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ラジオシェイクradioshake

第117回 「イギリスの国民投票と日本の憲法改正について、京都迎賓館訪問」

<2016年8月16日オンエア>

(上川)リスナーの皆さま、こんばんは。上川陽子です。

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。昨日は8月15日。平和について考える大切な節目の時期です。今年は世界各地で大規模なテロ、とりわけレストランやお祭り会場などソフトターゲットといわれる場所で一般市民を巻き込んだ悲惨な事件が頻発していますが。

(上川)今、テロ事件が日常化しつつあるというイメージを持たれています。グローバル化が進み、インターネットの力で世界の事件が瞬時にお茶の間に入って来る。時代は国際化しており、世界中どこにも日本人がいてテロに巻き込まれるリスクもあるわけです。大事なのは冷静さを欠かないこと、事件の背景に何があるかを知ること、そのうえでリスク予防をする意識や知恵、危険地域を避けるという原理原則を持つことです。

日本は2020年東京オリパラを控え、訪日外国人が4000万人にもなる時代を迎えます。ひと口に4000万人と言いますが、リスクの中にも交流を深め、平和を共有し、日本の良さや生活ぶりに触れていただく人と人との平和交流が、プロの世界の外交とともにソフトパワーとして大きな役割を持ちます。大きな事件が起きた時は、より交流を密接にし、問題があった時は目をそらすことなく真正面から対処する姿勢が必要です。政治の中でもそういう姿勢をしっかり持ちたいと思っています。

(鈴木)国家間の連携を大切にしようと思う一方で、イギリスがEUから離脱することを国民投票で決めたのは大変な出来事でしたね。

(上川)イギリスの国民がEU離脱を投票で選択したというプロセスそのものは、民主主義の国としての手続きとして社会に位置付けられたものです。今回は離脱か存続かはギリギリまで意見が拮抗していましたね。存続を訴える女性議員が暗殺され、直前まで存続派が優勢と伝えられてきたものの、蓋を開けてみたら離脱を選んだ。多数決の結果です。このような重要課題を国民の多数決で決めるということも重さを考えると、極めて大きな出来事でした。

(鈴木)国民投票といえば、日本では憲法改正の是非を国民投票で問うことになっていますね。有権者が後々後悔しないような選択をするには何が必要でしょうか。

(上川)日本国憲法は、法の支配という法治国家の明確な構えを打ち出している大事な「背骨」です。その内容が今の時代にとってどんな課題になっているか、今の日常と現実に起きている変化とに、丁寧に照らし合わせていく必要があります。憲法がどこかの家の床の間にあるのではなく、私たちの日常の生活の行動に憲法の大原則が埋め込まれていて、それに基づいて様々な法律が体系づけられていると思うと、教育の場面で、あるいは日常生活の場面で触れていただき、理解していただくため、政治も努力しなければと思います。

(鈴木)この夏は選挙がいくつかあり、憲法については全面的な議論になりませんでした。投票は有権者にとって大事な意思表示の機会ですから、憲法についてもちゃんと考えたいなと思っていたのですが、なかなか議論が深まっていきませんでした。どうすれば憲法の学習の機会を増やすことができるんでしょうか?

(上川)たとえば日照権という権利があり、ある方の生活権と衝突するケースもあります。人権同士の対立です。では日照権とはどういう権利なのか、生活する上での居住権とどう折り合っていくのか、これは憲法の判断になるわけです。

(鈴木)そうなんですか!

(上川)実は、今、さかんに言われる環境権という権利は、今の憲法にはないんです。私も地球温暖化の問題―たとえば北極圏で凍土が融けて海面が上がり、国が成り立たない島が出てくる。これは人権にかかわる問題です。温暖化のスピードを抑えるためには二酸化炭素の排出を環境権として制限しなければなりませんが、ではどこまで制限をかけるのか、これも新しい課題ですね。

今、直面している様々な問題は、「人権」という憲法規定の部分と関係があるということを、ちょっと踏み込んで考えていてほしいのです。いきない条文の文言がどうのこうの、という議論に入るのではなく、私はもう少し日常の出来事の中で憲法とのつながりや、憲法の範囲では判断できない新しい課題にどう対処するかの議論を通して憲法を考えていくのが大事だと思っています。その意味で、憲法教育も必要であり、プロセスを大切にしていきたいと考えています。

(鈴木)となると、テーマになることは日常生活のありとあらゆる課題になるわけですね。

(上川)私は犯罪に巻き込まれた被害者の皆さんを支援する基本法というものを作りました。基本法の前文に、どうしてこの基本法を作らなければならないのかの理念を盛り込んだんですね。通常、犯罪被害者の権利を守らなければならないと書いてあれば、その部分を引用し、法律を作るわけですが、元の憲法には明確な条文がないため、議論の中で、そういう権利を盛り込むべきだと主張する人もいます。憲法を改正する・しないの二極化議論で、イギリスの国民投票のように国論を二分するようなことになってはいけないと思いますので、丁寧に一歩ずつやっていく必要があるのでは、と思っています。

♪ 

(鈴木)さて、先月から京都御所の一角にある京都迎賓館の通年公開が始まりました。陽子さんは何度もご覧になっているそうですが、私も先月はじめて、見学させていただきました。日本の伝統文化の玉手箱のような建物で感激しました!

 

(上川)日本には2つの迎賓館がありますね。ひとつは東京の赤坂離宮。すでに通年公開が始まっています。それに加えて京都迎賓館の通年公開がスタートしました。京都で海外からの賓客をお迎えし、日本への理解と友好を深めていただくことを目的に総事業費260億円をかけ、平成17年に建設されました。

(鈴木)完成してすでに10年経つんですね。

(上川)そうですね。これまでは国公賓などの賓客の接遇の場としての役割を果たしています。毎年限定公開していましたが、やはり海外観光客の増加を受け、通年公開になりました。

(鈴木)赤坂迎賓館はヨーロッパの宮殿のような造りですが、それとは対照的に、日本の伝統的な住居である入母屋屋根と数寄屋造りの外観で、築地塀を巡らせたシックな建物でした。

(上川)まさに日本建築の粋を集めたものですね。建設に当たっては、数寄屋大工、左官、作庭、截金(きりかね)など、数多くの伝統的技能を活用し、京都を代表する伝統技能者の技が生かされています。また、調度品についても西陣織や蒔絵(まきえ)、漆などの伝統的技能を活用した家具を配置しています。

(鈴木)オールジャパンの伝統技術が結集したって感じですね。

(上川)やはり伝統技術の担い手が多いというのは、寺社が多い京都ならではですね。京都全体が伝統技術の学びの場なのです。ここに使われた技術は値段が付けられないような貴重なもので、一般家庭では手が届きませんが、この機会に観て触れて楽しんでいただきたいと思います。もしかしらら、こういう世界の担い手になりたいという若者も出てくるかもしれませんね。その意味でも通年公開の意味合いはとても大きいと思っています。

(鈴木)私が感動したのは、一番大きな宴会場である「藤の間」に能や雅楽を披露するちょっとした舞台がありまして、舞台の扉に、人間国宝の故・江里佐代子さんの截金(きりがね)が鮮やかに施されていました。陽子さん、確か江里さんとはご縁がおありですね。

(上川)江里佐代子さんとは直接お会いすることはできませんでしたが、ご主人が仏師で、お嬢様が截金(きりがね)の継承者になっておられます。もともと截金とは仏像の衣裳に使われた技術で、大変緻密な技術を要します。仏教の世界では特別な位の方しか触れることのできなかった仏像が一般に普及したことで、截金の技術はいったん途絶えたのですが、江里佐代子さんが復活させたのです。その方の最後の作品ともいえるのが、この舞台扉の意匠です。魂がこもった素晴らしい作品ですので、ぜひご覧になってみてください。

(鈴木)京都迎賓館の見学は事前申し込みが必要ですが、日にちによっては当日受付も可能です。詳しくは内閣府のホームページを参照してください。

 ♪ 

 (鈴木)京都迎賓館ではお庭に置かれていた円柱の石に目を引かれました。太閤秀吉の時代の五条大橋の橋脚の一部だそうです。

(上川)静岡の町は空襲や静岡大火によって古い建造物が焼失してしまいましたが、京都はそうした災禍に遭わなかったので、建物の原型がいろいろなところに残っているんですね。どこそこに、こういうものがあるというお宝情報がプロの間で行き交っていて、それらを持ち寄ったところがすごいですよね。静岡でもそういうものがないかなと、古い民家の蔵の中を発掘したい気持ちもあります。

(鈴木)ちょうど大河ドラマ『真田丸』で晩年の秀吉がリアルに描かれていますね。その時代のものがふっと目の前に現れ、歴史とは別の世界の作り話ではなく、日本のこの地に脈々と積み重なった人間の営みの連続なんだと実感しました。

(上川)ベルサイユ宮殿や赤坂迎賓館のお庭と比べ、たとえば修学院離宮の庭園などは、自然のあるがままの姿を大切にしています。自然と人間社会が融合してきたことを、都市設計の中に取り入れている、そこが日本の誇りです。西洋のシンメトリーな庭ではなく、アンシンメトリーな造形そのものが宇宙や自然を感じさせますね。作庭家はそれを意識し、昔の石や造形物をさりげなく置く。

(鈴木)借景という考え方は、西洋にはない日本独特のものらしいですね。

(上川)自然をうまく活用し、道や水路を築いていく。大文字焼きも借景の結晶でしょう。木の文化を見直そうと、東京新国立競技場も木材を多用することになりました。静岡の町も駿府96ケ町の良さを大切にしてきたというイメージを絶えず守って町づくりを進めてほしいと思います。

(鈴木)静岡には富士山という大借景がありますものね。

(上川)富士山を見ながら参勤交代があったわけです。今の駿府城址には天守閣がありませんが、家康公は必ずや富士を眺めて楽しんだはずです。そのイメージを大切にしてほしいですね。

さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

法務大臣 活動記録 2017.8.3~、2014.10.21~2015.10.7 総務副大臣 活動実績!

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