かみかわ陽子のラジオシェイク第3回オンエア(2)食育の大切さ

2011-6-27 0:36 投稿者:  himawari

 

(鈴木)さて、いわき市で静岡のお茶や特産品をふるまったのは、『しずおか食の未来実現会議』のお母さんたちですね。「しずおか食の未来実現会議」というのは?
 
 
(上川)15・6年前になりますが、静岡に、「食と農の環」づくりの運動、「静岡市食と農の環推進協議会」を立ち上げたんです。今でいう「地産地消」の前身となる活動で、家庭の生ごみから土をつくったり、その土で野菜をつくったり、食育へと活動を広げてきました。政治家としての私の原点となる活動です。
 
(鈴木)ずいぶん早い取り組みだったんですね。
 
(上川)その時の貴重な経験が、政治家になってからの政策づくりのベースになったんです。「地産地消」や「食育」なとをテーマに、「食育基本法」や「学校給食法の改正」、「農山漁村の対流共生」などの政策を提言し、法律や制度を作ったり、食育担当大臣となった時も役に立ちました。
 そして昨年、第2ステージとして、新しい会を立ち上げました。その会の名前が、「しずおか食の未来実現会議」です。「食と農」をバネに、一気に新しい産業起こし、町興しをしようというものです。
 
(鈴木)推進から実現へとステップアップしたんですか。新しい産業起こしに町興しとはアグレッシブな取り組みですね。
 
(上川)静岡の農林水産物の生産者、加工・流通業者および消費者が協働して、地産地消運動をさらに広め、静岡の新しい食文化を創造する。生産・加工・流通・消費の新しい提携関係を創り上げ、6次産業への発展を目指す。地元の野菜・果実・酪農・水産物等の生産・加工・流通を担う若手後継者を応援し、しずおか食と農の人財ネットワークを広げる?というようなことを目的に掲げました。
 日頃の実践活動は、まさに食育チームの皆さん。今6チームが、毎週水曜日当番制で「食育カフェ」を運営してくださっています。
 
(鈴木)食育カフェのお母さんたちというのはそういう方々だったんですか・・・! そもそも食育は、陽子さんが大切にされている政策課題の一つとうかがっています。ちょうど1週間前の6月18・19日、三島市を会場に全国食育大会も開かれました。陽子さんも参加されたそうですね。
 
(上川)今回、第6回の食育の全国大会になります。「ふじのくに食育フェア」と題して、三島市で開催されました。全国大会に参加するのは4年振り。第二回の群馬大会に、食育担当大臣として参加して以来です。
 実は、小学校時代に父親の仕事の関係で2年間、三島市に住んでいたことがあったんです。当時の同級生から食育フェアがあるから来ない?と誘われて懐かしくなり、三島を訪ねました。フェアの会場では、食育担当大臣のとき取り組んだ時のことをいろいろ思い出しながら、食育のすそ野がずいぶん広がっていることを実感しましたね・・・。
 
(鈴木)大臣時代に具体的に取り組んだプロジェクトがあるそうですが。
 
(上川)子どもたちの食の風景は想像以上にやせ細っているのです。子どもたちに自宅の「食卓」の絵を描かせ、食生活の実態について研究しているグループがありますが、その絵をみると食卓で小さく自分が食事をしている横で、お父さんが居所寝をしている。
ある時、少年院や少年刑務所の視察に行く機会がありました。配膳された「食のお膳」をみて、はっとしたのです。非行や犯罪を犯す子どもたちの、犯行前の食生活はどうなっていたのか。関東全域の少年刑務所などの施設の子どもたちを対象に、約2000人の子どもたちをの食生活に関する調査を行うことになりました。これは法務省と文科省の垣根を越えた調査でした。
浮かび上がってきた実態は、親から子へと、命を繋ぐ基本的営みである「食」の基礎・基本が、著しく損なわれているとの生生しい実態でした。犯罪を犯す子どもたちの背景には、親の放置、一歩進めば「児童虐待・ネグレクト」にあるという結果でした。「お母さんに食事をつくってって頼んだけれど、作ってくれなかった。」女子少年刑務所の先生が聞いた子どものつぶやき、その声に応えたいと真剣に考えたのです。
 
(鈴木)そうした調査を踏まえて、どのように取り組んでいったのですか
 
(上川)刑務所に送られてくる子どもたちの食生活について、調査を継続すること。そして、刑務所での食生活について、「食育」の考え方をしっかり踏まえた、メニュー開発、食生活の基本の教育、親との料理、・・・などの「食育プログラム」を実践すること。つまり、子どもたちの立ち直りのために、しっかりした「食育プログラム」による食生活の改善が不可欠であるためです。
 
(鈴木)その意味では、学校給食も大切ですね。
 
(上川)そうなんです。子どもたちにとって学校給食の比重が高まっています。学校給食法の改正をし、地産地消の食材を積極的に取り入れるも数値目標として、30パーセントを掲げました。地域の食文化や旬の食材に子供のころから触れる、絶対的経験量が不足しています。意識して取り組まなければなりません。このことは、「食」と「農・林・水産業」のコラボで、可能となる実践です。
静岡はお茶の産地ですから、お茶の葉でちゃんとお茶をいれる習慣も、小さなころに身に着けることが大切です。静岡でも、すこしずつ実践が始まっていますが、方針を明確に掲げ、徹底して実行していただきたいと思います。

 

(鈴木)と地元の食文化とつながった食育の価値を改めて実感しました。このテーマは今後も引き続き番組で取り上げていきたいと思います。

 
(上川)ちょうどこの番組がスタートしてから、福島県いわき市へ2回訪問したことで、震災がらみのお話が続きました。これから夏本番を迎え、電力の問題など、私たちの暮らし方、働き方、ワークライフバランスに直結する課題が大きくなってきます。
 
(鈴木)こういうときにラジオというメディアで、市民の皆さんに陽子さんのお考えを聞いていただく機会が持てたということは、とても価値あることですね!
 
(上川)本当にありがたいことです。FM−Hiをお聴きになっている方の中には、上川陽子と接点のない世代の方も多いと思います。こういう機会を活かし、ぜひ皆さんの声をつなげたいと思っています。みなさんが日頃不安に感じること、一緒に解決したいと思うこと等さまざまな声をお待ちしています。どしどしメッセージをお寄せください。
 
(鈴木)陽子さん、来月の予定は?
 
(上川)7月14日に、阪神淡路大震災の震災担当大臣を務められた小里貞利先生をお招きし、政経セミナーを開催する予定です。詳しくはホームページをご覧ください。
 
(鈴木)わかりました。陽子さん、今日も有意義なお話、ありがとうございました。
 
上川)最後までお聞きいただき、ありがとうございました。来月までごきげんよう。