第38回「iPS細胞とヌーヴェルヴァーグ・日本一のバラ生産者鈴木さんを迎えて」

<かみかわ陽子のラジオシェイク 5月7日オンエア>

 

(上川)リスナーのみなさん、こんばんは。上川陽子です。

 

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。よろしくお願いいたします。さあゴールデンウィークがあけました。陽子さんは、連休中はどんなふうに過ごされたんですか?

 

(上川)もっぱら、知事選の応援と、参議院選挙に向けての自民党の公約づくりの仕事をしつつ、すこしばかり、家族と過ごす時間をもちました。

 

(鈴木)ところで先月の放送で、陽子さんが数多くの議員連盟の活動をされていることを紹介しました。とくに厚生労働関係の分野に力を入れているとのことで、さっそく先月視察に行かれたそうですね。

 

(上川)「再生医療を推進する議員の会」という議連で、4月1日に、京都大学iPS細胞研究所を視察してきました。残念ながら山中伸弥教授は海外出張中でお会いできなかったのですが、副所長の中畑龍俊教授が研究内容をご丁寧に解説してくださいました。

 

(鈴木)ノーベル賞の研究施設ってどんな感じでしたか?

 

(上川)京都を流れる鴨川のほとりに、京都大学のキャンパスがあります。その一角に医学部のキャンパスがあり、そのまた一角にiPS研究所があります。新設された施設ですが、京都の町の景観条例により高さ制限が課せられているため4階建て。もうすでにかなり手狭感がありました。ところで、真弓さんはiPS細胞ってご存知ですか。

 

鈴木)初歩的な知識しかありませんが、自分自身の体の組織から細胞のコピーが作れるということですよね。最初にiPS細胞のことを知ったときは、まず山中教授が自分と同い年だってことでビックリしました(笑)。

 

(上川)人が生まれるまでに、受精卵が細胞分裂して、体の部分が形成されヒトになるわけですよね。体の一部、たとえば皮膚の細胞をとって、それに4つの山中因子といわれる細胞を加えると初期化されて、細胞分裂するまえのオリジナルな細胞となることを発見したのです。「初期化」というキーワードを聞いて、iPS細胞とはなにか、ようやくわかったような気がします。初期化する過程で、がん化のリスクを避けるために、どんな細胞を使うかなど、研究が進んでいます。  2段階目は、初期化した細胞を培養するステージです。培養技術は、アメリカがかなりの特許をとっているため、あらたな培養技術の開発なども研究課題となっています。さらに、培養したものを、たとえば骨の細胞なら、破損した骨に移植をして治療をする医療技術が必要になります。個人個人で適応も違うので、自分の細胞からのiPS細胞が必要ですし、また、他人の細胞なら適応できるようていねいな治療が必要になります。その技術も研究対象となっています。

 

(鈴木)研究所は実験室みたいな感じなんですか?

 

(上川)研究所内を視察しました。最新の医療機器やコンピューターに囲まれて、若い研究者がのびのび働いている姿を見て、とても誇らしく、頼もしく感じました。医療機器は外国製のものも多いとのこと、しかし、外国製であっても日本の部品が使われているという説明もあり、それはどんな企業ですかの問いに、浜松ホトニクスですとの説明をいただき、本当にうれしく思いました。

 

(鈴木)浜松ホトニクスの技術が活用されていると聞くと、静岡県民としても誇らしく思います。私の知り合いに、浜松ホトニクスで光技術を学んだ池田貴裕さんという30代の若手起業家がいるんですが、彼の会社・パイフォトニクスで、太陽光線と同じレベルの光を、小さな小型キューブから低い消費電力で、ものすごく遠くまで平行に、必要な部分だけ照明をあてる技術を開発したんです。当初は目視検査用に開発したそうですが、キューブをいくつも連結させると、遠くのビルや山の斜面にピンポイントで文字や色を描けるんです。これで浜名湖舘山寺の夜景ライトアップを成功させ、東京スカイツリーや大阪梅田の再開発ビルのライトアップにも使われ、今度はなんと富士山をライトアップさせようという夢のあるプロジェクトに挑むんです。静岡のモノづくりの技術が、多くの日本人の心や体を癒し、元気付ける事業に生かされるって素晴らしい、って思います。

 

(上川)若い人が、新しい事業にどんどん挑戦できる環境づくりを、まさに我々政治が取り組まなければなりませんね。今日は、そんな、ヌーベルヴァーグの担い手にお越しいただいたんですよ。ヌーヴェルヴァーグって何のことかわかります?

 

(鈴木) フランス映画のジャンルで聞きますよね。ゴダールとかトリュフォーとか、新しい波を起こした革新的なクリエイターたちのことですか。

 

(上川)ヌーヴェルヴァーグというのはバラの品種なんです。今日はそのバラを育てた生産者、鈴木雄介さんをお迎えしました。 ♪ 

 

(上川)こんにちは、鈴木さん。

 

(鈴木雄介)こんにちは。鈴木です。静岡の油山というところでバラを作っています。

 

(上川)ようこそお越しくださいました。実は、鈴木さんが作ったバラの花、ヌーヴェルヴァーグの花束を、先月、新宿御苑で開かれた安倍総理主催のお花見の会で、総理に直接お渡ししたんですよ。

 

(鈴木雄介)ありがとうございます。それはまたどういういきさつで?

 

(上川)今年2月の、関東東海花の博覧会で、鈴木さんが丹精込めて作られたヌーヴェルヴァーグが、見事農林水産大臣賞を受賞されたんですよね。おめでとうございます。この素晴らしいバラを何が何でも総理に届けたいと思いました。直接安倍総理に届けるためにはと策を練りまして、総理主催のお花見の会で、まさに深紅のバラをお渡ししたんです。若手のバラ職人、鈴木さんのことも紹介しましたよ。とても、感激してくださいました。 聞くところによると、この博覧会は、大変権威のある博覧会だそうですが。

 

(鈴木雄介)年に1度池袋のサンシャインで開催される展覧会で、バラ以外の花も一堂に集まる、日本で最も歴史のある花の博覧会だといわれています。

 

(上川)ヌーヴェルヴァーグを出品しようと思われたきっかけは?

 

(鈴木雄介)今までローテローゼという一般的な赤いバラを出品していたんですが、今回、たまたまヌーヴェルヴァーグの出来がよくて、これを出品しようということになり、名誉ある賞をいただくことができました。

 

(上川)花の形が際立って違うそうですが、どういう品種なんですか?

 

(鈴木雄介)花弁に切込みがあるという特徴があり、標準的な赤いバラよりも黒味がかった深紅の色で、葉っぱに光沢がありますね。

 

(上川)今、目の前にあるんですが、この深紅のバラ、しかも花弁がとても繊細ですよね、作るのは難しいんでしょうね。

 

(鈴木雄介) ヌーヴェルヴァーグに限らず、赤いバラは強い陽射しに弱いという特徴があります。陽射しによって葉が変形してしまうんですね。

 

(上川)新しい品種を作ってみようと思われたきっかけは?

 

(鈴木雄介)自分は静岡市バラ生産者組合という組織に入っています。その中に、ずっとヌーヴェルヴァーグを作っている方がいまして、その方にお願いして作らせてもらいました。直接の師匠ではないですが、師匠のような存在の方です。

 

(上川)今回の受賞にいたるまで、いろいろ苦労なさったと思いますが、聞くところによるとお父様と一緒に始められたそうですね。

 

(鈴木雄介)もともと父母がバラづくりをしており、2人は経営的にすごいというわけではないんですが、バラを作っているのが、息子の目からみて、すごく楽しそうに見えたんです。

 

(上川)いくつのときですか?

 

(鈴木雄介)バラづくりを始めたのは22歳です。それまで外で働いていた時期もありました。

 

(上川)ご両親にしてみれば、息子が後を継いでくれたというのは本当に嬉しかったでしょうねえ。

 

(鈴木雄介)僕は父親の代わりに外の会合や勉強会に出るようになりました。そこで得た知識や情報を持ち帰って実践してみようと思っても、父には父のやり方があって衝突というか意見の違いがいろいろあって、それが最近の悩みですね(苦笑)。

 

(上川)やはり職人的な技があるんでしょうね、でもお父様と意見が衝突するというのは、鈴木さんが一人前になった証拠ですよね。ヌーヴェルヴァーグは受賞まで何年かかったのですか?

 

(鈴木雄介) ヌーヴェルヴァーグを作り始めて5年目に受賞できました。最初の頃は、先ほども言いましたように高温障害に弱いというこの花の弱点がよくわからなくて、夏になると収量が減るのでなぜだろうと苦労しました。師匠に何度も聞きに行き、やりとりしていくうちに手応えを得ることが出来ました。

 

(上川)本当に多くの皆さんにこの美しいバラを目にして手にしていただきたいと思います。5年も頑張ったのですからファンもついていらっしゃるのでは?

 

(鈴木雄介) ヌーヴェルヴァーグは今風の花ではないんです。今は大きくて明るい色の花が好まれるんですね。でもそういう流行の花ではないのに受賞できたということは、多くのファンの方がちゃんと見てくれていたのかなと思います。

 

(上川)ご自身で、いい出来だと一瞬で見ぬけられるものですか?

 

(鈴木雄介)もともと持っている特性として軟らかくなるんですね。今、考えているのは、バラにとってよい管理をするということ。それを2年前から実践してみると、木も葉っぱも反応するんですね。管理を変えて成果が出た。受賞は偶然ではないような気がします。

 

(上川)花の持つ力を引き出したわけですね。人を育てるのと同じですね。

 

(鈴木雄介)手をかければかけるほど、応えてくれる。それは確かです。

 

(上川)油山のバラ園を実際に見ることは可能ですか?

 

(鈴木雄介)そういうこともこれからやっていきたいと思っています。実際に花が育っているところ、咲いている花もつぼみの状態も、ちゃんとここで植わっている、という姿を見てもらいたいですね。地元だからできると思います。

 

(上川)最後にリスナーの方にメッセージをお願いします。

 

(鈴木雄介)バラは、鮮度が命です。ぜひ地元静岡のみなさんに、生きている花の姿、開いていく過程、花の生き様というものをしっかり見てもらいたいですね。それから今度の日曜日は母の日です。ぜひバラの花を贈ったり飾ったりしていただきたいなと思います。  ♪♪♪

 

(鈴木)今日は静岡生まれの素敵なヌーヴェルヴァーグに出会えて嬉しかったです。地元に日本一のバラの生産者がいるなんて素敵です!

 

(上川)農業はTPP問題など頭の痛い問題ばかりがクローズアップされますが、鈴木雄介さんのような意欲的で情熱を持った若い世代をライトアップさせなければなりません。

 

(鈴木)私の友人に、藤枝に日本一の稲オタクと評判の、松下明弘さんというお米農家がいましてね。彼の名刺には、仕事・稲作、趣味・稲作、特技・稲作って書いてあるんです。すべての農作業には意味があり理由があるという持論で、土をトコトン極め、農薬や化学肥料を使わず、雑草の生えない田んぼを作っちゃったんです。先月、日本経済新聞社から「ロジカルな田んぼ」という本を出して、話題になっているんですよ。

 

(上川)頼もしいですねえ。そういう人を見ると、農業がとてつもなく可能性に満ちた、夢を生む産業だって思えてきます。夢が描ける、将来に希望が持てるということが、どれだけ日本の国力を高めるか、アベノミクス効果で景気が浮揚しつつある今、多くの国民の皆さんが実感されていると思います。どんなささいなことでも、皆さんが前向きになれるような社会にしていくよう、我々政治家がしっかり道筋を付けねばなりません。ほんとうに、身が引き締まるような思いです。

 

(鈴木)陽子さんの地元・静岡には日本一の農家や起業家がいます。静岡が日本を明るく元気にしていく地域だって自覚を持って、がんばっていただきたいと思います。

 

(上川)ありがとうございます。さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、ありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

 

 

 

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