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かみかわ陽子

活動報告国会活動

 

情熱だより(平成 19年7月号) 巻頭言

 

犯罪被害者の皆さんが法廷の中へ

衆議院議員 上 川 陽 子

全国各地で犯罪に巻き込まれ、苦しまれている被害者の皆さんとともに、闘いを開始して 4年、私の議員活動の中でも大きな重みを持つ活動となっています。

平成 16年12月に議員立法で成立させた「犯罪被害者等基本法」にもとづき、258の検討項目から成る「犯罪被害者等基本計画」が翌年12月に閣議決定されました。そしてこの通常国会で「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」となって本格的に実現する運びとなりました。

これまで刑事裁判は専ら裁判官、検察官、弁護人、被告人により進められ、被害者は「証拠」として扱われるだけでした。被害者やそのご遺族の皆さんは、最も切実な「事件の当事者」であるにもかかわらず、疑問に思ったことを被告人に直接問いただすことができず、法廷に着席することもできず、ひたすら傍聴席で耐えて見守るしかできなかったのです。

被害者やその遺族の方々は、真実を知ることによってはじめて被害から立ち直るきっかけをつかむことができる・・・しかし、その願いが叶わず、刑事手続きの中で新たな被害を受けて苦しまれておられます。こうした声を自民党で受け止めて基本法に盛り込み、法務省がようやく重い腰を上げて、 60年余の歴史を有する刑事訴訟法を改正して被害者参加の制度が設けられることとなりました。被害者の皆さんが法廷(バー)の中に入る権利が認められる、画期的な制度改正です。

法廷が被害者による報復の場となってしまうなど制度改正を危ぶむ声もありましたが、私は犯罪被害者団体の皆さんと安倍総理を官邸に訪ね、法案通過への総理の力強い支持をいただきました。また、多くの先輩、同僚議員の言い尽くすことのできない協力をいただくことによって、衆議院本会議で賛成討論し(以下、ご参照)、参議院では修正案の提出者として答弁に立つなど、衆議院法務委員会の理事として、責任を果たすことができました。

改めて犯罪被害者の皆さんに、心から敬意と感謝を表します。

 

 

 

 

<ご参考>

衆議院本会議における演説全文

        犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の改正について

2007年6月1日

議長(河野洋平君) : 討論の通告があります。順次これを許します。上川陽子君。

〔上川陽子君登壇〕

上川陽子君 : 自由民主党の上川陽子です。

私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、議題になっております犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案及び修正案について、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)


犯罪被害者等の保護、支援については、これまでにもさまざまな法整備等が行われてきましたが、犯罪被害者の方々からは、被害からの回復には依然としてさまざまな困難があることが指摘されてきました。

このような状況を改善し、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るため、平成十六年十二月、犯罪被害者等基本法が成立し、犯罪被害者等のための施策を総合的に策定し、及び実施する国の責務が定められたところでございます。


この基本法に基づき、平成十七年十二月に犯罪被害者等基本計画が閣議決定されました。本法律案は、この基本計画に基づき立案されたもので、犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るため、所要の法整備を行うものであります。


主な内容としては、まず第一に、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度を創設し、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、業務上過失致死傷の罪等の被害者等が、公判に出廷し、証人の尋問、被告人に対する質問及び事実または法律の適用について意見の陳述をすることができることとしております。

第二に、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪等の被害者等が、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用することができる制度を創設することとしております。

これ以外にも、本法律案においては、犯罪被害者等に関する情報の保護に係る制度の導入や公判記録の閲覧謄写の範囲の拡大など、被害者のさまざまな権利利益の保護のための有意義な施策を講じております。


今回導入される被害者参加制度は、長きにわたり慎重な議論が積み重ねられた結果、今回ようやく日の目を見ることになったわけですが、その発端は、被害に遭われた皆さんが勇気を持って声を上げたことにあります。


これまで刑事裁判は、専ら裁判官、検察官、そして弁護人、被告人により進められており、被害者の皆さんは証拠品として扱われているにすぎなかったのであります。被害者やその御遺族の皆さんは、最も切実な利害関係を有する事件の当事者であるにもかかわらず、刑事裁判においては、疑問に思ったことを被告人に直接問いただすこともできない、名誉を傷つけられても抗弁することもできない、ひたすら傍聴席でみずからが被害に遭った事件の裁判の推移や結果をじっと黙って耐えて見守ることしかできませんでした。


真実を知りたいという被害者やその御遺族の方々の声は悲痛であります。真実を知ることによって初めて、被害から立ち直るきっかけをつかむことができるのです。しかし、その願いがかなわず、刑事手続の中で被害者の皆さんは新たな二次被害を受けて苦しまれておられます。被害者の皆さんの中には、真実を知るためにわざわざ民事裁判を起こす方もおられました。


こうした被害者やその御遺族の方々の声を受けとめ、政府は六十年余の歴史を有する刑事訴訟法を改正して、被害者参加の制度を設ける法律案を提出するに至ったのであります。この制度によって、被害者の皆さんが被害者参加人として法廷の中に、バーの中に入る権利が認められることになるわけであり、大変画期的なことであると考えております。


本法律案の被害者参加制度は、被害者の方々の名誉の回復や被害からの立ち直りにも資するものであると同時に、刑事裁判が被害者の方々の心情や意見をも十分に踏まえた上でなされることがより明確となり、刑事司法に対する被害者を初めとする国民の信頼を一層確保するとともに、適正な科刑の実現にも資することになるものと考えております。


なお、この被害者参加の制度については、これを導入すると法廷が混乱するのではないかなどとの御指摘もございましたが、検察官との間で十分にコミュニケーションをとった上で裁判所が許可して初めて認められるなど、そのような問題が生ずることのないよう十分に配慮された内容となっております。そして、参考人質疑に出席していただいた犯罪被害者の団体の代表からは、被害者参加制度は被害者にとって大変に有意義なことであり、立ち直りにも役立つことになるものであり、今までよりもはるかに被害者にとっては心が救われることになりますとの御意見をちょうだいして、全面的に賛成していただいたものであります。


一方、本法律案の損害賠償命令の制度は、被害者の方々による損害賠償請求に係る紛争を刑事手続の成果を利用して簡易かつ迅速に解決することを目的とするものであり、その損害の回復を容易にする手段を提供するものとして重要な意義を有するものと考えられます。


このように、本法律案の内容は、基本法の要請を十分に満たしており、犯罪被害者等の権利利益の保護を図る観点から極めて有意義であるものであって、犯罪被害者等から強く求められている施策を実現するものであります。


なお、法務委員会に提出された民主党修正案につきましては、刑事裁判における犯罪被害者等の参加を犯罪被害者等の関与に改めること等を内容とするもので、基本法の要請を必ずしも満たしておらず、犯罪被害者等の権利利益の保護という観点からは原案を後退させるものと考えます。


また、法務委員会において可決された修正案は、政府に対し、法施行三年後における検討及び被害者参加人に対する弁護士の法的援助に係る努力を義務づけるものとしており、委員会の質疑を踏まえた前向きな修正と考えます。


権利利益の一層の保護を図るため、本法案の一日も早い成立を強く願うものであり、以上をもちまして、賛成討論といたします。
よろしくお願いいたします。(拍手)

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