YOKO KAMIKAWA OFFICIAL WEB SITE

かみかわ陽子

論文・対談・投稿・マスコミ

宏池会特別座談会

少子・高齢社会に立ち向かう

柔軟な政策が今すぐ必要だ

■参加者

衆議院議員 上川 陽子かみ上川 陽子

衆議院議員 左藤  章

参議院議員 林  芳正

参議院議員 西島 英利

参議院議員 坂本由紀子

 

―― 長文にわたるため、以下では上川陽子の発言からその一部をご紹介します。なお、全文は 4 月 26 日に宏池会政治パーティで配布された政策論集『宏池会   新たな時代を語る』をご参照ください。

 (少子化の背景として)日本の一極集中の仕組みに問題があるという指摘は大事な点だと思います。経済的に集中したところを分散すればいいという類の話ではなくて、暮らしの中に経済活動があり、子育て活動や家族の団らんもあるという世界。人間としてつながりがきちっと実感できるような充実した関係を作れるのは、決して大都市ではない。豊かな気持ちで仕事と育児を両立できる最も快適な地域社会のスケールというのがあるんじゃないか、というのが子育てと仕事を両立させようと苦闘した私の実感なんです。

今の流れは地方分権一括法など、東京中心に偏っている日本の仕組みを分散化していく方向ですが、これももう少し別の観点から、つまり人間が生きていくのにちょうどいいサイズはどういうものか、地域コミュニティはどうあるべきかといった視点から政治がもっと議論していってもいいんじゃないかなと強く感じています。

 少子化問題というと、いつも経済的な支援をどうするかといったことや「保育所の待機児童ゼロ作戦」など、実に厚生労働省的な点に関心が集中してしまいがちです。しかし問題がここまで来れば、都市の機能をどうしていくのか、コミュニィのサイズをどう考えるのかといった国づくりの根本問題を十分意識しながら、都市再生や都市の中の地域再生のあり方を少子化対策とリンクさせるべきだと思います。

 

 中絶する人たちとそうじゃない人たちの流産率を比べてみると、圧倒的に中絶した人の流産率が高くなるんです。・・・産んでもらって、きちんと社会でケアし面倒をみるという形を作らないと、どんどん傷つけてしまう。

今の枠組みが結婚を前提にした社会ということであるならば、ひとつの前進として選択的夫婦別姓での結婚を認め、子供もしっかりと産んで育てていくという形が健全な過程ですよね。(フランスのように)一旦は事実婚とし、出産後に嫡出子を認めるという二段階を踏ませるのではなく、最初から名前にこだわることなく産まれてくる子供の法的地位を公平な形で実現してほしいと思います。

 年金の議論のときに、出生率の将来予測が楽観的な数値で説明されました。現実とギャップがあればあるほど、信頼感はなくなるわけで、国民の皆さんにしっかりと理解していただくためには敢えて厳しめの数値で説明するくらいの姿勢が大事だと思います。

これまで何十年も保険料を払ってきたという気持ちが溜まっているので、いざもらうときになって期待していた金額より少ないと、感情的にバランスがとれないのでしょう。「払ってきたんだから、ちゃんと保障してもらわなきゃ困る」という感情が強い。「違うのよ、世代間扶養なのよ」って言っても、なかなか通じません。そのもっとも根源的な理由は、政治への信頼がないため国民にガバナビリティ(被統治能力。自分たちが選んだ政府に正しく統治される知恵)も育っていないということなんですね。未納だって捕まるわけじゃない、払わないほうがトク、そこまで行き着いてしまっている。

これは本質的な問題で、自分たちがこの日本という国家を作っているとか、社会に貢献していくとかいう意識が本当に薄れていますよね。自分の損得勘定だけで行動する。「守るに値する国」を自分たちの力で作り上げようという気持ちを失かけている。

 (これからの日本にとっては)地域の子供から老人までが協力して、目に見えるところで作り出していく。達成したときの喜びが、責任を持ってみんなが関わろうという気持ちを育てていく、そういう場をみんなの中でたくさん作っていくということが大事じゃないかな。感動が力を、力が創造を、創造が喜びを産み出す地域づくり、国づくり。

 

↑ページのトップへ

←戻る