日本一の「富士山」が、世界文化遺産に正式登録されました。登録が難しいとされた「三保の松原」も最終審査で承認され、喜びもひとしおです。こうした快挙の背景には、「富士山をより美しく」と始まった地元における官民あげての美化運動など、「富士山」を心から愛し、守り続ける多くの方々の努力がありました。ご尽力くださいました皆様に心から感謝申し上げます。
そして今回の登録にあたってのもう一人の立役者が、前文化庁長官の近藤誠一さんです。近藤さんは、私と同じ東大の教養学科ご卒業で、私が大学時代に所属した東京大学国際法研究会というクラブの先輩。私たち夫婦ともども学生時代からご指導をいただいたご縁がございます。その後、ユネスコ大使やデンマーク特命全権大使など外交官として、また日本を代表する文化人として世界で幅広く活躍されました。その近藤さんが、富士山の世界文化遺産登録にあたり交渉責任者を務められたことは、日本にとってまさに天の配剤でした。
さてこのたびの登録申請にあたり、ユネスコ審査会には、「富士山」に関する多くの文献・史料が提出されました。万葉の時代から今日まで、日本のシンボルとして、また日本人の心の拠り所として深く根をおろし、崇敬されてきた「霊峰富士」を世界に証明するためです。現在、東京・北の丸公園にある国立公文書館では、「第2回公文書館で『富士登山』展」が開催されています。先日私も見て参りましたが、その中に、地図大の古い「富士山双六(すごろく)」がありました。富士山の頂きまで様々なルートで駒を進める作りになっており、遊びを通して「富士山登頂」が疑似体験できる貴重な史料です。
静岡に生まれ育った私にとっての原風景が「富士山」です。自然に恵まれた静岡県に生まれ育ったことに感謝の心を忘れず、これからも「日本一の富士山」を、心のふるさととして大切にしていきたいと思います。
衆議院議員 上川陽子