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かみかわ陽子

       2004年2月17日共同通信インタビュー

        

     いわゆる「愛国心教育」について

 より自然なかたちで共同体意識を

 

共同通信が全国の新聞社に配信。佐賀新聞(6月6日)など、各紙に掲載された。

 

自然に近い無意識の感情

 

―― 教育基本法に愛国心を規定し、改正することについて、どう考えるか。

(上川)愛国心は社会の価値として大事。しかし各人の心のあり方そのものに関わるため、法律で明文化したからといって、必ずしも問題が解決するわけではないところに難しさがある。

―― 上川議員にとって愛国心とは。

(上川)多くの日本人に共有された「心の習慣」の一種。自然を四季折々の中で慈しむとか、神社などで自然に手を合わすとか、「いただきます」「ごちそうさま」という気持ちに近い無意識の感情。

ふだんは意識していないが、例えばイラクに派遣された自衛隊員に対し、「元気に帰ってきてほしい」とエールを送りますよね。そうした機会に多くの国民は「私たちの国は何なのか」を自問することになる。

郷土愛、国際理解を柱に

―― 日本人に愛国心は失われていると思うか。

(上川)私は郷土愛の総和が愛国心だと考えているが、そうした目で見ると確かに愛国心は薄れている。例えば、町内会は日本の相互扶助の大事なネットワークだが、地域の草取りなんかに参加する人は少なくなっている。大切なのは、郷土愛が自然なかたちで国に対する共同体意識につながっていくこと。

人に聞いた話だが、各国から子どもたちが参加するボーイスカウトの集まりで、国歌を歌いながら国旗を持って着席することになった。外国の子は誇らしげに座ったが、日本の子だけは自国の習慣にそぐわないと大人が判断し、国旗を持たず、国歌も歌わず着席した。子どもたちが自然に自分の国を誇りに思えるような社会のあり方を大事にしたい。そのためには、大人たちが立派な生き方の手本を子どもたちに見せるしかありません。

―― 国旗、国歌は定着したとの見方もあるが。

(上川)国旗国歌法はできたが、国を誇りに思える社会にはなっていない。愛国心を教育基本法に盛り込むのも同じこと。盛り込むことに一生懸命になるのはいいが、本当の意味を考えないと本末転倒ということになってしまう。

―― 上川議員にも娘さんが二人いるが、愛国心をどうやって教えるべきか。

(上川)異文化教育を学校教育の中に取り入れるべきだ。異なる文化に接すると、逆に自国の文化をより知ることができる。自分や地域、国を意識するチャンスになる。何かを「敬いなさい」と教えるより、ボランティア活動をするとか体験学習などをすることが大事。

国を愛する気持ちは、一つの物差しで計れない

 

―― 愛国心を教えると、いじめや不登校などの問題が解決するのか。

(上川)地域愛や隣人愛がなく、自分の生命も大切にしないような基本を見失った社会に対し、愛国心という切り口を提示することも、さまざまな角度からの議論を引き出す糸口の一つになるのではないでしょうか。

―― 戦前回帰だと懸念する声もあるが。

(上川)確かに戦前は人々の心の問題に政治が介入しすぎました。国を愛する気持ちは一つの物差しでは計れない。人それぞれの体験、家族、地域社会が異なるように、愛国心にもいろんな形がある。誰かが決めた型を押しつける愛国心であってはいけない。

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