(12月19日オンエア)
(上川)リスナーの皆さま、こんばんは。上川陽子です。
(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。今年最後の放送となりました。振り返って2017年はどんな一年でしたか?
(上川)今100代目の法務大臣を務めておりますが、8月3日の組閣で突然2度目の法務大臣を拝命し、2度目ともなると皆さんからの期待も大きいと実感しています。1期目は法務省5万3千人の一人一人の職員がどういう仕事をしているのか、から始まって、各人の仕事を理解するのに時間がかかったのですが、2度目はだいたいわかるので、私としてはスタートダッシュで頑張ろうと、まさにダッシュし続けた1年となりました。
法務大臣は、皇居に参内する機会が他の大臣よりもおそらく多いと思います。裁判官や検察官のトップの方々の認証式があるためです。お誕生日ごとに代わりますのでそのたびに新しい方の認証式をお手伝いするために参内します。自分の大臣職の認証式が半年間で2回もありましたし。今年は11月23日の新嘗祭の夜の儀式に初めて参列しました。
(鈴木)新嘗祭ってニュースでちらっと拝見したことがありますが、陛下が白装束で静々と拝殿に入られるあの雰囲気そのままですか?
(上川)そのままです。神事でありますので、私どもは外の建屋でお待ちするわけですが、薪が炊かれる真っ暗闇の中でおごそかに行われました。皇居の森は暗闇ですが、皇居の外は大都会で明るくて、街のネオンがフワーッと浮かび上がるんです。漆黒の闇が光の輪で覆われているような不思議な世界でした。
(鈴木)それは貴重な体験でしたね。さて今日は地域のお話をうかがいます。先月は各地で農業祭が開かれ、陽子さんも参加されたそうですね。
(上川)この時期は静岡では各地域で農業祭が行われまして、約1か月間、私も各地域を廻らせていただきました。どの地域でも嬉しいのは子どもたちが積極的に参加していること。お祭りに参加する子どもたちの姿を本当にたくさん見ることができました。
JA静岡市西奈支店の農業祭では地元の北沼上小学校の6年生がオリジナルのトマトジャムを自分たちで企画開発して販売したんですよ。私もひと瓶買ってまいりましたが、大変な人気であっという間に売り切れました。
(鈴木)新聞記事で読みました。トマト栽培から値段付け、ネーミングやラベルデザインまで子どもたちが参加したそうですね。
(上川)そうなんです。子どもたちが立派に説明してくれるんですよ。商品名は「きたぬまの自然の美味しさ―トマトジャム」っていうんです。
(鈴木)わかりやすくていいですね。
(上川)北沼上の地域を皆さんに知ってもらいたいというのが根っこにあって、トマトジャムを企画したんですね。ジャムを通じて故郷のことを知ってもらいたい、聞いてもらいたいという気持ちに感動します。
(鈴木)こういうジャムを作ったって、子どもたちにとっては一生の思い出になりますね。
(上川)北沼上小の6年生は国会見学にも来てくれたんです。その子たちがそういう形で地域の行事に参加している姿を見ると、どういう大人に成長するんだろうかとワクワクします。私に国会で案内されたことをちゃんと覚えていてくれて、とても嬉しかったですね。
(鈴木)地域の宝ですね。
(上川)自分たちがやってきたことをしっかり伝える力があるんです。農業祭でも取材に来たマスコミがマイクを向けても堂々と受け答えしていました。
(鈴木)他の農業祭はいかがでしたか?
(上川)梅ヶ島では恒例で、中学生がワサビや梅干を作って販売しました。舞台では神楽も踊っていました。中学生に地元の神楽を伝承していく試みは今回初めてで、素晴らしい舞でした。麻機の農業祭では野球部の子どもたちがふかし芋や綿菓子を一所懸命売っていました。地元と学校の関係が非常に密接である証拠ですね。
(鈴木)地域の農業祭はいろいろな意味で地域のコミュニティを維持するために重要な存在になっていますね。
(上川)やはり農業の生産現場が身近にありますので、密な交流が可能です。すべての都市で出来るわけではありませんから、都市と農山漁村の交流を呼びかけ、都市に住む子どもたちが静岡の中山間地の子どもたちと触れ合い、中山間地の子どもたちが都市部の子どもたちと触れ合う、そんな活動を私自身、初当選の時からずっと提案してきました。今回の農業祭でますますその重要性を実感しましたね。
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(鈴木)ところで私は今、タビタビという雑誌で「しずおか今昔物語」という歴史モノの連載をしていまして、資料集めにいつも苦労しています。静岡に歴史博物館があったらなあとつくづく思っていたんですが、実は建設計画が進んでいるそうですね。
(上川)そうなんです。静岡市は小学校の統廃合が進んでいて、青葉小学校の跡地利用で博物館を作ることが現実味を帯びてきました。
実は全国の県庁所在地で歴史博物館がないのは静岡市だけです。最後に残された静岡市ですから、一番進んだ博物館を作ろうということで、平成28年3月に「(仮称)静岡市歴史文化施設建設基本計画」を策定しました。作るにあたっては研究会が設置され、先日、座長の中村羊一郎先生とお会いする機会がありました。
(鈴木)いろいろ注文することがおありだったんじゃないですか?
(上川)家康公がスペイン国王から贈られた洋時計ですね。これを静岡市のシンボルにすべく、札ノ辻等にからくり時計を設置するプランなどもあったのですが、新しい歴史博物館が出来るなら目玉になり得ると申し上げました。
(鈴木)青葉小学校跡地は駿府城公園のすぐ横ですものね。
(上川)駿府城公園の一部といってよいでしょう、内堀と外堀の間ですから。家康公の洋時計は天皇皇后両陛下とスペイン国王に実際にご覧いただきましたし、大航海時代の歴史の証拠として、2021年完成を目指し、新しい年号とともに静岡が新たな国際都市として船出するシンボルになるのではと期待しています。
(鈴木)陽子さんといえば公文書館ですが。
(上川)公文書館や博物館ではデジタル化が重要になってきています。国内外の施設とネットワークでつなげ、静岡の歴史博物館なら大航海時代の情報がすべてわかる・学べるという施設にしたい。それが、今の時代に日本の県庁所在地に最後に出来る歴史博物館の使命だろうと思います。歴史博物館で知った久能山東照宮や清見寺にも行ってみようという仕掛けになればと思いますね。
建物を空間全体で見せる仕掛けも必要です。東京駅のプロジェクションマッピングが話題になりましたが、今はかなりやりやすくなっていて、京都のお寺などでも採用しています。駿府城公園の内堀や巽櫓を含め、全体の空間を利用してプロジェクションマッピングしてみると、この一帯は365日24時間楽しめるのではと思います。
(鈴木)巽櫓や東御門の白壁にいろんなものが映し出されると想像するとワクワクします。夜歩きたくなりますね。
(上川)そうです。青葉公園のイルミネーションに加え、もう一つの名所として駿府城公園のイルミネーションを楽しんでいただいて、博物館で歴史的背景にもしっかり触れていただく、そんなしかけに期待しています。
(鈴木)静岡市へゲストを招いても案内する観光名所がないという声をよく聞きます。静岡へ来たらまずあそこへ、という施設が欲しいところですよね。
(上川)その意味では市民の皆さんに応援してもらわなければなりません。リスナーの皆さまどうぞよろしくお願いいたします。
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(鈴木)2017年も押し迫ってまいりました。来年はどんな年になりそうですか?
(上川)私は今年8月大臣になりまして、2020年を目指して司法外交をアジアのみならず世界で展開し、国際貢献していくことを打ち出して取り組んでいきました。2015年に国連で採択されたSDGsの「世界のだれ一人取り残さない」という目標を、法務省としても大きな目標に掲げたのですね。
「誰一人取り残さない」という意味ですが、たとえば戸籍のないお子さんや声を出すことのできないお子さんたちが、この年の瀬にどんなふうに過ごしているのだろう、来年こそは戸籍を取ってもらって学校へ通ってもらいたい、みんなが希望を持てるよう、誰一人取り残さないという目標を皆さんで共有してもらいたいのです。
(鈴木)この時期、クリスマスやお正月を楽しむことのできない子どもたちもいるんですね。
(上川)そうですね。そこのところを補う愛情や支援を差し伸べる方々もいらっしゃいます。制度があっても充分活用されていない、また現実に適応しにくいのであれば、「誰一人取り残さない」環境を作るのが政治の使命ですから、その基礎基本をふまえ、社会に活かしていきたいと思っています。
(鈴木)陽子さんのその思いが一つでも二つでも叶いますよう、お祈りしています。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
(上川)ありがとうございます。一年間お世話になりました。さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それではよいお年をお迎えください。