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かみかわ陽子

陽子日誌

                                     

2004 年 6 月 3 日

日本における「人身売買」ビジネスの横行が、海外から厳しい批判に晒されています。私は人身売買禁止のための基本法づくりに取り組んでいます。今日、衆議院・青少年問題特別委員会でこの問題への政府の姿勢を質しました。以下、その抜粋を掲載します。

 

「人身売買」に関する日本政府の対応

上川委員 : 先週、衆議院本会議において、「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正案が採択されました。今回の改正の背景の一つに、児童の権利の擁護に関する世界的な取り組みがあるわけです。私は、4月にメキシコで開催されたIPU(列国議会同盟)総会に出席しました。女性会議第一副委員長として2年間、女性と児童の人権問題に取り組んできました。具体的には、「最悪の状態の児童労働」、「人身売買」、「児童の性的商業的搾取」、そして今回のメキシコ会議では「児童の性的商業的搾取」というテーマで議論しました。


 日本が人身売買について世界有数の輸入国であるという事実は、世界中で知れ渡っています。私も国際会議で大変肩身の狭い思いをしながらも、例えばカンボジアやベトナムでの貧困撲滅など、緒方貞子さんの「人間の安全保障基金」からの支援に議会人として関わらせていただきました。


 この問題に取り組むには、政府、議会による法整備のほか、国や国際機関、さらにはNGOとの連携協力が不可欠である。これが国際会議の中での私どもの結論でした。現状における政府の取り組み状況、さらには今後の方針について、外務省から説明をお願いします。


石川政府参考人( 外務省 ): 委員ご指摘の「児童の権利に関する条約」、これを内外に周知することは極めて重要であると私ども認識しております。我が国といたしましては、例えば 2001 年の 12 月、横浜でユニセフ、国際NGOグループとの共催で「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」を開催し、また 2002 年 5 月にはニューヨークで「国連子ども特別総会」が開催されました。今後とも国連等の場を通じまして、児童の権利の保護と促進のために一層取り組んでまいりたいと存じております。

上川 委員: 今回の法律にも8条に児童の買春を目的とした人身売買についての条文があるわけですが、今、世界では人身売買の問題が大変大きなテーマになっています。国際犯罪、闇のビジネスの中で人間が「商品」として取り扱われている。しかも人身売買の目的は、児童買春、女性の買春、性的搾取のみならず、臓器の売買というところまで及んでいる実態。日本はそれらの受け入れ国であるという批判も耳にするところです。真剣に取り組んでいかなければならないということを感じます。

 そこで、現在、人身売買の処罰に関する法整備に関しまして、条約上、処罰を必要とする行為の内容、現在の検討状況、法案提出の目標時期についてお答えいただきたい。あわせて、処罰や摘発のためだけでなく、被害者の保護、支援という視点を織り込んだ包括的な対応が非常に大事になる。その意味で人身売買禁止のための基本法制定も必要ではないか。それらの点に関する政府の取り組み、今後の見通しにつきましてお答えください。


樋渡政府参考人( 法務省): 人身取引につきましては、国際組織犯罪防止条約の人身取引補足議定書がこれを犯罪として処罰することを締約国に義務づけておりまして、我が国も平成 14 年 12 月に同議定書に署名しますとともに、現在、その締結に向けた作業を行っているところでございます。


 同議定書におきまして、人身取引とは、「性的搾取、強制労働、臓器摘出等を対象とする目的で、暴行、脅迫、欺罔や、子を支配する親などに対する金銭の授受等の手段を用いて、対象者を採用、運搬、移送、蔵匿、収受する行為」とされております。同議定書の締結のためには、このような行為の処罰の確保が必要になるわけでございます。


 これらの行為につきましては、現在、刑法、出入国管理及び難民認定法、職業安定法、売春防止法、児童福祉法、いわゆる児童買春・児童ポルノ禁止法等により対処しているところでございますが、同議定書の要請するところを漏れなく処罰することができますよう、次期通常国会に所要の法律案を提出することを目標といたしまして、現在、検討を進めているところでございます。法整備の内容等に関しましては、現在検討中でございまして、まだこれを具体的に申し上げる段階にないことをご理解いただければと思います。


上川 委員: 大臣から一言、こうした問題へのこれからの取り組みについて、ご所見をいただきたいと存じます。

小野(清子) 国家公安委員長: 先生から今ご指摘をいただきました各般の問題につきましては、まことにゆゆしき問題であり、また、児童の権利、この条約に反する点に関しましては、早急に各省庁と連携をとりながら改めて進めてまいりたい、そのように考えております。

 

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