YOKO KAMIKAWA OFFICIAL WEB SITE

かみかわ陽子

2004 年 10 月 24 日付 西日本新聞掲載

 

自民・基本法案 PT 事務局長  上 川 陽 子 衆院議員に聞く

 

犯罪被害者 多角的に支援

 

犯罪被害者支援の施策を進めるための「犯罪被害者等基本法」が今国会で成立する見通しとなった。法案づくりの中心となって取り組んだ自民党犯罪被害者基本法案プロジェクトチーム( PT )事務局長、上川陽子衆院議員に法案のポイントや狙いを聞いた。

―― 基本法制定に取り組んだきっかけは。

(上川)   司法を身近にという改革議論が進んできたが、被害者支援については具体的な中身が伴わず立ち遅れになったままだ。当選一回のころに少年法改正審議に加わり、神戸連続児童殺傷事件の被害者の父親の訴えを聞いた。私自身も子どもがいる。自分が守るべきわが子が知らないところで事件に巻き込まれたら、と想像しただけで震えてしまう。犯罪は増加傾向にあり、誰もが被害者になり得る。自ら勇気を出して発言し、行動する被害者の姿に触れ、彼らの声は国民の声を代弁する訴えなのだと感じた。

―― 現行制度で不十分な点は。

(上川)   精神的な傷に対するケアが重視されるようにはなったが、医療や支援の体制はまだまだ。対応できる専門家の層を厚くし、地域差なく安心できる体制づくりを国として進める必要がある。また、被害者支援の窓口といえば警察・検察が中心だが、裁判が終われば途切れる。加害者の出所後に不安を募らせるケースも多いのに、情報は得られないのが実情。そもそも各省庁の対応がばらばらで、制度として練られていないことに限界があった。一つの法のもとに官民が連携を取れるシステムづくりを目指す。

―― 基本法で重点を置いた部分は。

(上川)    一つは精神的、身体的「傷」からの早期回復の支援。もう一つは、その後、安定した生活に戻るための支援だ。被害者が再び平穏な生活を送れるまで、医療や福祉、住居、雇用の確保などの施策を切れ目なく実施することが大きな柱。また、公判の進行状況に関する情報提供など、刑事手続きに関与する手段を確保することも重視した。

―― 法案骨子には「刑事手続きへの参加の機会を拡充するための制度の整備」を盛り込んだ。被害者の司法参加を念頭に置いたものか。

(上川)   被害者が当事者として刑事裁判に関与する司法参加制度を求める被害者団体の思いは強い。裁判を傍聴して、被告(加害者)が一方的な主張を繰り返しても反論することもできないし、裁判で疎外感を味わうもどかしさもある。しかし、被害者の司法参加は現在の刑事司法の根幹にかかわる問題で議論には時間もかかる。その前の段階でも、いろんな工夫があると思う。実績を積み上げることで一つ一つのハードルを越えることもできる。今回は議論の窓口を開いた、ということ。

―― 少年犯罪の被害者からは、刑事裁判にならない少年事件は区別されてしまうのではないかという不安の声も上がる。

(上川)   基本法は加害者の年齢を問わず、すべての犯罪被害者を対象にしている。区別はしない。具体的な対応については、内閣府につくる組織のもとで作成する基本計画の中での課題になる。

↑ページのトップへ

←戻る