5月22日FM−Hiオンエアの『かみかわ陽子のラジオシェイク』再録のつづきです。
(鈴木)2000年の初当選後にさっそく取り掛かられた、水に関する活動の準備というのは?
(上川) 実は、水に関する行政の仕組みは複雑なんです。河川行政を担うのが国土交通省、環境行政は環境省、水文化は文部科学省、飲用水は厚生労働省、工業用水は経済産業省、農業用水は農林水産省、発展途上国の水・水処理は外務省と、複数の省庁にまたがって全部縦割りなんです。それを一つに束ねて、「おいしい水」を切り口に政策を扱うユニークな試みですから、1年かかったんですね。トップをお願いすることができる方も、当然大物、限られるわけです。最終的に、橋本龍太郎先生に会長をお願いすることができました。
(鈴木)元首相の・・・?
(上川)橋本先生はこの分野の世界的識者でリーダーだったんですよ。そういう方が、当選1年生議員発案の小さな議連のリーダーになってくださった。に耳を傾けてくださったのです。2001年12月、自民党衆参議員60名で、「おいしい水推進議員連盟」を発足し、私は事務局長として活動を始めました。今から10年前のことです。
(鈴木)確か、おいしい水推進議員連盟の視察に私も同行取材させていただいたことがあります。改めてどんな活動をされていたのですか?
(上川)当時の「おいしい水推進議員連盟」の活動は、思い返してみても本当に充実したものでした。まず、水の実態について現場をよく視察すること。各議員の先生方の地元を訪問し、水問題について考えました。
また、水は先ほど言いましたように非常に縦割りですから、テーマもさまざまです。そこで専門家による勉強会も行いました。第1回目のセミナー講師には、水の権威・小島貞夫博士をお招きしました。
小島先生は、東京都玉川浄水場の所長をされていて、全国の浄水場でトラブルがあると小島先生に助けていただくという超カリスマ水博士なんです。「おいしい水」に関しても、いくつか著書があり、「おいしい水の探求」という、議連にとってのバイブルともいえる本を書き上げた方です。その中でユニークだったのは、先生は「おいしい水」を飲み分けられるんですね。
(鈴木)ほぉ〜、きき酒みたいに?
(上川)そうなんです。昔、静岡も伏流水が豊かでしたね。伏流水というのはおいしい水の代名詞だったんですが、今は土壌汚染の問題等で必ずしもそう言えなくなってしまったようです・・・。
それから3番目に「世界水フォーラム」への積極的貢献です。2003年日本がホストになって開催した「第3回世界水フォーラム」は、名誉会長が皇太子殿下で、実行委員長が橋本龍太郎先生でした。世界水フォーラムには、政府機関だけではなくNGOやNPOも参加しましたが、私たち議連も国会議員の任意団体として参加し、議員としてのメッセージを発信することができました。
(鈴木)とても幅のある活動ですね。
(上川)真弓さん。今回の東日本大震災には、外国からたくさんの支援が寄せられましたよね。その中に中東のオマーン国からのありがたいオファーがありました。
実は、私にとって、オマーン国は思いで深いご縁の国です。私は2008年に日本の閣僚として18年ぶりにオマーン国を公式に訪問し、今でも交流を続けています。そのオマーン国の王族企業から、福島県南相馬市の町工場に浄水器と水の浄化装置の大量注文があったのです。26億円規模の商談で、東日本大震災被災地で使っていただいた後、納品という条件付。世界に誇る我が国の水関連技術が、被災地の経済・雇用を救う、まさに国際平和につながるすばらしい事例といえるでしょう。
こういう関係は一朝一夕にはできないんですね。日頃の国際交流の大切さを改めて実感しました。(つづく)