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かみかわ陽子

論文・対談・投稿・マスコミ

リーダーな女たち

 

毎日新聞2005年5月13日 東京夕刊

 

少子対策に重点を置く --自民党女性局長の上川 陽子さん

◇ 「子供は宝、仕事に力がわいてくる」

昨年10月に自民党女性局長に就任し今年1月の「全国女性部長・代表者会議」の議長を務めた。現在、自民党の女性国会議員は21人(衆9、参12)。党全体の約6%にすぎない。その中で率いる女性局では、女性議員の発掘と、47都道府県連の女性部の活動の強化を主目的としている。

「局長に就任して、まず最初に各県の女性党員が集うブロック会議に出席しました。現場の声を聞いて実感したのは、女性局として魅力ある活動をするには女性も政策作りに参画していかなくては、ということです。そこで地域のリーダーとして都道府県から47人を政策審議委員に任命しました」

議員として上川さんが今いちばん力を入れているのは、やはり少子化対策だ。子供を「産み、育てる」だけでなく「結婚」にまで領域を広げ、女性局の組織をあげて対話型キャンペーンを進めていく予定だ。まず、その指針となるアンケートを4月に全国に向けて行った。

「子供に対する価値観が以前と比べて変わってきていると思うんです。よく『産み損』なんていいますけれど、子供を産んでも得にならない、子供を物と同じような意識で見ていることに、たいへん危機感を持っています。人と人が愛し合って、赤ちゃんが生まれ、成長していく。親にとっても、また社会にとっても子供はかけがえのない宝物ですよね。男女問わず、世間一般に流れる意識から変えていかなくては、この問題は解決できないと思います。仕事と子育ては二者択一ではありません。ひとりひとりが生き方や働き方、家庭観などをしっかりと考えて、どれも大切にしてほしいと思います」

自身も2人の娘の母として子育てと仕事を両立してきた。政治家になることを後押ししてくれた先輩の女性議員は「子供は2人産みなさい」とアドバイスした。それは「子供を産み育てることで政治家としてより成長できる」という先輩自身の思いからだった。子供がいることでいい加減なことはできない、と。

「私自身、ほとんど家にいられなかったので、2人の子供たちにはさびしい思いをさせたと思います。下の子は最初の選挙に出た時はまだ3歳。夫がこぐ自転車の前かごに乗って、けなげに応援してくれました。家に帰ると『かーちゃん、おくちびる、取って』って言うんです。子供心に口紅をつけていると外で仕事している人、家に帰って口紅を落とすと自分のお母さんになると思っていたようです。でも、子供がいることで仕事に対して力がわいてきましたね」

母親の背中を見て育った長女は、上川さんと同じく米国に留学し、国際関係論を学んだ。選挙期間中は事務所のスタッフとして活動を手伝ってくれるという。

上川さんの趣味は祭り。みこしを担ぐことと地元・静岡の祭り「夜桜乱舞」が好きだという。

「夜桜乱舞は地元・静岡で定着させようとしている新しい市民参加の総踊りです。私は日本舞踊の名取で、踊ることはもともと大好き。また、みこしを担げるお祭りも好きなんです。祭りは地域を結束させる伝統的な行事。日本文化のシンボルとして、もっと活性化させたいと感じています」

趣味にも仕事にもパワフルな上川さん。前向きな性格で、女性局長として全国の女性党員が抱える問題の解決、パワーアップにも余念がない。6月以降に、女性局が中心となって少子化問題を柱にした政策の中間発表、11月15日の結党50周年大会での最終報告に向けて全力疾走する毎日だ。 【細田尚子、写真も】

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■ 人物略歴

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◇ 上川陽子(かみかわ・ようこ)

1953年3月、静岡県生まれ。77年、東大教養学部卒業後、三菱総合研究所に入社。

86年、米ハーバード大学院に留学した。J・F・ケネディスクールで政治行政学修士を取得。米民主党上院議員政策立案スタッフとして活動。

88年6月に帰国し、三菱総研客員研究員に就任したほか、現在も政策コンサルティング会社代表取締役を務める。衆院静岡1区から出馬。当選2回。

 

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今年1月に行われた全国女性部長・代表者会議では議長を務めた

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