<2014年7月1日オンエア>
(上川)リスナーのみなさん、こんばんは。上川陽子です。
(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。どうぞよろしくお願いいたします。サッカーワールドカップブラジル大会が盛り上がっていますが、放送事業を管轄する総務省の副大臣としては、試合の内容もさることながら、テレビ中継の放送技術も気になるんじゃないですか?
(上川)このワールドカップでは日本が唯一持っている8Kの技術を実証実験しているんですね。ものすごいリアルな画面で臨場感もばつぐんです。パブリックビューイングをブラジルと日本でも展開中です。
(鈴木)リアルな映像というと3Dを連想しますがそれよりもすごいんですか?
(上川)3D映像もかなりビックリするような奥行きのある立体映像ですが、8Kはよりクリアですね。色調も非常にバランスがとれており、メガネ要らずで肉眼で楽しめます。
(鈴木)2020年の東京オリンピックパラリンピックの頃には、普通に見られるのでしょうか?
(上川)現在、国の政策として、2020年に8Kを実用化まで持っていこうと大車輪で頑張っています。4Kのほうは先日、試験放送の開局ボタンを押す式典に参加しまして、ポチッと押させていただきました。感動でしたね。
(鈴木)スペシャルなゲストとご一緒だったとか?
(上川)今のところ4K技術が先行し、放送各局とも本格的に4Kコンテンツの制作に取り組んでいます。式典では歌手の谷村新司さんほか4人の芸能人の方々とご一緒しました。私、実は谷村さんの大ファンでして、楽屋でいつお声かけしようか迷ったんですよ(笑)。で、本番の式典で富士山頂と白糸の滝の4K映像が流れたので、「ここは私のふる里で、世界遺産になったんです」とお声かけしたところ、「いや~ぼくは水の歌は作っていないんですよ、星(すばる)なんですよね~」と苦笑いされまして、私はここぞとばかり「私、実は昴という歌に救われたんですよ」とお答えしました。
(鈴木)え? そのココロは?
(上川)私が政治家を志して静岡で活動を始めたとき、今までやったことのなかったカラオケを覚えようと、一番最初に覚えたのが谷村さんの「昴」だったんです。そのおかげで支援者の方々と心を通わせることができたのです。この歌は私にとっての恩人なんですよ。
(鈴木)そうだったんですか。もともとお好きな歌だったんですか?
(上川)そうなんです。
(鈴木)初めてのカラオケで、自分の好きな歌なら歌えるかな、と思って挑戦したのが「昴」で、そのおかげで今の陽子さんが在るといってもいい、というわけですね。それはそれは、心に残る式典でしたね!ところで4K8Kの技術は単に放送だけではないんですよね。
(上川)そうなんです。実は8Kは昨年のロンドン五輪でも一部実験的に使われたのですが、現在、一般に普及しているのは2K、実用化が始まったのが4Kで、すぐに8Kまで必要かどうか、少し議論の余地もあります。パブリックビューイング等で活用されるぐらいでしょうか。実は、8Kの技術はすぐに放送に、というよりも、医療分野での応用に期待がかかる、という話をうかがって、ピンと来たのです。
ご承知のとおり、私は優れた医療機器の技術開発を日本の成長産業に、という支援を行なっており、オリジナル機器をどんどん開発していこうという議連の事務局長を務めています。日本の優れた放送技術を医療機器に活用していくというお話は大変魅力がありまして、8Kは色彩を解析する技術に優れているので、たとえばガン細胞を映像判断し、深刻度をはかり、ターゲットを絞れば、身体への負担を軽減しながら治療することも可能です。手術で細かな縫合をする際も、8Kのリアルなカメラがあればリスクが軽減されます。内視鏡の分野では画期的な成果が期待されます。
(鈴木)放送分野を管轄する総務副大臣の陽子さんが、同時に医療機器開発の推進議連の事務局長を務めておられるということで、縦割りではない広がりが期待できますね。
(上川)いろいろな分野のニーズと技術を掛け合わせていくことが、新しいイノベーションを興していくということを、ICTを担当する総務省にいて、なおさら強く感じます。医療と放送技術、あるいは放送技術とたとえばタクシー無線、なんて分野でも可能性があると思います。
たとえば2020年に向けて増加する訪日外国人への“おもてなし”の一環として、タクシーの中で観光案内の映像を翻訳機能つきで観ていただく、なんてサービスも有効でしょう。ただ、放送技術は総務省の管轄ですが、タクシー産業は経済産業省や国土交通省の管轄になります。いろいろな関係先にまたがることが多いので、新しい動きがあるたびに、こことあそこをつなげればもっと面白くなるんじゃないか、なんて想像します。
(鈴木)陽子さんのような柔軟な発想を持つ政治家に、ますます期待がかかりますね。
(上川)がんばっていきたいと思います。
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(鈴木)ところで先月、150日間の通常国会が終了しました。長丁場でしたね。
(上川)延長することなく150日間で終わることができましてホッとしています。総務省の法案は一番多かったんです。すべての法案を通すことができたのは、大臣はじめ省員が一丸となって力を結集した成果だと思っています。私も副大臣として答弁に立つ機会が多かったのですが、答弁で問題発言をして審議がストップしてしまう、なんてことのないよう、緊張感を持って臨みました。
(鈴木)総務省の法案が一番たくさん成立したということは、さぞかしチームワークがとれていたでしょう!
(上川)総務省の案件は与野党対立するような性格のものではないため、委員会でしっかり筋を通して答弁すれば、多くの先生方にもきちんとご理解ご協力いただけるのです。
(鈴木)無事、法案が通ったときは、何かシャンシャン!とお祝いするんですか?
(上川)それがですね、ちゃんとした儀式がありまして。衆議院と参議院、関わった各政党の先生方に挨拶回りをするんです。大臣を先頭に副大臣、政務官、国会運営の担当者が列をなし、どの法案が通っても同じコースで各政党の執務室へ“お礼参り”するんですよ。
(鈴木)総務省の中でお祝いなどはしないのですか?
(上川)150日間終わってからですね。答弁に当たっては質問取りから始まって、答弁書を書くのに連日連夜徹夜作業です。チームワークがなければ乗り越えられませんね。国会が終わった後、大臣主催で慰労会が開かれると思います。楽しみにしています。
(鈴木)答弁ではどのようなことに気をつけていらっしゃいますか?
(上川)事前にいろいろ準備をしますが、一問一問、担当者と打ち合わせをする際、「ここはもっと詳しく」「ここはわかりやすく」と指示をします。答弁内容はさまざまな場所で引用されるため、できるだけクリアで、抽象的ではなく具体的に、決めるということについては客観的な評論的な表現ではなく、当事者としてはっきり述べる。踏み込むべき箇所は具体的に踏み込むということを指示しました。国会での答弁は記録に残り、政策や予算の土台となる非常に重要なものです。意思をはっきり出すということが、民主主義の時代にあって説明責任につながるのではないかと思います。
(鈴木)私も文章を書く仕事をしておりますので、今のお話はとても参考になります。ところで国会期間中は静岡からも色々な方が見学に来られたそうですね。
(上川)後援会から定期便のように国会見学ツアーに来ていただきました。小学生の修学旅行に加え、大人の見学ツアーも人気でしたよ。皇居の見学は事前に名簿をいただいて、ふだん入れないところも観ていただきました。
(鈴木)国会がひと段落したということで、地元静岡での活動にも少しはお時間が使えると思います。この夏はどんな活動に力を入れていかれますか?
(上川)2015年に家康公400年祭ということで静岡でも準備に盛り上がっていますね。私は「しずおか時の会」を立ち上げ、家康公がスペイン国王から贈られた洋時計の歴史について顕彰活動を行ってきました。このほど、洋時計のレプリカを寄贈する式典が行なわれ、ようやく一つの目標をクリアしたという感じです。
静岡の歴史や文化は、日本全体から見ても非常に貴重なエポックを刻んでいます。洋時計もその一つですね。現時点でレプリカも完成したということで、もう一度、来年の400年祭に向けて掘り下げてみたいというのが一点です。
静岡の農産物に関しては輸出への動きに出遅れているような気がします。2020年に向けて静岡をアピールする意味でも、このしかけにも注力していきたいと思っています。
(鈴木)7月7日に何やら素敵なイベントを予定されているそうですね?
(上川)東京でランチを兼ねて政策報告会を予定しているのですが、その会場で静岡茶の手揉み実演、プラモデルの展示、JA静岡市のミニミニ物産展などを予定しています。ぜひ静岡の産物の情報発信の場になればと思っています。
さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、ありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。