(12月5日オンエア)
(上川)リスナーの皆さま、こんばんは。上川陽子です。
(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。2017年もあっという間に年の瀬です。今年はいつになく時間の流れが速く感じられたんじゃないですか?
(上川)そのとおりです。とくに後半は目まぐるしい活動の連続でした。5月にはベトナムとミャンマー、7月はヨーロッパ3カ国、9月には法務大臣になってからインドネシアとシンガポールに行きました。8月に法務大臣に再任され、10月の解散総選挙で再再任したということで、大臣室には国内外からさまざまなお客様がお越しになり、司法外交展開の皮きりの年にもなりましたね。
(鈴木)法務大臣に再任され、本当にこれまで以上にアクティブに動いておられるようで、ツイッターやフェイスブック、頻繁に更新してらっしゃいますよね。
(上川)8月3日に再任されたとき、前回の法務大臣のときは活動の様子がよくわからないと言われましたのでSNSでの活動報告に力を入れるようになりました。とくにツイッターですね。一日1投稿を目標に、写真とメッセージをUPしております。
直近ですと、先月の14,15日の2日間,北海道の法務関係施設の視察に行ってまいりました。これは大臣・副大臣・政務官の3役によるキャラバン隊ということで、全国にある法務関係の施設を廻っているものです。今回は羽田空港と新千歳空港の入国審査場、札幌市西区更生保護サポートセンター,札幌高検・地検,札幌刑務支所,沼田町就業支援センターを視察し,更生保護関係者,女性刑務官や法務官署幹部との座談会や意見交換をしてきました。札幌は雨がパラパラだったのですが、沼田は雪が吹雪いている状態で、北海道は11月からこんなに寒いんだなと実感しました。
(鈴木)北海道には重要な法務施設がたくさんあるんですね。
(上川)まずは羽田空港と新千歳空港の入国審査場では顔認証システムですね。日本人が帰国の際、パスポートの顔と本人をただちに照合します。今は日本人だけですが、外国人の出国時にも活用できれば、いずれは外国人の入国時にも使えるのではと。もちろん厳しい審査が必要ですが同時に瞬時に対応できるように先端技術を活用しようというものです。
札幌市西区更生保護サポートセンターは区役所の中に設置されています。そこで保護司等の先生方と面談しました。札幌には刑務所もあります。刑務所の施設というのは建築物として非常にユニークなものが多いのですが、札幌はカニの足のような形状で、足の反対側には女性だけの札幌刑務支所にもあります。女性刑務所の場合は若い刑務官が定着しにくく、キャリアを重ねた刑務官が少ないという問題がありますので、そのテーマで話を聞かせていただきました。
(鈴木)陽子さんのツイッターに「マーガレットアクション」というキーワードを見かけたのですが、これは刑務所で働く女性の待遇改善を指すことでしょうか?
(上川)そうですね。千葉県の堂本元知事を中心に自民党の中でチームを作っていただき、女性の刑務官の処遇改善と働きやすい環境づくりをマーガレットアクションプランとして提案していただいたのです。改善は進んでいるものの、まだまだ課題は山積しておりますので、プランをなんとか形にしていければと思っています。
女性の受刑者は年々高齢化しており、覚醒剤などの犯罪受刑者も増えています。なかなか難しい状況ですので、女性刑務官にはキャリアをきちんと積んでいただく必要があるのですが、早い時期に離職されてしまうということで、なかなか越えられない壁となっています。そこで男性刑務官を女性刑務所に配置したり、女性刑務官が男性刑務所で研修を受けるという取り組みも始めました。中には子育てをしながら働く女性刑務官もいますので、そういう先輩の声を聴いていただく機会を作り、ワークライフバランスを取りながらキャリアを積んでいただくよう進めていきたいと思っています。
(鈴木)豪雪地帯といわれる沼田はどんな施設に行かれたんですか?
(上川)沼田町就業支援センターへ行きました。少年院を出所間近かな男子を全国から集めて農業実習をしてもらう施設で、現在6人収容しています。農業を通して1年実習させるということで、沼田町が経営している農場が受け入れています。センターが町と契約するのですね。10年前からスタートし、ハウスでのいちご、しいたけ、肉牛の飼育、稲作、路地トマトやカボチャ、大豆等も栽培しています。ここで作ったトマトと一般農家が作ったトマトを一緒にしてトマトジュースとして販売もしているそうです。
農作業を通して土に触れ、自立のための目標を持ってもらうというしくみ、本当に感動しました。10年前にこういう施設が出来るときは反対の声もあったそうですが、町長さんは集会所に近隣の皆さん集まっていただいて、何度も何度も説明し、納得していただいて10年間続いている。このような施設は全国でも沼田が唯一で、町長と更生保護関係者と住民の方々が町ぐるみで少年を温かく見守っています。
(鈴木)そういう施設が存在していること自体、知っている人は少ないですよね。
(上川)全国の更生施設ではさまざまな取り組みをしていただいていますが、農業という手をかけなければ成果が出ないという仕事を四季折々の中、しかも北海道という気候的には厳しい中で粘り強く取り組む、そういう経験が、若者にとってはとても大きな経験だと思いました。彼ら一人一人が自分を見つめ直すよい機会にもなっているはずでしょう。
(鈴木)とても充実した視察ができたようですね。
(上川)本当に行ってみなければわからないと実感しました。とくに沼田では、地域の町民の皆さん方が少年たちを運動会に呼んだりして同じ住民として扱っていただいている姿を知って、とても嬉しく思いました。
(鈴木)陽子さんの現場主義、政治家としての姿勢にますます活かされていかれるようですね。
(上川)そうですね、全国にはいろいろな施設がありますので、これからも現場の声を活かしていきたいと思っています。
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(鈴木)後半はグーンと南へ飛んで九州長崎に行かれたお話をうかがいます。
(上川)長崎へは北海道に行く直前、先月の11・12日、佐世保で開催された第71回全国お茶まつりに行ってまいりました。
(鈴木)陽子さんは日本茶業中央会会長でもいらっしゃいますよね。
(上川)全国お茶まつりの主な行事は全国茶品評会の表彰式です。これも現場を見なければわからないことばかりでしたね。実は静岡県は過去3年連続『産地賞』を受賞しており、そのときに行けばよかったと思ったのですが、普通煎茶の部門では浜松の春野と天竜のお茶が最高位の大臣賞を受賞されました。やはり静岡県のお茶が優勝すると嬉しいですよね。
(鈴木)静岡県は、県内でも産地間で競い合っていますものね。
(上川)そこがまたすそ野の広さですよね。お茶の品評会ですからそれぞれの産地から普通煎茶、や玉露など各部門の金賞銀賞銅賞の各受賞茶がズラーッと並び、それぞれ点数がぜんぶ付いているんですね。そこに行くと生産者の方はよりよいものを作りたいという思いにかられるんだと思いますね。いいお茶を作れば買い手も評価します。その意味で品評会の価値も大きいですね。
(鈴木)品評会の審査員の方のお話を聞いたことがあるのですが、審査員になるためにはものすごくシビアな研修を受け、スキルアップをされるそうです。とても公平な審査なんだなと思いました。
(上川)審査員には静岡県出身者が多いんですね。そこは誇らしく思います。やはり日本一の産地として人材を育成し、若い人に伝統を受け継いでいただきたいと思います。
(鈴木)全国お茶まつりということで、静岡以外のお茶も飲まれたんですか。
(上川)今回それこそチャレンジしたのは、若手の生産者が全国で取り組むご当地茶。ハウステンボスのホテルに全国15産地の青年部の方々のブースが設置されていて、予定にはなかったのですが飛び入りで参加させてもらいました。それぞれ味も香りも違いまして、全部買って帰りましたよ。
(鈴木)品種もやぶきた以外にいろいろ出ているんですよね。
(上川)そうなんです。若手の中での競い合いや励まし合いが、これから日本が世界でお茶を飲んでもらうために顔の見えるネットワークづくりに大切だと思いました。静岡のお茶も日本のお茶も世界の中で、紅茶やコーヒーと競い合い、日本茶は健康にもいいと評判を得ていただきたいと思います。
(鈴木)本当に今年、陽子さんはお忙しかったと思います。一日のうちでせめて一杯のお茶を飲んでホッとされるお時間を取っていただきたいです。
(上川)お茶の味と香りで大いにリフレッシュさせていただきたいと思います。
さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。