(9月5日オンエア)
(上川)リスナーの皆さま、こんばんは。上川陽子です。
(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。8月3日の内閣改造で法務大臣に再任されたということで、この夏は激動の夏でしたね。
(上川)第三次安倍内閣の第三次改造で、法務大臣を再任することになりました。前日の2日夜、お電話をいただき、法務大臣をもう一度やってほしいと言われました。内外共に厳しい時世の中、内閣で働かせていただくこととなり、身が引き締まる思いです。
(鈴木)このラジオシェイクは大臣再任後、最初の収録になりますので、1か月前を振り返っていただきますが、法務大臣二度目の就任、最初に言われたときは「おっ!?」という感じだったんですか?
(上川)実はメディアでは以前から私の名前が挙がっていると支援者の皆さんから聞いていたんですね。でもまったくその兆候はなく、ほかに入閣が期待される方は大勢いらっしゃいますし、私が任命されるとなると3度目の大臣職ということになります。当選5期で3度の大臣というのは異例ですし、私自身は自民党の司法制度調査会長として司法行政の骨格を担う仕事をしておりました。 とりわけ日本が東南アジアの国づくりに対して20年やってきた法整備支援を司法外交として強く打ち出すことを政府に対して提案したばかりで、これから本格的にドライブをかけて応援していこうという矢先でしたから、お話をいただいたときは、政府の中で提案された柱を実現させることを大きなテーマに頑張っていこうと、そんな思いで1か月過ごしてまいりました。
(鈴木)改造のときの安倍総理のキャッチフレーズ「仕事人内閣」が話題になりましたね。また女性大臣は野田聖子さんと陽子さんの2人だけということになりましたが・・・。
(上川)私は「仕事人内閣」というキャッチフレーズが、本当に意味するものになるには、一人一人の閣僚がしっかりと取り組み、成果を出す。結果が出なければ本当の意味で仕事人にはなりませんから、そのような内閣の一員に加えていただいたことは大変光栄に思います。私自身、パフォーマンスが得意なほうではないので、しっかりとした仕事で皆さんにお返しするということを当選以来信条にしてまいりました。派手ではないけれど着実に成果を上げる仕事をして、国家国民のために尽くす、そういう姿勢を見ていただいたのだなと嬉しく思い、今まで通り自然体で、気負うことなく仕事をしていきたいと思っています。
(鈴木)女性だからとか何とかではなく、陽子さんが取り組んでこられたお仕事を、見る人はきちんと見ていたということですね。
(上川)女性活躍というキーワードは当選以来、自民党女性局長や女性活力推進委員会委員長として取り組み、提言書にも刻み込んだキーワードで、私自身が生みの親、という立場でもあります。女性活躍推進本部という新しい組織が出来たときの初代本部長に選ばれ、その1か月後に法務大臣を拝命し、大臣を退いた後、再任し、そこでお出しした提言書には女性活躍が遅れている分野―具体的に言えば政治の分野、起業支援の分野、人権の分野を挙げ、「女性の活躍さらなる加速―政治、女性起業、人権」をキーワードにしました。
政治の分野では、2020年までに女性閣僚のポスト30%という目標を立てました。閣僚の数でいえば5人です。しかしご承知の通り今回は2人。数ももちろん大切ですが、2人で協力していこうと。女性活躍担当は野田聖子さんですが、私も法務省の中でしっかりとこれに取り組み施策を推進し、2人で5人分働こうとひそかに決意したところです。
(鈴木)おそらく安倍総理も、野田聖子さんと陽子さんなら、2人で5人分、いやそれ以上の働きをしてくれるのではないかと期待されたと思いますが、総理ご自身からは、任命の時にどんなことを言われたんですか?
(上川)ちゃんと紙に書いてあるんですよ。これとこれについて力を入れてほしいと。これは官邸における記者会見で発表しております。
1点目は、法務省は司法制度を扱っているところですので、国民に身近で頼りがいのある司法の改革をしっかり加速してほしいということ。2点目は人権関係で、いじめや虐待のケースが増えています。今まで表に出ていなかったことが顕在化したものだと言われる方もいますが、母親が育児放棄するとか死亡させるという深刻なケースも出ておりますので、人権擁護については丁寧にやってほしいと。
3点目は犯罪を無くすというミッション。加害者はきちんと刑に服し、社会に出たら二度と罪を犯さない再犯防止の観点と、被害者に対しては私も施行にかかわった犯罪被害者支援法をしっかり運用していくということです。
4年目は領土領海領空の安全について。最近はテロの問題もありますので、海外テロリストを水際で阻止し、入国させないためにも、情報をきちんと持って、事前に上げるということが大事です。国内でもインターネット等で過激思想に染まる若者を生まないように取り組む。そんなことが4つの柱になっています。
(鈴木)テロ等準備罪についてずいぶんメディアで取り上げられていますが。
(上川)新しい法律ができるとき、その趣旨に合わせ、適正に運用させるのが行政の役割です。先回の通常国会で前大臣が1600回もの答弁をしているんですが、国民の皆さんがきちんと理解し、運用されているかといえば、たくさんの懸念が残っているわけです。これを実際に運用させるのが私の仕事であり、きちんと理解していただくには広報活動を徹底的にやる必要があります。運用する組織―警察や裁判所、法務省内の組織にも徹底させてほしいと、ここが私にとって心を砕いてやらねばならないところだと思っています。とくに新しい法律は、最初にどのように取り組むか、初動の操作で決まってしまいます。そのことを指示しているところです。
(鈴木)改造のニュースの翌日の朝刊だったと思いますが、法務省関連の記事の見出しがパッと目に付きました。たしか成人年齢を18歳に引き下げるという話題で、当然「上川大臣」の名前にも目が留まりました。その後、立て続けに法務省関連のニュースが新聞にいろいろ出て来たものですから、ちょっと風向きが変わったのかなと思ったんですが、実際はどうなんでしょう?
(上川)これは私の就任時の挨拶で民法改正についてふれたことが記事になったものです。18歳選挙権が先行し、昨年の選挙で初めて行使されましたが、選挙権が引き下がるということは成人―大人の定義をどうするかと密接に関連します。民法で記載されている成人を何歳に定義するか。平成12年からの法制審議会で検討され、18歳に引き下げるべきだという提言をいただいた上での行使ですが、酒、たばこをはじめ、消費者被害の拡大の懸念等、民法の成人年齢をベースに適応してくる問題がいろいろあるため、18歳に引き下げることに連動させる意味でも大きな法律改正になります。選挙権が変わりましたので、なるべく早い時期に法案審議をしていただきたいと申し上げ、かなり踏み込んだ議論が始まったということで新聞の1面に掲載されたということです。
(鈴木)大臣就任直後にそういうニュースを提供できるということは、陽子さんが長年これらの問題にかかわり、実際に法務省でも実績を積んでこられたからですね。
(上川)そうですね、二度目の就任で意識しているのは、政策と言うのは省の中のいろいろな部門でもまれ、洗練されていくものということ。でも考えてみると、その時に1回発表するよりも、今、検討していますと前もって出していけば、国民の間で議論が広がります。法律は出来て運用するわけですが、作る過程で出来るだけ参加していただくため、大臣の方針として出来るだけ早い段階で内容や方向性を提起し、皆さんからご意見を頂戴することが大事であり、積極的に営業していこうと呼びかけているところです。
(鈴木)戦略的広報のスタイル、というわけですね。
(上川)戦略的広報ですね、まさに。今までは、どちらかというと石橋を叩いて渡る法務省でしたが、慎重さを持ちつつ、国民生活に関わることは出来るだけ早くお伝えし、関心を持っていただき、国会の動きを監視し、パブリックコメントを募集するときには積極的に意見を出していただく。そんな国民とのダイナミズムを展開していきたいですね。初回法務大臣のときには余裕がありませんでしたが、今回の再任でそのような見方が出来るようになりました。
(鈴木)今回の法務大臣就任は、ある意味、腰を据えてじっくり、これまで築き上げてきたものの集大成として、仕事人内閣にふさわしい実績を上げていただけるのではないかと、我々も期待しております。
(上川)ありがとうございます。
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(鈴木)さて、大臣に就任された直後に静岡へお帰りになって、久しぶりに街頭演説をされたそうですね。
(上川)地元の皆さんから選ばれ、国会活動をし、今回大臣職を拝命することになった、ということを、街頭でご報告したいと思い、8月12日、静岡は夜店市が開かれた日の午後の時間帯で、青葉イベント広場のライオン像があるところで報告演説をさせていただきました。
(鈴木)皆さんどんな反応でしたか?
(上川)暑い日でしたが、通りがかりの人にも止まっていただいたり、支援者の方もお盆休みにもかかわらず大勢集まってくださいました。嬉しいですね、皆さんの期待に応えて頑張ろうという気持ちがますますこみ上げてきます。
(鈴木)室内での報告会と、街頭での報告会ではやっぱり違いますか?
(上川)やっぱり政治は特別な人のためではなく、かりに私に投票していただかなかった人に対しても、私にはその方々の幸せのために働く使命があります。支援者だけを集めた室内での報告会だけでなく、一般の方が集う広くオープンな場でお話するというのが政治本来の姿だろうと思い、辻立ちというのも長年やってきました。
今は大きな街頭演説会を行う機会が限られてしまいましたが、有権者の皆さんに直接報告をするというのは大事な政治活動です。熱心に聞いてくださる方に話をするのは楽ですが、誰?あの人?という反応の人にも話しかけるというのが政治家としてとても大事だと、20数年の活動で噛み締めています。
(鈴木)いつも9月の最初の放送では、地域の夏お祭りに参加されたお話などをうかがうのですが、今年はお祭りに参加する余裕は・・・
(上川)それはもちろん。7月、井ノ宮の七夕では神輿を担ぎましたよ。私のプロフィールの趣味の欄には「神輿担ぎ」としっかり書いてあります。皆さんから本当に担いでるの?と言われるんですが、大好きで担ぎました。
(鈴木)ご家族連れやお子さんからも声を掛けられる機会が増えたそうですね。
(上川)そうなんです。嬉しいですね。私自身、自分の政治姿勢が変わってきたと思うのは、次の世代の子どもたちに、一番いい状態でつなげていく、社会全体がいい状態で次の世代にバトンタッチするには、相当の努力が必要だということ。仕事人としてはその責任を強く感じています。といっても、あまり肩に力を入れず、自然体で神輿を担ぐように頑張っていきたいと思っております。
さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。