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かみかわ陽子

活動報告国会活動

 

G8労働大臣会合に参加

 

5月11日・12日の2日間に亘り、新潟市で開催されたG8労働大臣会合(いわゆる労働サミット)に出席しました。席上、少子化・男女共同参画担当大臣として、日本におけるワーク・ライフ・バランスへの取組みについて英語でスピーチしました。

(1)目的

G8労働大臣会合に参加し、我が国の仕事と生活の調和の推進についての取組みを世界に向けて発信するとともにと、各国、各団体との首脳との意見交換を行うこと。

(2)日程

 5月11日(日)

  シュピドラEU委員との懇談

  篠田新潟市長との懇談

  泉田新潟県知事との懇談

  厚労大臣主催レセプション&夕食会

 5月12日(月)

  ILOソマビア事務局長との懇談

  G8労働大臣会合(オープニング・セッション)

     舛添厚生労働大臣(議長)、上川内閣府特命担当大臣、

     フランス、カナダ、イギリス、アメリカ、ドイツ、EU、OECD、ILOの各代表

  記者会見

(3)成果

オープニング・セッションなどの場において「長寿社会でいきいきした人生を送るにはどうすればよいか」をテーマに意見交換し、グローバル競争、市場競争が重要だが、そこに「個人の人生」「個人の幸せ」という側面を考え合わせることは不可欠であること、長寿化社会への対応のためにワーク・ライフ・バランスが非常に重要であることについて、参加者が認識を共有しました。

 

(4)G8労働大臣会合における上川内閣府特命担当大臣スピーチ(原文は英語)

○導入

内閣府特命担当大臣の上川陽子と申します。本日はこのような重要な会合の場で意見表明ができますことを、大変光栄に存じます。

私は、福田内閣の閣僚として、少子化対策、男女共同参画および、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」に関する政策の総合調整を担当しております。

私からは、長寿化とともに少子高齢化が進む下での「ワーク・ライフ・バランス」の重要性とわが国の取組みについて、お話したいと思います。

わが国では、すでに国民の平均寿命が80歳を超え、「人生85年時代」の到来を目前にしています。しかし、同時に少子高齢化が世界でも例を見ないスピードで進行し、40年後の2050年には75歳以上の人口が占める割合が4人に1人に達すると予想されています。

このような人口構造の大変化の下で、国民1人ひとりが生涯にわたって幸福を追求し、社会全体としても持続可能であり続けるためには、どうしたらよいのでしょうか。これらの問題はとりわけ各人の「生き方」や「働き方」と密接に関わってくるため、はじめに日本の若い世代と高齢世代がかかえる問題について簡単にご説明します。

○若い世代の問題

まず若い世代についてみると、グローバリゼーションに伴う競争激化から、このところ低賃金や経済的自立の難しい非正規雇用が急速に広がっています。また、企業が経営効率化を一層推し進める結果、労働負荷が増し、家事・育児や地域の付き合いなどの時間が十分持てない人が多く見られます。

特に女性については、仕事と出産・育児の両方を希望しながらも、両立の困難さゆえ、現実には二者択一を迫られるケースが数多く見られ、これが少子化の原因ともなっています。

これらの問題を解決するためには、働き方や男女の役割分担意識を根本から見直し、誰もが働きやすい多様性に富んだ就業形態や男女共同参画社会を早急に実現することが不可欠です。

○高齢者の問題

次に、高齢者の状況はどうでしょうか。わが国では従来から高齢者の労働意欲が旺盛で、60歳を過ぎても働き続ける高齢者は多く、60歳代前半では男性の7割、女性の5割、また60歳代後半でも男性の5割、女性の3割が職業に従事しています。

しかしそれでも、就業を希望しながら実際には就業できていない高齢者が、例えば60歳代後半の男性では2割に上っており、意欲のある高齢者の活力や能力が十分には活かしきれていないのが実情です。

○長寿化時代におけるワーク・ライフ・バランスの視点

以上のように、一方で仕事に追われ、生活にゆとりのない若い世代。とりわけ、仕事か、家庭か、の二者択一を迫られ、出産・育児に踏み切れないでいる女性たち。他方で、労働意欲を有しながら、仕事の機会に恵まれない高齢者たち。こうした長寿化時代におけるアンバランスについて考える上で、私は二つの重要な視点があるように思います。

・第一に、「世代間の支え合いによるワーク・ライフ・バランス」という視点です。すなわち、高齢者自身が「高齢社会を支える貴重なマンパワー」として、仕事、家事・育児、介護の負担を抱える若い世代を支え、高齢世代と若い世代がともにワーク・ライフ・バランスの実現を図るという視点です。そのためには、時間に余裕があり、意欲や能力もある高齢者がもっと仕事や社会活動に参加することによって「高齢者=支えられる人」という固定観念を変えなくてはなりません。

・第二に、「人生を通じたワーク・ライフ・バランス」という視点です。若い時期に、仕事が忙しすぎて職場外での人間関係を十分に築けないため、高齢になりこれまでの職場を離れたときに、自らの意欲や能力を発揮し、生きがいを持てる場を見出せないといった問題も生じています。高齢になってもいきいきと暮らせるためには、若い時期から自分の人生全体を見渡し、仕事以外の活動にも時間を振り向けられるような環境づくりが重要であると考えます。

 

このように、国民一人ひとりが生涯にわたってワーク・ライフ・バランスを実現することは、個人の幸福の追求にとどまらず、高齢者と若い世代の間の支えあいを強化するものであり、「溌剌とした」「持続可能な」社会の実現につながるものです。

○仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章および行動指針の策定

以上のような認識の下、わが国は「働き方の改革」による「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現をめざして大きく舵を切りつつあります。

とはいえ、このような社会改革は政府だけで進められるものではありません。労使を含め、あらゆる主体が、自らの行動・意識を変えていくことが必要です。このため、政労使のトップで構成された国民会議での議論を経て、昨年末、ようやく合意にこぎつけたのが、「ワーク・ライフ・バランス憲章」と「行動指針」です。

「憲章」では、仕事と生活の調和が実現した社会のイメージを次のような三つの柱に整理しています。

@未熟練の若年にとっても「就労による経済的自立が可能な社会」

A「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」すなわち長時間労働が是正された社会

B人生のステージや属性に応じて「多様な働き方・生き方が選択できる社会」

また、「行動指針」では、これらの柱に沿い、社会全体の目標として14の数値目標を掲げ、政労使が力を合わせてこれらの目標を、10年後に達成することを目指しています。

○「憲章」・「行動指針」の実現に向けたアクション

ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた今後の課題は、「憲章」および「行動指針」の具体化です。これらがめざす社会の実現のためには、労使が自主的に取り組んでいくことが基本ですが、国や地方公共団体がそれを積極的に支援し、社会全体の運動として取り組んでいくことが極めて重要です。

そこで、わが国政府としては、次のような取組みを進めています。

・これらの課題に向けた取組みの進捗状況を把握・評価し、関係者のこれからの行動に反映するため、学識経験者や、労使など各団体の代表で構成される「連携推進・評価部会」を設置。

・「憲章」と「行動指針」の理念を周知させ、企業等の取組みを促すため、担当大臣である私自身が経済界の関係団体を訪問し、トップダウンによるワーク・ライフ・バランスに向けた強力な取組を推進していただくよう要請。

・各企業の取組みを外部に「見える」ようにすることが、有能な人材確保にしのぎを削る企業にとってインセンテイブになるため、中小企業も含め企業行動計画の公表等を義務付ける法案を提出。

・日本では中小企業ではたらく方々が全体の2/3を占めるため、積極的に取り組んでいる中小企業への助成措置の導入や先進的取組み事例を収集・発信。

私は、担当大臣として、本年を日本における「仕事と生活の調和元年」と位置付け、「憲章」と「行動指針」に基づきながら以上のような政策を政府を挙げて取り組んでまいる所存です。

○最後に

わが国の社会構造改革の大きな柱として打ち出されたこのような「働き方の改革」によって、企業や国民の行動や意識が本当に変わっていくのか。また、国の政策が改革をうまく後押しできるのか。確かに、これまで世界が経験したことのない急速な少子高齢化に直面しているわが国には、今後、克服しなければならない課題が少なくありません。しかし、私としてはそうしたチャレンジを真正面から受け止め、新たな繁栄への道を切り開いていく覚悟です。

そのためにも、本日ご列席の皆様から、各国におけるワーク・ライフ・バランス実現に向けた様々な取組みについて貪欲に学ばせていただきたく思いますし、本セッションにおける議論が深まることで、参集国における「仕事と生活の調和」の取組の一層の推進が図られることを期待しております。ご清聴、ありがとうございました。

 

シュピドラEU委員と

 

ソマビアILO事務局長と

歓迎レセプションで

 

泉田新潟県知事と

 

篠田新潟市長と

 

G8労働大臣会合に参加して(5月12日記者会見)

1.仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する政策の総合調整を担当する大臣として、昨日からの2日間にわたって労働大臣会合に参加した成果ついて、ご報告いたします。

2.昨日は、シュピドラEU委員、新潟県知事、新潟市長との個別会談を行いました。シュピドラ委員とは、ワーク・ライフ・バランスが労働者、企業にもたらす利益などを中心に、EUにおける研究成果や、内閣府において公表したワーク・ライフ・バランスのコストメリット分析等の話題についての意見交換を行いました。今後とも、さまざまな機会をとらえて、ワーク・ライフ・バランスについての「知のネットワーク」作りをお互いに意識して進めていこうという認識を共有することができました。

3.また、開催地であり、ワーク・ライフ・バランスの先進地域でもある新潟県知事、新潟市長との個別会談では、地方の抱える問題やその問題を解決するための県、市における取組についてお話をいただくとともに、私からは、

・ワーク・ライフ・バランスの問題は、少子化、男女共同参画など関連領域が多岐にわたるので、県・市の中での推進の司令塔を確立し、国とも連携して進めていただくこと、

・ワーク・ライフ・バランスは昨年の憲章でも政労使一体となって進めていくこととなっており、地域レベルでも、知事や市長が直接、経済団体等のトップに働きかけるとともに、関係者の協議の仕組みを作っていただくこと、

・ワーク・ライフ・バランスについての地域レベルでの先進事例の発掘、発信

などをお願いしました。

4.本日は、ソマビアILO事務局長との会談を行った後、セッション1に参加いたしました。

ソマビア事務局長とは、ILOが積極的に推進しているディーセントワークと、我が国が推進するワーク・ライフ・バランスについての取組みや課題を中心に意見交換いたしました。

5.その後、行われた大臣会合のセッション1は「長寿社会でいきいきとした人生を送るにはどうすればいいか」というテーマでしたが、私からは、このテーマを考える際にもワーク・ライフ・バランスの考え方が重要であることを、二つの視点から申し上げました。

第一は、「世代間の支え合いによるワーク・ライフ・バランス」の重要性で、若い世代は仕事に追われる一方で、高齢者は意欲があっても仕事の機会がないというアンバランスな状態から、もっと高齢者の活躍の場を広げることで、若い世代の仕事の負担を軽減し、ワーク・ライフ・バランスを確保していくことが大事だという視点、

第二は、「人生を通じたワーク・ライフ・バランスの重要性」で、若い世代は職場一辺倒であるため、その職場を離れたときに生きがいを持てる場がなくなってしまうという高齢期の現実を考えると、若い時期から自分の人生を見渡し、仕事以外の活動にも時間を振り向けられるような環境づくりが大事であるという視点、

そして、このようなことを実現するためにも、昨年末にとりまとめた「憲章」「行動指針」に沿った取組みを精力的に展開していかねばならないという決意と現在の取組みについての報告をいたしました。

6 会議に参加し、各界トップとの意見交換、議論の場に参加できたことは、大変有意義なもので、実に多くの新たな知見をもたらしてくれるものだと痛感いたしました。

この場で得た知見や事例について、今後、国内関係者の皆様と共有し、これからのワーク・ライフ・バランスの推進に役立てていきたいと思います。

7 最後に、地元主催の心温まる歓迎行事を始め、会議開催にあたってご尽力いただいた地域の方、主催者への御礼を申し上げ、私からのご報告といたします。

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