かみかわ陽子のラジオシェイク第14回オンエア(2)子どもの命と権利を守る女性政治家

2012-4-17 23:07 投稿者:  himawari

 4月17日オンエアの続きです。

 

 

 

 

(鈴木)さて、サッチャーさんは女性政治家のシンボルのような存在ですが、世界には、サッチャーさんほど有名でなくても、地道に活動し、自国のみならず世界の平和と安定に貢献する素晴らしい女性政治家がたくさんいます。陽子さんも議員時代に国際会議等に積極的に参加され、各国の女性議員と交流を持たれたそうですね


 

(上川)ええ、真弓さんは世界列国議会同盟IPUという組織をご存知ですか?


 

(鈴木)いえ、不勉強ですみません・・・。


 

(上川)各国の議会代表者のための国際組織で、1889年にヨーロッパで設立された、世界最初の政治的多国間交渉のためのフォーラムです。当初は国会議員個々の参加でしたが、今では主権国家の議会の国際組織になっています。日本は1908年に加盟し、1939年に資格停止になり、1959年に復帰しました。


 

(鈴木)国連は国の代表、IPUは議会の代表、というわけですね。


 

(上川)IPUは国連やNGOと協調しながら 、代表民主制の在り方、人権と人道法について、国際平和と安全保障、持続可能な発展等といった国家にとって重要な領域を活動領域としています。中でも政治における女性(Women in politics)の問題に力を注いでいるんですね。民主的な議会は、ジェンダーや言語、宗教、民族等あらゆる社会的多様性を反映すべきもので、特に人口の半分を占める女性代表の問題は普遍的な課題だ、と位置付けています。

 

国連とは特に密接な協力関係にあって、国連主催で第1回世界女性会議が開催された1975 年には、女性の地位に関する第1 回の世界的調査が74 の加盟国議会を対象に実施しました。また、1995 年に北京で開かれた第4回世界女性会議では、中国全人代の招きで『議会人の日』というのが開かれ、IPU加盟の102カ国から500人の国会議員が参加し、「北京議会宣言」を採択したんです。


 

(鈴木)北京会議のニュースは聞いたことがあります。女性の政治参加を後押しする記念すべき宣言だったそうですね。


 

(上川)北京会議の後、IPUでは政治的意思決定過程における女性の参画について、各国議会のデータの収集、継続的な調査研究と提言を行っています。私は初当選の2000年、トルコのマラケシュで開かれたIPU会議に5人の新人議員の一人として参加し、会議の正副議長を選ぶ選挙で、いきなり副議長に選ばれ、2年の任期中、十数カ国で開かれた会議に参加したんですよ。


 

(鈴木)それはスペシャルな体験でしたね!


 

(上川)その会議では、子どもの人身売買という深刻なテーマが議題に上がりました。そのことに2年間、副議長として取り組んだんですね。
 
日本も戦前までは子どもが労働力として酷使される時代がありましたが、世界の貧しい国では今でも続いています。親が口減らしのために子どもを売り、売られた子どもは家事労働や性的労働の対象にされているんです。国際的にも深刻な問題です。


 

(鈴木)映画の話に戻りますが、何年か前にアカデミー賞を受賞した『スラムドッグ・ミリオネラ』という作品、物語はフィクションですが、まさにそんな子どもたちの過酷な生活をベースに描いていました。本当に現在進行形なんだなあと実感させられました。


 

(上川)2002年には国連で子どもに関する特別総会が開かれ、人身売買被害の当事者である子どもたちが初めて発言し、大きな反響を呼びました。子どもたちの生命・幸福の確保に向けた国際社会の取組の促進を呼びかける文書「子どもたちにふさわしい世界("A World Fit for Children")」が採択され、世界の子どもたちがその生命や尊厳を脅かされることなく、子どもらしい生活を送ることができる世界を創るために行動しようという国際社会の強い意志が示されました。


 

(鈴木)日本の代表団はどんな役割を果たしたのですか?


 

(上川)日本首席代表であった当時の遠山文部科学大臣がステートメントを行い、ポリオ撲滅、HIV/AIDS対策等、子どもの健康のための日本の国際協力を紹介しました。200112月に横浜で「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」をユニセフと共同で開催しましたので、その報告も行いました。

 

この総会には各国政府の他、国会議員、地方自治体、市民社会から幅広い参加があり、政府のみならず、社会全体が協力し、それぞれの見識を活かした取り組みの必要性があると実感しました。


 

(鈴木)この問題でどこか具体的に訪問された国はありますか?


 

(上川)国連子ども特別総会に出席し、その後ユニセフの招聘で、世界で一番貧しい国といわれるハイチに視察に行きました。当時、軍事政権下でクーデターがあり、空港には、自動操縦で武装された警護に守られて移動をしました。日本の援助で、母子感染の子どもたちと母親を守る母子感染センターが設立され、運営されているんですが、その現場も視察しました。AIDSに感染している子どもたちの施設も訪問しましたが、明るく生活しているんですね。どんな困難を抱えている子どもたちにも未来がある、その芽を決して摘んではいけないその時の体験が、私の政治家としての基本姿勢の土台になっています。


 

(鈴木)子どもの権利って守られて当然という思いがあり、静岡に住んでいると、なかなかピンとこないのが正直なところですが・・・。


 

(上川)静岡県内を見渡すと、とくに県西部地区では南米や東南アジア出身の労働者が家族を伴って暮らしています。その子どもたちには、日本の子どもと同等の教育や人権が守られているのか、目を向ける必要があります。
 
日本の子どもは日本の法律によって手厚く保護されていますが、国境を越えてやってくる子どもたちについても、日本で暮らす以上、きちんと保障しなければなりません。とくに教育を受ける権利はしっかりと保障してあげなければ、彼らは根なし草になってしまいます。こういう問題に関しては、女性議員が本当に頑張っています。
 
男女の差を強調するつもりはありませんが、女性には、子どもを守りたい、命を守りたいという理屈なしの強い思いによって力が発揮できるという面もあろうかと思います。


 

 

 ♪


 

(鈴木)前回の放送で、陽子さんが静岡まつり夜桜乱舞の立役者だったとうかがいました。今年の夜桜乱舞はいかがでしたか?


 

(上川)ちょっと寒かったんですが、満開の桜の元、踊りに踊りましたよ。沿道で応援してくださったリスナーの皆さま、ありがとうございました。


 

(鈴木)いずれにしても、季節ごとの催事記がある日本っていいなあと実感しますね。


 

(上川)これから静岡では待ちに待った新茶のシーズンがやってきます。昨年は原発事故の影響でお茶の生産者や市場関係者もご苦労されましたが、その分、しっかりと、いや以前にも増して安全管理や品質保証への意識が高まったと思います。新茶のお話は来月じっくりさせていただこうと思っていますので、どうぞお楽しみに。


 

(鈴木)ラジオシェイク、これからも静岡の宝となるモノ、人、できごとをいろいろな角度から取り上げてまいります。陽子さん、来月もよろしくお願いします。


 

(上川)よろしくお願いします。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは、来月までごきげんよう。