないと、半分お断りをせざるをえなくなるそうです。一方で、上海には巨大なコンベンション施設があり、うちでぜひ、とオファーがあるそうです。展示会そのものを外に取られてしまう可能性があるのです。 東京ビッグサイトは日本一のコンベンション施設ですが、世界のコンベンション施設ランキングではなんと68位。アジアには巨大施設が次々に誕生しているんです。静岡に、世界基準の国際コンベンション施設を作るぐらいの気概を持って、この問題にあたってほしいところです。

(鈴木)確かに。グランシップもツインメッセも、コンパクトで使いやすいと思いますが、静岡から時代を変えていく新技術・新サービスを発信していこうって考えたら、発信力・集客力のある場のチカラも必要ですね。

(上川)先月、ラジオシェイクでお話したと思いますが、私は今、健康長寿社会づくりに向けて、医療機器の研究開発を促進する議員連盟を作って活動しています。医療機器の分野は、それこそ、日本の技術力の粋が結集すれば、大いに発展する分野です。この分野は輸入がほとんどでしたが、反転攻勢で日本から輸出するぐらいの勢いで取り組んで欲しい。今まで他のモノづくりのために開発されてきた技術をどんどん応用し、体に負担をかける外科的手術の要らない治療器具や、長生きだけど寝たきり、ではなく、元気で長生きできるために必要な機器を生み出してもらいたいのです。

(鈴木)静岡は今、たしか都道府県別で健康長寿日本一ですよね。

(上川)そう、だからこそ、静岡から発信したいのです。そのためにも、技術と技術が出会う場所、スペシャリスト同士が出会う場所として、静岡のコンベンション機能が向上すると嬉しいな、と思います。実は、3月、「優れた医療機器を国民に届けるための議員連盟」を立ち上げ、成長戦略を推進する予定です。ベンチャービジネスを積極的に後押ししてまいりたいと思いますので、どうぞご注目ください。 ♪♪♪

(鈴木)陽子さんは今、自民党の総務会副会長、国会対策副委員長など非常に重要な役職を務めておられるのに、またまた、女性活力特別委員会という会の座長に就任されたそうですね。

(上川)安倍首相から直々に頼むと言われまして、男女共同参画や少子化対策の大臣を務めた立場としては、これはもう天命かなと(苦笑)。グローバル社会が進む中、異分野の中で女性が能力を発揮するにはどうしたらいいか。また一方、地域の中のさまざまな課題に対し、女性の能力が十分に機能するにはどうしたらいいか、そんな2本立てで、女性の能力がもっと社会のなかで多面的に活かされる、そんな場面を想定した政策へとステップアップさせていこうという活動です。せっかく新しくスタートする委員会ですから、従来の発想にとらわれず、広い視野で取り組みたいと思っています。

(鈴木)女性リスナーの方から、自分の仕事や暮らしの中で不便を感じることや、身の回りで気になったなど、いろいろな声を寄せていただきたいですね。

(上川)ぜひそうしていただきたいと思います。さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、ありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

法務大臣 活動記録 2017.8.3~、2014.10.21~2015.10.7 総務副大臣 活動実績!

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