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かみかわ陽子

活動報告国会活動

 

衆議院予算委員会で質問

2009年2月3日

本日、衆議院予算委員会で麻生総理ならびに舛添厚生労働大臣、石破農林水産大臣、二階経済産業大臣、中曽根外務大臣に対し、下記の項目について約45分間、質問を行いました。

その内容は、経済危機の克服に向けた基本的考え方に始まり、当面の緊急課題である雇用問題、新たな産業政策、日米関係、イスラム外交など、内政・外交全般にわたりました。いずれも私自身の最近の問題意識を踏まえたものとなっていますので、ぜひご一読ください。

なお、総理および各大臣の答弁内容は、近く公開される衆議院議事録をご参照ください。

 

 

自由民主党の上川陽子です。予算委員会での貴重な質問の機会をいただき、心から感謝します。私としては、内政と外交にわたり、盛りだくさん質問いたしますので、総理、そして閣僚の皆さま、どうぞ宜しくお願い致します。

 

問1

まず、総理の今次経済危機に対する基本認識について、お伺いします。総理は施政方針演説の中で、世界が今、新しい時代に入ろうとしている歴史的転換点にあり、日本は開国と明治維新、敗戦と戦後改革に次ぐ「3度目の変革」の時期を自らの努力で乗り越えなければならない、と表明されました。また、「官から民へ」といったスローガンや「大きな政府か小さな政府か」といった発想だけでは、あるべき姿は見えず、「市場に委ねればすべてが良くなる」というものではない。その結果、生み出されたものがサブプライム問題と世界不況であるとも述べられました。

こうしたご発言は「行き過ぎた市場原理主義、新自由主義」への反省であり、それらからの脱却に向けた総理の「決意表明」であったと受け止めましたが、こうした私の理解でよろしいのでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。

               【内閣総理大臣】

 

次に当面の緊急課題である、雇用問題について、いくつか質問をいたします。

問2

雇用情勢が急激に悪化しています。厚生労働省は「すべての雇用に関する数字が悪化しています。今後さらに厳しさを増す」との見方です。昨年秋から増加している、派遣切りに伴い、失業し、住まいを失くした人たち、外国人労働者やその家族の方たちなど、たくさんの仕事や住まい、生活支援を求めるSOSの声が寄せられています。

こうした声に、地方の労働局やハローワークなどは、自治体や民間団体とも連携をとって、現場でしっかり対応しているのでしょうか。迅速に対応し、解決する体制は十分なのでしょうか。現場からはどのような声が寄せられ、どのような課題に直面しているのでしょうか。大変心配です。現状についてお聞かせください。  

【厚生労働大臣】

 

問3

今、直面している問題の一つは、雇用のミスマッチです。

これまで人手不足・後継者不足に困っていた農林水産業医療・介護サービスの分野へ、就職を希望する人が急増しています。政府は、人手の余っている業種や地域から、人手の足りない業種や地域への円滑な移動を促すために、しっかりとした対応が必要と考えます。厚生労働大臣から、まず、雇用のミスマッチの現状についてご説明頂き、ミスマッチ解消のための取り組みについてお伺いします。農林水産大臣からも取り組みについて、簡潔にご説明ください。

                       【厚生労働大臣】・【農林水産大臣】

 

問4

ミスマッチ解消のため、主管する厚生労働省および農林水産省はそれぞれどのような取り組みをされているのか、簡潔にお応え下さい。

 

問5

先週、総務省から2008年の住民基本台帳・人口移動報告が発表されました。都市部への人口集中に歯止めがかかり、昨年12月の1と月をみると、東京都は9年ぶり、愛知県も5年ぶりに転出超過となり、急速な景気減速を映した結果となっています。全国規模での、人口移動が始まったのです。

世界的な需要の減少や円高の直撃を受けた、自動車関連やデジタル関連の企業の動きをみると、今後需要が見込まれる環境・省エネルギー関連事業へと重点を移し、正社員は原則配置転換、転勤が難しい場合は希望退職を募るなど、大きな「構造改革」に着手しています。

新たな職探しも、これまでのような地域圏ごとではなく、全国規模の人口移動を想定しなければなりません。全国どこに住んでいても、できるだけ早く、全国のあらゆる求人情報にアクセスできるよう情報の一元管理を徹底すること、また、希望に沿うかたちで全国規模の就職活動ができるよう、テレビ電話による面接や面接のための旅費の支給など、政府の取り組みを検討していただきたいと思います。                                  

【厚生労働大臣】

 

問6

総理は、今回の危機(まさにピンチ)を「新たな国づくり」の好機(チャンス)ととらえ、バランスのとれた、成長力のある産業構造への転換を推進する、との力強い決意を述べられました。今回の緊急措置にあたっても、単に一時的な雇用の受け皿づくりにとどまらない、抜本的な対応が求められます。

政府では、新たな成長戦略を取りまとめているとのことですが、例えば、10年後の産業の姿を描くのであれば、どのような産業を、どのように育成していくかという視点だけではなく、それぞれの産業が必要とする人材の能力・技術、さらにそこから生み出される雇用機会がどれくらいか試算することが重要です。

若者たちは、将来どのような道に進むか自らの進路選択の参考にするでしょう。産業界にとっても、新たな発展のために不可欠な人材の育成や職業訓練のあり方に関係します。さらに、次の世代をどう育てるか、教育とも関係します。経済・産業政策と、職業訓練を含めた雇用対策、さらには、教育がしっかりとリンクしていくことが重要と考えます。

総理、ぜひ、今申し上げましたような視点を盛り込んだ、まさに「平成の新・産業政策」を立案していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせ下さい。

                        【内閣総理大臣】【経済産業大臣】

 

問7

総理は施政方針演説の中で、「皆が参加できる社会を創ること、そして安心な社会を実現すること」を政府の重要な役割と位置づけられました。

総理ご自身、この点においてわが国はなお不十分であると認められました。

確かに、企業の派遣切りによって突然、仕事や住む場所を失ってしまった人たちは、「社会の参加者」どころか「人間の尊厳」すら否定されたことに深く傷付き、社会不安も負の連鎖となっています。

しかし、私は日本の社会はまだまだ捨てたものではないと思っています。海外でみられるような少数の企業経営者が莫大な所得を得るといったこともありませんし、「会社は社会の公器」といった使命感が、中小企業経営者の皆さんに、脈々と受け継がれています。

最近、『日本でいちばん大切にしたい会社』という本が評判を呼んでいます。

この中で、あるチョーク・メーカーのことが紹介されています。全従業員50人の7割を占める知的障害者の皆さんが、生き生きと働き、業績も順調に伸ばしているとのことです。効率重視・利益追求一辺倒の企業とは対極にある、働く人の「尊厳」を大切にする、このような中小企業こそが、本当の意味で「日本の底力」を支えてきたのです。その意味でも、中小企業が、今、押しよせる経済危機の大津波を、しっかり乗り越えていくことができるよう、政府として75兆円の対策を打ち出されたと思います。総理の口から、「中小企業を守る」との強いメッセージをお願いします。              

   【内閣総理大臣】

 

                 

 

問8

今回の危機を乗り越えるためのもう一つのカギは、労使の対話と協力です。一昨年の12月、「子どもと家族を応援する日本重点戦略」の重要な柱として、政労使の合意で、「ワークライフバランス」の憲章と行動指針が策定されました。少子化対策、そして、女性も男性も、若者も高齢者も、障害のある方も、すべての人が社会に参画できるようにするために欠かせないと認め、政労使の熱い議論の末に合意された、まさに日本の良き伝統である労使協調、労使双方の信頼関係の結晶ともいえる成果でした。

今こそ、ワークライフバランスの憲章と行動指針を具体化する時だと思います。働く人の視点にたって、「人間の尊厳」を中心に据えた、ワークシェアリングや短時間正社員制度、そして派遣法の改正などについても、政労使の信頼関係の上に合意に導くよう、総理に大きな指導力を発揮していただきたいと思います。ご決意をお聞かせください。   

【内閣総理大臣】

次に、オバマ政権と日米外交について、いくつか質問させていただきます。

問9

米国のオバマ大統領は1月20日の就任演説で、多様な民族・宗教の融和により世界平和の実現をめざす「国際協調路線」へと大きく踏み出す姿勢を明らかにしました。イスラム世界に対しては、「相互の利益と尊重に基づき前進する新たな道を希求する」として対話の努力を約束し、イラクとアフガニスタンという2つの国名に言及して、「イラクをイラク人に委ね、アフガニスタンでは平和を揺るぎなきものにしなくてはならない」と述べました。

日本はこれまでも多くのイスラム諸国と友好関係を築いてきました。オバマ政権がイスラム世界全体に向けて「窓」を開く姿勢を示しているこの機会に、日本もより包括的・戦略的に対イスラム外交推し進め、世界の平和と安定に貢献すべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお伺いします。  

【外務大臣】

    

 

問10

日本の「中東外交」はと問えば、誰もが「石油外交」と答えます。私は、昨年5月、閣僚としては20年振りにオマーン国を公式訪問しました。オマーン国には女性閣僚が4人も活躍されており、公文書管理、文化・スポーツ交流、女性リーダー交流などの分野で、日本への強い関心を示されました。石油外交一辺倒ではない、多様な交流の重要性を実感した次第です。その視点は、2007年、安倍元総理が中東を訪問された時に、「重層的外交(レイヤード・ディプロマシー)」として打ち出された新たな戦略と聞いています。重層的外交の基本的考え方とその進捗状況についてお伺いします。 

【外務大臣】

 

問11

昨日の日経新聞に、「パキスタン支援に向けた国際会議、早ければ3月末に日本主催で開催か?」という記事が掲載されました。テロとの戦いにおいて、パキスタン支援は極めて重要です。もしこれが実現すれば、テロとの戦いに向けた日本政府の具体的イニシアテイブとして、大きな意義があるものと考えます。まさに、総理のいう「新しい秩序創りへの貢献」の第一弾ではないでしょうか。お考えをお伺いします。 

   【外務大臣】

日本は、これまでも、テロが激化し、経済危機に直面しているパキスタンに対し、道路整備や農業の灌漑施設整備などの開発分野で地道な貢献をしてきました。現地の日本への信頼も厚いと聞いています。

総理、ぜひ強いリーダーシップを発揮していただき、成果をあげてください。

 

 

 

問12

オバマ政権の外交・安全保障戦略の重要なキーワードは、「スマート・パワー」という概念です。その提唱者であるジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授が、駐日大使に選任されるとの見通しです。もし実現すれば、個人的なことですが、私自身留学時代にご指導いただいた恩師ですので、大変うれしいニュースです。

ナイ教授は、クリントン政権下で、21世紀を見据えた日米同盟の拡充を方向付けた立役者であり、同時に軍事力以外のソフトパワーを重視する立場の有力な国際政治学者でもあります。世界屈指の外交専門家であるナイ教授の今回の駐日大使実現は、オバマ政権が日米関係重視の姿勢を明確に打ち出したことを意味します。

それだけに今後、米国は安全保障面のみならず、世界的な金融危機や地球環境問題への対応など、さまざまな課題について日本に協力を求めてくることが予想されます。日本としても、「スマート・パワー」をめぐる日米の戦略対話を進める、そして、得意とするソフトパワーを生かした活動を日本から積極的に働きかける。アジアと世界の諸問題に日米が共同して対処し、日米同盟の基盤をいっそう強固にすべき、と考えますが、改めて総理のお考えをお伺いします。

【内閣総理大臣】

 

問13

総理は、午前中の質問でも訪米について触れられていましたが、ぜひ早期に訪米され、多くの成果を上げられることを期待します。

 

問14

私は、これからの日本は「共助社会の実現」をめざすべきではないかと考えています。政府に財政面の制約が重くのしかかっている状況を考えれば、「自助」・「公助」とともに「共助」(共に助け合う)の仕組みを工夫することが大切です。狭い意味の「官」ではなく、かといって営利目的の「民」でもない、それらの中間としての仕組み、「民」による自発的な公共サービスの分担です。

農林水産業、子育てや環境分野など、団塊の世代のノウハウ・スキルや「人間力」を活用できる場としても、そうした機能は欠かせません。国民の皆さんの、社会への参加意識を高め、「まとまりのある社会」を築いていくことにもなります。

こうした仕組みが最も活発なイギリスでは、現在、事業者数は55,000、市場規模は5.7兆円、雇用規模は77.5万人に及んでおり、「ソーシャル・ビジネス」として大きな役割を担っています。日本としてもそうした機能を担う、NPOやNGOの活動をもっと積極的に後押しすることが、総理の掲げた「皆が参加し、安心と活力ある社会をつくる」ために大切であると考えますが、最後に、総理のお考えをお聞きし、質問を終わります。            

   【内閣総理大臣】

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