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かみかわ陽子

論文・対談・投稿・マスコミ

 

 <月刊誌「政界」 2000年11月号>    --- 永田町発 若手議員が語る ---

                              衆議院議員 上 川 陽 子

           

          

  無所属の立場から、自民党再生案を提示します   
         

先の総選挙で保守系無所属で当選した代議士が、いまだに自民党入党を許されていない。選挙区の事情など理由はさまざまだが、自民党改革への思いは熱い。上川代議士もその一人だ。自民党再生について語ってもらった。

                                                                                         

      9月14日に自民党へ復党願いを提出           

--- 大変な激戦を戦い抜いて、今回初当選されたんですね。

 ええ、2回目の挑戦で当選できました。前回は推薦団体が2つしかありませんでしたが、今回は

400団体に推薦していただきました。ただ、自民党からは除名されてたいへん厳しい戦いでした。

--- その総選挙で自民党は、国民から厳しい審判を受けました。それでも自民党に入党したい理由をお聞かせください。
 静岡1区は保守の強いところです。そんな選挙区で、長い間自民党を支持していた多くの人たちから、「もう自民党支持をやめる。自民党には騙され続けてきた」と口々に言われました。そういう有権者こそ、戦後の日本をまじめに支えてきた人たちなんです。彼らがなぜ自民党に嫌気が差してきたのか。その原因を究明し、再び自民党への支持を取り戻すことが、日本の政治の再生につながると考え復党決意をしました。

--- しかし、なかなか自民党から復党の許可が出ませんね。
 9月14日に復党願いを出したのですが、まだ認められていません。中央組織と地方組織の考え方の違いや、新しい血を入れることへの抵抗があるからだと思います。

--- 地方組織にも問題があるのでしょうが、自民党執行部に問題があるのではないですか。

  執行部のどのような方が復党に反対しているのか、私にはよくわかりません。しかし、私たちの目には見えない部分で、障害が存在することは間違いないでしょう。

--- こんな目に見えないことが行われている自民党に再生の道はあるのでしょうか。

 自民党の中心にいる人たちは口々に「地域の声を大事に」とか、「地域の声を聞かなければ」といったことを言います。しかし実際に聞いているのは、官僚や大組織の意見だと思います。それでは自民党の再生にはまったくつながりません。やはり、地域から選ばれた代議士の声をもっと大切にしなければならないのではないしょうか。なぜなら、私たちは絶えず有権者と直接、接していろんな意見を聞いているからです。また、人が入れ替わることも必要です。同じ人がいつまでも居座っていては、新しい発想は生まれない。どんどん新しい人を入れていくべきだと思います。

--- しかし、自民党再生といっても、今の現状を考えたときに自民党は相当の重症に思います。そうなるといずれ自民党は分裂、崩壊するのではないでしょうか。
 小選挙区制になり、政党本部や誰かのお墨付きよりも、有権者自身が選ぶ力のほうが大きくなったと思います。有権者の声を政治家が、どこまで国政に反映することができるのか。そこが一番のポイントだと思います。政党は、そのことに気づかなくてはなりません。

代議士は国民の代弁者

--- 上川さんは、政治家として何を一番のテーマとしていますか。

  現在は、厚生問題をテーマにしています。これから「個」の時代に入りますから、それにふさわしい

「個」の社会保障の仕組みづくりに取り組んでいきたいと思っています。また、グローバル化が進むなかで日本がどのように独自性を発揮できるのか、追求していきたいと思います。そのことは、日本人としての心の拠りどころをどこに求めるのかということにもつながります。私は地域社会に対する共同意識が、その核になるのではないかと考えています。

--- そうですね。中央政治は、制度を決めることはできるけど、実際の現場では、まったく違った現象が生まれているわけですからね。
 中央政治が考え方を示しても、現場が拒否反応を起こすケースが最近、目につきます。これからは地域の視点に立って国のあり方を原点から組み立てなおしていくべき時代です。

--- 代議士になって4ヶ月になりますが、官僚たちをどのようにご覧になっていますか。
 これまで官僚は、業界などの大きな声には耳を傾けるが、国民の小さな声までは聞こうとしませんでした。私は、厚生委員ですが、厚生省も残念ながら国民のほうには向いていませんでした。
 また、政治家も国民の代弁者を放棄していると思います。私は、代議士は何より小さな声の代弁者でなければならないと考えています。そのためにも、政治の仕組みそのものを改革することの必要性を実感しています。

自立していない政治家が多い。

--- 来年から中央省庁の再編が行われます。このことによって、政治主導の政治、政策が行われるといわれているが、実は官僚がより一層強力な権限を握ってしまうのではないかと懸念する声も聞かれますが・・・。
 自民党には政策分野別の部会があります。この組織をもう少し発展させれば、官僚に代わり政治のリーダーシップが発揮できるのではないでしょうか。また、来年からは大臣や副大臣など、これまで以上に政治家が、行政の中枢に入ることになります。それらの政治家が官僚に対し、どこまで踏

み込んで対等に議論をすることができるか。その点は個々の政治家の資質にかかっていると思います。

--- 政治家自らが国民に目を向けて、政策を勉強しリーダーシップをどう発揮するかが大事なんですからね。

 ある先輩政治家が「自立した政治家でなくてはならない」と言っていました。私はその言葉がずっと引っ掛かっているのです。国民には自立を求めながら、実は、政治家自身が自立していないということですよね。そのことは、党内には年功序列があり、言いたいことも言えない政治家が多いということなのでしょう。

--- 自立していない政治家がいることは国民にとっては非常に不幸なことですね。
 実は、国民の大多数も、政治家が自立していないことを知っています。この現状を打破するひとつのきっかけは、今回の省庁再編によって、大臣、副大臣になる人たちが省益や個人の利益を離れ国民を納得させるだけの力量を発揮することです。

--- 政治家として将来、どんな大臣を経験したいと思いますか。
 文部大臣をやってみたいと思います。次の時代を担う人を育てることはもっとも大切な政治の役目ではないでしょうか。

--- 文部官僚がカリキュラムを作っていることが、今の学級崩壊といわれる現象を作り出しているように思いますね。
 英語教育についても中学、高校の学習がまったく役に立っていない。これでは政策能力がないに等しいと言わざるを得ません。

--- 人間教育も必要ですが、実践の教育がまったく生かされていない。
 国際化時代で、コミュニケーションが本当に必要なわけですからね。

--- 官僚が日本をダメにした部分もあるし、政治家が勉強してこなかったこともある。あるいは自立していなかった結果が、今日の現状を生み出していると思います。今後、政治家個人で政策ブレーンを持って、国民に評価される政策を提示していかなければならないでしょうね。
 私自身は、長年シンクタンクの会社を経営し、国や地方公共団体の政策づくりに携わってきました。そのため周りに多くのブレーンやスタッフがいます。彼らの支援を得ながら、国会では現場主義に徹して生活の声を生かして、国民の側に立った政治を行っていこうと思います。

--- どうもありがとうございました。

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