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かみかわ陽子

陽子日誌

  

 

      情熱だより 2006 年夏号

(巻頭言)

総務大臣政務官の一年をふり返って

衆議院議員 上 川 陽 子

暑さ厳しき折、皆さまお元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます。

衆議院議員として 3 期 7 年目を迎え、これまで皆さまと一緒に政治を考え、行動してきた成果を報告できることを大変うれしく、心から感謝申し上げます。

特にこの一年は、第3次小泉内閣の総務大臣政務官として政府の中に入り、国会(立法府)と政府(行政府)の両面から政治を立体的に見ることができた貴重な月日でした。

総務省は、国の行政組織のあり方、地方自治・郵政事業・消防防災・放送通信など国民の日常生活に密着した行政機能を担い、さらに全省庁の行政評価を行う機関です。総務大臣政務官として「小泉改革」を進める中で、国民の視点や長期的な利益を重んじながら改革を実現することの大切さ、その実現のために立法と行政の両面から政治を動かす方法を身をもって知ることができました。

例えば、行政評価・政策評価を通じ税金が有効に使われているのかはもちろんのことですが、事業そのものが国にとって必要不可欠なものか、政治が過去に行った政策決定が現在でも有効かどうかを根本的に問い直すことが重要です。官僚の立場からは言えないこのような視点を提起し、ともに改革を実現していくことが、政治家の大きな役割の一つだと思います。

小泉首相はまもなく退場し、日本は新しいリーダーを迎えます。この機会に、私も行政府での経験をしっかり“自己査定”し、政治家として新しいステップにつなげていきたいと思っています。

つい最近、自民党女性局の代表として、フランスへ「少子化対策」の視察に行ってきました。昨年女性局長時代に手がけた「子ども Happy プロジェクト」を実現するヒントを得るとともに、海外から日本の政治を改めて見直す機会を得ることができました。この国の未来のために「改革」をさらに推し進め、外交面でも内政面でも世界に誇れる国づくりをめざしていく決意を新たにしています。

 

7 月、自民党女性局の代表としてパリ視察(在フランス日本大使館にて)

 

(インタビュー)

国民に寄り添い、心を通わせながら、

未来に責任を果たす政治家として生きていきたい

有権者の声を国の政策に

―― 平成 18 年度の通常国会が閉会しました。陽子さんにとってどのような国会でしたか?

大変意義のある国会でした。というのも、具体的な要望なり陳情を国の政策として実現していくために、政府のどの機関の誰と話し合い、政治家の誰の協力を得ながら、いつまでにどの程度のことを実現していくのかという「立法」の流れやコツを一人の政治家として確かにつかんだという実感があるからです。

先月、厚生労働大臣に提出した「夜間医療に関する緊急提言」をまとめることができたのは、静岡県の医療機関で働く看護師さんの代表の方々から過酷な夜間勤務の実態をぜひ見てほしいという要望を受け、 2 つの総合病院を視察したことが始まりでした。「このままでは医療事故を起こしかねない」という悲鳴に近い医療現場の声を聞いて居ても立っても居られず、まず県内病院の看護部長さんたちと勉強会を立ち上げました。

実態を聞けば聞くほど、この問題は看護師だけの問題ではなく、国民により良い医療サービスを提供するためには根本的な改革が必要と思い、早速自民党看護技術者対策議員連盟(会長:津島雄二先生)で訴え、議連内に「夜間医療に関する勉強会」を組織し、その座長として議論をまとめました。

その際、看護師の夜間労働を問題にするのではなく、“夜間医療の質を上げる”という切り口で訴えたのが功を奏したのでしょう。手助けしてくれる先輩・同僚議員がたくさん現れました。厚生大臣を 2 度も務められた津島先生から「自分が担当していたときには考えも及ばなかった。とてもいい仕事をしてくれた」とのお言葉をいただき、看護連盟の皆さまからも「ここまで動いてくれた議員は初めて」と喜ばれました。

政治家一人でやれることは限られているだけに、現場の声を基にテーマを明確にし問題を解決するためには、多くの賛同者と応援が必要であり、そこに至るベストの方法とステップがあることを実感することができました。これは 3 期目にならなければできなかったことだと思います。

―― 静岡発の政策実現になるわけですね?

国が掲げる“医療サービスの充実”という大きな政策を地方の現場の声を基に実現していく、そして再び地方でその実証モデルを作り上げていくというスタイルは非常に有効であると思います。だからこそ政治家は現場に足を運び、自分で問題を感じ取り、現場の人々とともに考えるという姿勢が大事だと改めて実感しました。政治家は陳情書を執務室で目を通すだけでは、国民の要望に応えられないと思います。

さらに医療に関しては現在、「地域医療のトータルプラン」に基づく取組みが重要となっています。私はこの静岡県を地域医療のモデル県として実験・開発していきたい。県下の大学研究者や医療関係者などの協力を得て、静岡発、全国のモデルとなる地域医療ネットワーク、医療学園都市を実現していきたいと燃えています。

夜間医療に関する提言を川崎厚生労働大臣に提出

 

ソフトパワーによる安全保障を

―― この時期ですので靖国問題にも触れておきたいと思います。陽子さんのスタンスをお聞かせください。

民主主義社会というのはどんなタブーな問題も正々堂々と自由に議論できる社会のはずですが、靖国問題・戦争責任問題は戦後 60 年もの間、日本人が本当の意味での総括を避けてきた、その一例だと思います。このような大問題を議論せずに済ませてきたことは、国民にとって、また将来の日本にとって大変不幸なことだと考えます。多くの国民を死に追いやった指導者たちの責任問題は避けて通ることができません。

(参考) 2001 年 9 月 「リーダーの責任について思うこと」

毎年この時期になると、遺族会の方々やシベリア抑留者の皆さんから貴重なお話を聞く機会に恵まれます。不幸な歴史の中で大変なご苦労をされ今なお戦争によって傷ついている人々に、寄り添い、心を通わせながら、未来に責任を果たす政治家として、これからも生きていきたいと考えています。

―― アジア外交と安全保障問題についてはいかがですか?

これまで国会議員の代表として IPU (列国議会同盟)の活動を通じ、あるいはまた自民党女性局長として、世界とりわけアジア諸国の女性政治家と同じテーブルにつき、多くの問題を議論し、彼らとともにその解決に努力してきました。そうした経験から、未来に向けて「共通の利益」を実現するために東アジア共同体の構築を目指していくのが、日本とアジア諸国の国益にも合致するとの確信を深めてきました。アジア全体の「共益」を実現する新たなプラットホームをつくるために、日本のもてる得意な分野での貢献が必要だと考えています。

安全保障といっても軍事パワー一辺倒でなく、ソフトパワーを重視して安全保障体制を築きたいと考えています。日本は災害対策、環境対策、医療とりわけ感染症対策、資源開発などの面で優れた技術蓄積と人材を持っています。アジア諸国の貧困からの脱出のために、これまで日本が果たしてきた外交努力の蓄積を無にすることなく、さらに政治家同志の信頼に基づきながら、平和な関係の維持・発展のために発言し、行動していきたいと思います。

 

総務大臣政務官として答弁

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