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かみかわ陽子

論文・対談・投稿・マスコミ

   あれから3年・・・公約は果たされたか

       

                  静岡新聞社政治部アンケート回答(2003年8月 20 日締切)

 

 @  もう赤字国債には頼らない

 A 老後の不安は政治の力で取り払う

    

 B  平和な社会を守り続ける

 

<質問>(1)@−Bのそれぞれの公約に対し、この 3年間に自身が具体的に何をしたか。

 @については、

•  中央政府組織の合理化・効率化に向けた方向付けを行なう自民党・行政改革推進本部のメンバーとして、地方分権推進および特殊法人改革に直接携わり、とりわけ独立行政法人改革に関しては取りまとめ責任者を務めている。

•  衆議院財務金融委員会の委員として、無駄のないメリハリのきいた国家予算の計画執行に向けて、常時、監視する立場にある(財務金融委員会での質問登板回数: 2 回)。

•  こうした活動の基本には、「小さな政府」と地方分権の実現、メリハリのきいた歳出構造の実現による国民全体の福利極大化と財政健全化を自らの政治目標に定めていることがある。

•  因みに、前回の自民党総裁選において、「民間でできることは民間に」、「地方でできることは地方に」を旗印に、国家財政のバラマキを厳に慎み、赤字国債に頼らないことを公約した小泉候補を支持したのも、これ以上子孫にツケを回すべきでないと考えたため。小泉総理の姿勢は今日までまったく揺らいでいないが、こうした考えは当時、多くの一般国民や私を含む若手自民党国会議員の間に共有されたものであった。

 

Aについては、

•  雇用保険法特例措置法制定に際し、雇用機会の確保を希望する中高年齢者の円滑な再就職の促進、および雇用機会の創出等を図るべきとの観点から、衆議院本会議において与党を代表し、小泉総理に質問を行なった。

•  衆議院厚生労働委員会の委員として、高齢者医療制度の充実や介護制度の定着および拡充、国民年金制度の基盤強化に向けて厚生労働大臣および政府に対し、たびたび質問や働きかけを行なった(厚生労働委員会での質問登板回数: 7 回)。

•  生保の予定利率引下げに際しては、財務金融委員会において与党を代表し、小泉総理自身の覚悟を厳しく問い質した。その際、国民に国がいったん約束したことをあとで撤回することがどれほど国民(とりわけ経済基盤の弱い高齢者)の将来不安を誘発するかという点に言及した。

 

Bについては、

•  衆議院法務委員会の委員として、少年法改正問題に直接携わり、昨今治安悪化の一因となっている少年犯罪の低年齢化を抑止する手段として刑事責任の対象年齢を引き下げる方向で法律改正に関わった(法務委員会での質問登板回数: 7 回)。

•  イラク戦争に伴う自衛隊派遣問題に関しては、戦争開始以前から慎重論を唱え、イラク特別措置法の制定に際しても政府の慎重すぎるほど慎重な対応が必要な旨、新聞等に意見を発表した(この問題では自民党内慎重派を代表する意見として、朝日新聞紙上で 7 回にわたって紹介された)。

 

<質問>(2)それぞれの課題が、目に見える形で改善したか、改善にどのくらい貢献したと考えるか。

@ については、

•   小泉政権による構造改革努力の成果の一部がようやく見え始めた段階であり、これからが本番。すなわち、地方分権推進と裏腹の関係にある「小さな政府」の実現に向け、「三位一体」で地方への権限委譲を進める方向で動き出したが、それらはあくまで地方分権実現への入り口にすぎない。私自身も行政改革本部の一員としてそうした方向に向け鋭意取り組んでおり、とりわけ独立行政法人問題については直接の責任者としてその成果にそれなりの自負を感じている。

•   ただ「小さな政府」の実現は、中央政府のあり方全体にまで関連する大問題であり、明治以来の中央集権国家からの方向転換をめざすものであるだけに、これからが正念場と考えている。そのこととも関連し、財政再建の現状については、とりあえず追加的な「出血」が食い止められつつあるが、国債費を含む累積赤字規模はなお累増傾向を辿っており、現状は途半ばというにも程遠い状況にある。

 

Aについては、

•   介護保険制度の導入やデフレ経済下で苦しむ高齢失業者のために再就職支援というような制度づくりが断片的には進められている。しかしすでに高齢化時代に突入しているにもかかわらず、年金・医療・介護といったもっとも基本的な制度的枠組みについては、高齢化の現実にまったく追いついていない。そうした背景としては財源問題(消費税率引き上げを含む)や世代間の負担分担について、国民全体の意思統一が未着手のまま、残されていることが挙げられる。

•   なお、生保の予定利率引下げに関しては法律改定が行なわれたが、この間の国会や社会全体における厳しい批判に晒され、実際には生保会社が申請しにくい状況にある。

 

Bについては、

•   少年犯罪については、低年齢者が重要犯罪の加害者となる事例が昨今、目だっており、犯罪の低年齢化が引き続き大きな社会問題である。

 

<質問>(3)実現が難しかった公約は何か。何が障害になったか。実現に向け、今後、どのように取り組むか。以上の 3点の公約の実行度を自身で採点(10点満点)せよ。

•   いずれの公約も国のあり方の基本に関わるものであるため、一朝一夕に成果が出るような性格のものではない。こうした中で現在最も直接的に関与している(衆議院財務金融委員会、同自民党行政改革本部の各メンバー)という意味では、@が自分のおかれた立場で第一に取り組むべきテーマといえよう。@がめざすものを「小さな政府」の実現と地方分権の推進と言い換えることも可能であり、そのことが結果的に健全財政の実現(赤字国債の解消)にも繋がってくる。

•   そうした方向への障害となるのは、既得権益グループ(中央政府機関等も含む)間の複雑に入り組んだ利害関係であり、調整型の政治手法だけでは時間ばかり浪費することになりがちである。それだけに政治家が新たな国家理念を打ち立て、リーダーシップを発揮することで、思い切った政策誘導を行うことが求められよう。私としては引き続き自民党・行政改革本部のメンバーとして、「小さな政府」の実現や地方分権の推進に向けて鋭意努力する所存である。

 

 自己採点:「公約の実行度」を仮に「公約実現に向けた自身の政治活動の質量(努力)」と定義すれば、いずれも 10 点満点を自負。しかし、「公約の達成度」と定義すれば、いずれもやっと入口に立てたかといった段階であり、 1 〜2点といったところか。

以上

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