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ラジオシェイクradioshake

第100回 「子どもが自分でプログラミングできるパソコン開発者・福野泰介さんを招いて」

<201512月1日オンエア>

(上川)リスナーの皆さまこんばんは、上川陽子です。

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いします。今年もはや12月。毎年毎年、1年が過ぎるのが早いなあと実感しますが、いかがですか?

(上川)そのとおりですね。10月に法務大臣職を終えたあと、あっという間に2か月が過ぎました。

(鈴木)実は今日はラジオシェイクは放送100回目という記念の日です。本当に100回お世話になりました。

(上川)真弓さんもおつきあいありがとうございました。

(鈴木)100回目という記念の回にふさわしく、今日は特別ゲストをお迎えしました。福井県鯖江市からお越しいただきました株式会社JIM代表取締役の福野泰介さんです。

(福野)福野です。よろしくお願いします。

(上川)放送100回という節目に福野さんに福井からお越しいただき、大変光栄です。ありがとうございます。

(福野)こちらこそお招きありがとうございます。

(鈴木)陽子さん、福野さんとはどういうご縁で?

(上川)以前、総務副大臣を務めていたとき、ICT技術の社会への応用という分野を担当しており、社会を支える担い手である子どもたちにICT社会を切り拓く、そんな力を着けるためのプログラミング教育等に注力してきました。その分野でご登場いただいたのが福野さんでした。

(鈴木)ICTを生かした教育のお仕事をされているんですね?

(上川)その点、詳しく福野さんにお話していただこうと思います。キーワードとしてはプログラミング教育ですね。

(福野)そうですね。うちの会社の本業はスマートフォン向けのソフトサービスですが、新しいものを作るためには新しい人材が必要です。ところが今の学生を見ていると年々プログラミング能力が低下しており、これだけパソコンが普及し、誰もがスマホを使っているにもかかわらずなぜかといえば、普及したがゆえに「作る」機会がなくなってしまったんですね。そこを解決したいと思い、開発したのが「子どもパソコンイチゴジャム」。ちょっと親しみやすいネーミングで子どもにも楽しんでもらおうと開発しました。

(上川)今、福野さんがおっしゃったイチゴジャム、皆さんにはご覧いただけないのですが今、手元にあります。

(福野)手のひらにおさまるサイズですね。5センチ×8センチの大きさのコンピュータで、一番の特徴は価格が1500円。それで「イチゴジャム」なんです。もう一つの特徴は、コンピュータ教育で先進的なイギリスで「ラズベリーパイ」というパソコンがあるんです。全世界で700万台も売れている非常に安価で高性能のパソコンです。これを導入して教育に活かそうという取り組みが各国で進んでいるんですが、もっと安くて簡単に作れるパソコンができるんじゃないかと思い、ラズベリーパイに対抗してイチゴジャムという名前を付けさせてもらいました。

(上川)こういう分野には小さいころから関心がおありだったんですか?

(福野)はい。私は小さい頃、愛知県名古屋市に住んでいまして、模型屋さんが近くにあったんです。タミヤのラジコンが大好きで、小学校4年のときミニ四駆に出合い、ミニ四駆を改造して走らせることに熱中していました。ファミコンにも夢中になり、自分たちでもファミコンが作れるらしいと聞いて始めたのがプログラミングです。ミニ四駆はラジコンに比べて安いし構造もシンプルで、壊れても自分で直せるというところが魅力です。プログラミングにはまったのも、当時のパソコンはシンプルだったので自分で見よう見まねでプログラムを描いてみて、ミニ四駆で楽しんだ「改造」をソフトでもできる点にハマったのです。

(上川)なるほど。見よう見まねでいいから自分でやってみるというのがキモですね。

(福野)自分で作ることで新しく何かを作る時のスキルが自然に身に着きますね。ミニ四駆とプログラムはよく似ていて、何の迷いもなく入っていけました。ミニ四駆のおかげですね。

(上川)今、総務省以外にも、オールジャパンでプログラミング教育を推奨していこうという動きがあり、福野さんには先生として大活躍していただいています。今まで全国何か所ぐらいで教室を開催されているんですか?

(福野)日本国内では10か所ぐらいで開催しています。海外ではモンゴルで開催しています。

(上川)子どもたちの目を輝かせる反応が目に浮かぶようです。

(福野)本当に素晴らしいですよ。

(上川)日本とモンゴルの子どもたちを比較しながら、どんな授業か教えていただけますか?

(福野)短いパターンと長いパターンがありまして、短いほうではまず出来上がったイチゴジャムのパソコンを使ってプログラミングの基礎を体感してもらいます。まず、あるプログラミング言語を使って指示を出す。イチゴジャムの場合はLED1という命令を最初に出します。そうするとパソコンに付いているLEDがピカッと光る。自分が入力した言葉をコンピュータが理解し、その通り実行してくれたと分かると、子どもたちは本質的に「やった!」感が得られるんですね。イチゴジャムは100ぐらいの単語が理解できるので、それらを組み合わせ、シューティングゲームやアクションゲーム、探検ゲームを作っていけるんだよと、その場で実演すると、みんな「やりたい!」と言います。

デジタルとはある信号がONかOFFか2つのどちらかの状態を指します。実はインターネットもすべて「0」か「1」かの信号に変換されている。ものすごい数の変換作用が必要なんですが、最近のコンピュータは変換速度がものすごく速い。1秒間に5000万回計算できるんです。そういう膨大な計算をしてくれるコンピュータを自分の家来のように使いこなせるんだよと話すと、非常にワクワクしてくれますね。

(上川)私は20代の頃、データ解析というのをやっておりまして、プログラムはパンチカードでやりました。40数年前で、クレー社の超大型コンピュータ、この部屋いっぱいぐらいの大きさでした。それが今は手のひらサイズ。この技術革新たるやとてつもないですね。

(福野)そのとてつもない技術革新とは、実は体感しにくいんですね。でも実際自分で作ってみると体感できる。使うだけなら簡単ですね。テレビはスイッチを押せば付く。でもテレビがなぜ付くのかは見ているだけではわからない。コンピュータも使うだけではわからないけど、その裏側を知ることでその先が作れる。そんな風に思っています。

(上川)基板の上に乗っている様々な部品、いくつぐらいあるんですか?

(福野)全部で15パーツぐらいです。

(上川)これで物を動かすこともできるんですか?ミニ四駆みたいなものも?

(福野)はい、できます。デジタル―つまりONかOFFかは、自分でスイッチを入れる代わりにコンピュータに入れさせます。単にスイッチを入れてONにするか、3秒後にONにして6秒後にOFFにするか、その3秒間はステアリングしてハンドルを右に切り、30度カーブするという命令にすればミニ四駆として動かせるわけです。一つずつ分解させると、そんなに難しいことではないんです。

(上川)それを今おっしゃったようにコンピュータに命令し、物を動かすことを通して、子どもたちはコンピュータ言語を学び、プログラミングの面白さを体感するというわけですね。

(福野)教育で一番大切なのは、実際に体験してみるということです。座学でいくら理論を学んでもモノになりません。一人1台自分で使ってみて、家に持ち帰り、興味が増せばどんどん自分で改造してみる。そんなふうに展開できればなと思っています。

(上川)長いパターンではどういうことをされるんですか?

(福野)自分でパソコンを作るところから始めます。実際にハンダ付けからやります。部品点数は15点ほどですので、子どもでも1時間半ほどで自分だけのパソコンを組み立てることができます。

(上川)関心のある子どもさんなら集中するでしょうね。

(福野)集中しますね。子どもって作ることが本能的に好きなんでしょうね。男の子も女の子も関係ありません。自分で作ったものに電源を入れて動いた瞬間の目の輝きは、いつ見てもいいものですね。

(上川)なるほど。お子さんの年齢はいくつぐらいから?

(福野)プログラミングだけなら5歳児から始められますが、私が始めたのが小学3年生ぐらいでした。3年生ぐらいになると算数をひと通り勉強します。プログラムでも簡単な算数を使いますので理解度は速いですね。だいぶ起用になってパソコンを組み立てられるようになると理解度は深まると思います。その意味で、3年生ぐらいから始めるのがいいタイミングではないでしょうか。

  ♪

(上川)ところで福野さんご自身はどんなお子さんだったんですか?

(福野)小学6年生ぐらいになるとだいぶ自分で作れるようになって、中学生のころはプログラマーになりたいと、本格的にいろいろ作っていましたね。その後、福井高専に進学しました。

(上川)今、ロボコンなどを見ていますと、高専の生徒さんたちが活躍されていますね。福井高専の成績はどうでしたか?

(福野)私はロボットを動かすのではなくプログラミングを担当していました。ソフトばっかりやっていて、高専プロコンというプログラミング専門のコンテストに出場し、準優勝したことがあります。

(上川)そんなコンテストがあったんですか。

(福野)地味ですけどね(苦笑)。

(上川)地味でも大変大切でしょう。頭脳の役割を果たすわけですよね。

(福野)ロボコンにしても実際に動かすのは頭脳の部分なので、プログラミングって大切なんです。ソフトウエアを作れるとロボット制御にも使えますし、一歩進んで人工知能にも使えます。今はロボット、ソフトウエアとも全部ひっくるめて、いかに面白いものを作れるかにかかっています。

(上川)私は最近、医療機器の分野に関わっており、治療用ロボットHALというのが認証され、日本国内で実用化されます。今まで医療用ロボットというと寄り添い型のものしかありませんでしたが、いよいよ治療用ロボットが実用化になるのです。人の身体の神経―脳から送られる信号をキャッチし、先ほどの「LEDを付ける・付けない」をもっと進化させるようなものだと思いますが、医療や介護の現場でまさにプログラミングという基本的な技術が大変大きな役割を担うことになるんですね。人間の手足と同じです。手足が動かせるというのは非常に大事な機能ですから、それと同等の技術となると物凄く高度なプログラミングが必要になるでしょう。そんな分野にも、今の子どもたちがいずれ参画していってほしいと期待しますね。

(福野)アシュラマンじゃないですけど、プログラミングができれば、2本しかない手が8本ぐらいになって作業できちゃうとか、ラケットを一杯持ってテニスしちゃうんなんてことも可能です。プログラミングができればコントロールできるものがIoTによっていろいろなものに広がる。ますますソフトウエアが出来る人、プログラミングが出来る人の職域が無限に広がると思っています。

(上川)今、政府でも遅ればせながらプログラミング教育を始めていますが、世界各国では早くから進めていると聞きます。イギリスが先進国とおっしゃっていましたが、他に注目する国や企業はありますか

(福野)エストニアでもプログラミング教育が始まっています。それからまだ実態はつかめていませんが北京でもBASICを使ったプログラミング教育が始まっているようです。同じBASICに着目しているという意味で注目していますね。

(上川)なるほどなるほど。ネット上で情報が共有されていますから、早いでしょうねえ。

(福野)それでもまだイチゴジャムほど安価でシンプルでプログラミング言語が出来るものはありませんので、これから日本国内で強力にキャッチアップさせていきたいですね。

(上川)イチゴジャムのお話を聞いていますと無限の可能性を感じます。静岡で何か始めたいと思うんですが、どうでしょうか?

(福野)実はオープンデータの先進地が静岡県であり静岡市なんです。オープンデータというのは行政が持つ情報をネット上で公開し、誰でも活用できるようにすること。データを活かすためにはプログラマーがデータをアプリ化して初めて可能になるのです。その分野で人材が不足していると思われますので、イチゴジャムが目指す未来として大きな可能性があると思っています。

(上川)ありがとうございます。静岡の未来を占っていただくようなお話までうかがうことができて、大変心強く思います。福野さんは福井県鯖江市にお住まいですが東京や海外にも出張されることが多いそうですね。ぜひ静岡への頻繁に足を向けていただきたいと思います。

(福野)ちょうど途中下車できる場所ですので、ぜひよろしくお願いします。

(上川)今日はありがとうございました。

  ♪

(鈴木)放送100回目の記念トーク、大変聴きごたえのある内容でした。ところで本日121日は陽子さんが力を入れてこられた犯罪被害者支援週間の最終日にあたりますね。

(上川)1125日から1週間ということで今日が最終日になります。犯罪被害者等基本法という私が心血を注いで作った議員立法が可決された日が121日でした。犯罪によって苦しむ人々がゼロになる日を目指し、皆さまの限りないお力添えをお願いしたいと思います。

今日は放送100回記念ということで福野泰介さんにお越しいただきました。改めて感謝申し上げます。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、本当にありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

 

法務大臣 活動記録 2017.8.3~、2014.10.21~2015.10.7 総務副大臣 活動実績!

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