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かみかわ陽子

陽子日誌

    

  

2005年2月11日

「夢」の力 ――  映画 『北の零年』を観て

きょう吉永小百合さんが主演された『北の零年』という映画を観ました。ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。テーマは、「夢が人間(とりわけ女性)に及ぼす偉大な力」、ということだったように思います。モデルは、明治政府により温暖な淡路島から極寒の北海道に強制移住させられた稲田藩の家臣とその家族たち。主人公は幼い一人娘を抱え、絶望の中、未開の入植地で馬の飼育に地域発展の活路を見出し、共同体を救うひとりの女性です。

彼女は夫から、「北海道に自分たちの新しい共同体を築く」、という「夢」を打ち明けられ、夫が行方知れずになった後も「夢」の実現を信じて努力を重ね、結局、それを達成します。物語の最後の場面では、かつて「夢」を語った夫が時代に押し流される形で、政府の役人として、また「夢」の破壊者として、彼女の前に現れるわけですが、彼女は敵対するのではなく、むしろ深い思いやりで対立を包み込み、共同体を守ることに成功します。

この映画をつくったのは 30代の若い監督ということです。彼はこの映画で新しい女性のリーダー像を示し、日本女性に時代を切り開く膨大なエネルギーが備わっていることを教えてくれました。「いよいよ女性の出番なんだよ」、「片意地を張らず、自然体でこの国の未来を切り開いていくのはあなたたち女性なんだよ」というエールを贈ってくれているようでした。

旧約聖書に「夢無きところ、国亡ぶ」というソロモン王の言葉があります。政治の本質を突き詰めていえば、「国民とともに夢を語り、その実現に向けて皆を励ますこと」だろうと思います。社会の枠組みや時代が大きく変化し、将来が見通せない今日ほど、そうした政治の役割が大切な時はありません。そして時代は女性にリーダーシップの発揮を求めています。「夢」を信じ、困難を乗り越える突破力を日本の女性は持っています。そのことを自覚したとき、彼女たちが新しい国のかたちを作り上げる原動力になるのではないでしょうか。

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