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活動報告Report

法務大臣所信表明 法務大臣

3月13日、衆議院法務委員会にて法務大臣所信表明を行いました。

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※映像は以下のページにてご覧いただけます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=44587&media_type=fp

<全文>
第一 はじめに
第三次安倍内閣において、法務大臣に再任されました上川陽子です。改めてよろしくお願い申し上げます。最初に、シリアにおける邦人殺害テロ事件について、一言申し上げます。政府一丸となって対応してまいりましたが、日本人がテロの犠牲になったことは痛恨の極みです。心より哀悼の意を捧げるとともに、御家族に心からお悔やみを申し上げます。また、非道かつ卑劣極まりないテロ行為を断固非難します。テロの未然防止に向けて、法務省といたしましても、不穏動向等の早期把握に全力を尽くし、情報収集・分析の強化に取り組み、関係機関と連携を図り、情報活用を進めながら、厳格な入国審査、空海港におけるパトロール等の水際対策を徹底し、一層の体制強化に努め、国内の安全確保はもとより、国外の日本人の安全確保にも万全を期してまいります。

第二 法務大臣としての基本姿勢
 (歴史と伝統ある「法務省」)
法務省は、戦前の司法省を前身とし、戦後、一定の組織変化はありましたが、一貫して、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護を通じて、国民の安全・安心な生活の基盤となる法務行政を所管してきた長い歴史を持つ役所です。法務省が所管する民法・刑法は、明治期に基本法制として制定され、登記・供託、矯正・保護等多くの業務は、我が国が近代国家となって以来連綿と堅実に維持、継続されてきたものです。「論語」に「一以貫之(一を以って之を貫く)」という言葉がありますが、法務省は、時代の変転を超えて、永々と、国家、国民生活の基本、基盤を守り、世の中を支えてきた役所といえます。

(普遍的価値の維持)
ところで、戦後、我が国は、「国のかたち」の基本に、法の支配、基本的人権の尊重等の普遍的価値を揚げ、一人ひとりの国民の皆様の御努力によってこれらを実現してまいりました。法務省は、日々、法務行政を遂行することを通じて、法の支配や人権の尊重の理念を体現し、あまねく広めることにより、こうした価値への理解が社会に浸透するための一翼を担い、また、海外における法制度整備支援等の活動を通じて諸外国の法の支配の実現にも貢献してまいりました。

 (時代の変化への対応)
一方で、近年、法務行政を取り巻く国内外の環境変化には著しいものがあります。この一〇年間、法務省におきましても、司法制度改革を始めとする様々な改革を進めてきました。一方、経済状況の変化は更に進展し、政府は、持続可能で活力に富んだ経済の創出と、それによって生まれる経済の好循環を全国津々浦々に広げていくため、地方創生を始めとする様々な政策課題に取り組んでおり、法務省におきましても、こうした政策に資するよう、諸施策を推進していく必要があります。また、グローバル化が進み、人と情報がボーダレスに行き交う世の中となる中で、二○二○年には、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催され、我が国は、世界中の注目を集めることになります。テロの脅威が拡大する中、安全・安心確保のためには、国を挙げての体制整備が急務となり、法務省といたしましても、国民の皆様の御理解と御協力を得ながら「世界一安全な国、日本」を創り、守る取組に果敢に挑んでいかなければなりません。さらに、政府の一員として、女性が輝く社会の実現など、多くの新たな政策課題の解決に向けて取り組んでいかなければなりません。

(法務大臣としての決意)
私は、法務大臣として、法務省の長い歴史の中で培われてきた伝統を受け継ぐとともに、時代の変化に対する感覚を研ぎ澄ませ、大胆に時代を切り取る視点を持ち、新たな法務行政の役割や課題に挑戦することで、法務行政の長としての使命をしっかりと果たしてまいります。 

第三 法務省の現代的使命と施策
 一 「世界一安全な国、日本」を創り、守る
 (再犯防止対策)
昨年末、犯罪対策閣僚会議において、宣言「犯罪に戻らない・戻さない」が決定されました。ひとたび犯罪や非行をした者を責任ある社会の一員として再び受け入れることが自然にできる社会を目指し、こうした者の住居と就労の確保を中心に、国が地方、さらには、地域コミュニティ、国民の皆様と手を携えて共に歩む新たな時代の取組を宣言したものです。この宣言を踏まえ、再犯防止に対する国民の皆様の一層の御理解と御協力が得られるよう、保護司・協力雇用主等の民間協力者の方々が活動しやすい環境の整備や、「社会を明るくする運動」を始めとする様々な広報啓発活動を進めてまいります。私自身、葉梨康弘副大臣、大塚拓大臣政務官とともに各地を訪問し、民間ボランティアの方々など、積極的に再犯防止に取り組んでおられる現場の方々と直接対話する「全国キャラバン活動」を実践し、地方、地域コミュニティ、国民の皆様との協力関係を構築していくために行動してまいります。

(矯正施設における医師不足への対応等)
矯正施設における医療は、受刑者等の健康を維持するのみならず、更生にも大きな役割を果たしていることが注目され、そこで働く医療関係者の役割の重要性が見直されている一方で、深刻な医師不足に直面しています。この問題に対処するため、矯正医官について、勤務時間に柔軟性を持たせるなどの勤務に関する特例を設けることなどにより、医師としての能力の維持向上の機会を付与し、優れた人材を継続的かつ安定的に確保することを目的とする「矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案」を今国会に提出する予定です。また、高率収容が継続し、受刑者の高齢化が進む女子刑務所では、平成二十六年度から「女子施設地域支援モデル事業」を開始し、地域の看護師、助産師等の専門家による御支援をいただき、処遇に良い効果が生まれています。今後も、新しい課題に積極的に取り組み、男子を含めた全受刑者の処遇改善を推進します。併せて、刑務所など法務省施設について、老朽化している現状を解消するための整備を推進してまいります。

 (時代に即した新たな刑事司法制度の構築・検察改革)
国民の安全・安心な生活を確保するため、時代に即した新たな刑事司法制度を構築してまいります。そのための法整備として、証拠の収集方法の適正化・多様化及び公判審理の充実化に向け、被疑者取調べの録音・録画制度の導入や通信傍受の合理化・効率化など多岐にわたる制度を一体として刑事司法制度に取り入れることを内容とする「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」を今国会に提出する予定です。さらに、刑事司法制度を国民の皆様からより一層、支持・信頼されるものとするため、検察改革のための取組をたゆまず実施してまいります。

(治安の確保、国民生活の脅威への対策)
国民生活の脅威となっているテロ、組織犯罪、凶悪犯罪への対策を始めとする治安の確保は法務行政の要です。冒頭に申し上げましたとおり、関係機関とも連携の上、更に万全の対策を講じてまいります。オウム真理教については、先般、団体規制法に基づく観察処分の期間更新が決定されたところであり、引き続き、観察処分を適正かつ厳格に実施してまいります。

二 国民により身近な法務行政を実現する
 (復興支援)
東日本大震災からの復興を推進しなければなりません。そのため、住宅再建・復興まちづくりの加速化等に係る登記嘱託事件等の適切かつ迅速な実施に努めるとともに、全国的に取り組んでいる登記所備付地図の整備についても、引き続き、積極的に取り組んでまいります。

(司法制度改革の進展)
国民参加を大きなテーマとした司法制度改革の進展は、国民の皆様の御理解と御協力のたまものであり、今後もその運用状況を見定めながら、各制度の更なる成熟に向け、努力してまいります。裁判員制度については、順調に定着してきておりますが、この制度が我が国の司法制度の基盤としての役割をより一層果たすことができるようにするため、審判に著しい長期間を要する事件等を裁判員制度の対象事件から除外することを可能とするほか、裁判員等選任手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための規定を整備することなどを内容とする「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案」を今国会に再度提出する予定です。

(「司法ソーシャルワーク」を始めとする国民生活の法的側面からの支援)
私たちの社会が高齢者や障がい者の方々と共に歩むために、特に手厚い援助を要するこれらの方々に対する支援については、日本司法支援センター、通称「法テラス」が、自治体及び福祉機関等と連携して、それらの方々の法的なニーズを掘り起こし、総合的な問題解決を図る「司法ソーシャルワーク」と呼ばれる取組を推進しています。また、「法テラス」では、東日本大震災からの復興のため、被災者の法的支援を実施しています。法務省では、今後もこうした「法テラス」の業務体制の充実と様々な取組の支援を行ってまいります。その一環として、総合法律支援の更なる充実を図るため、高齢者・障がい者や大規模災害の被災者に対する法的支援の拡充などを内容とする「総合法律支援法の一部を改正する法律案」を今国会に提出する予定です。

(法曹養成制度改革及び司法の体制充実)
司法機能や法曹人材の問題は、国民に対する法的サービスの利便性に関わるとともに、社会・経済の構造変化に伴う「国のかたち」に関わる問題でもあります。法曹養成制度については、様々な問題点の指摘を受け、現在、その制度の在り方について、内閣官房に置かれた法曹養成制度改革推進室が、本年七月十五日を期限として検討を進めているところです。法務省といたしましても、質・量ともに豊かな法曹を養成する制度の構築に向けて、引き続き、検討を進め、迅速に施策を実施してまいります。また、司法の中核をなす裁判所体制の充実強化等を図るため、判事の増員などを内容とする「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」を今国会に提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

(民事法制)
民事法制、中でも民法は、所有権や契約、親族・相続の在り方などについて、国民生活に密着した最も基本的なルールを定めた法律です。約一二〇年前に制定されたまま、大きな改正のなかった民法の債権関係について、社会・経済の変化への対応を図るとともに、国民に分かりやすいものとすることが求められています。こうした観点から、保証人の保護を図るための方策や消滅時効の期間の統一化等について制定以来の見直しを行う「民法の一部を改正する法律案」及び関係法律案を今国会に提出する予定です。また、海上輸送は、国民経済にも大きな影響を持つところ、国際条約の改正に伴い、海難事故等の場合に船舶の所有者等が負う責任の限度額を引き上げることを内容とする「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案」を今国会に再度提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。 

三 グローバル化の中の新たな課題に対応する
 (入国管理行政)
政府は、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される二〇二○年に訪日外国人旅行者数二○○○万人の達成と観光立国の実現を目指しています。法務省といたしましても、我が国が、国民の安全・安心を確保しつつ、外国との間で風通しよく人が往来できるよう、計画的に出入国審査体制を整備するとともに、日本人の出帰国審査の合理化、外国人の出入国審査の更なる迅速化を図るため、顔認証技術を活用した自動化ゲートの導入について、速やかに検討を進めてまいります。

(外国人材の受入れ)
外国人材の受入れについては、昨年六月改訂の「日本再興戦略」に掲げられた施策の実現により、日本経済の活性化に資する外国人の受入れの促進に努めてまいります。そこで、技能実習制度について、技能の適正な修得等の確保及び技能実習生の保護を図るため、監理団体の許可等の制度、これらに関する事務を行う機構の創設などを内容とする「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」を今国会に厚生労働省と共同提出しました。また、介護福祉士の資格を有する外国人に係る在留資格を設けるほか、偽りその他不正の手段により上陸の許可等を受けた者等に適切に対処するため、罰則の整備などを行うことを内容とする「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」を今国会に提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

(水際対策・不法滞在者対策・インテリジェンスの充実)
もとより、冒頭に申し上げましたように、水際対策には万全を期してまいります。また、不法滞在者対策も更に進めてまいります。北朝鮮関係については、引き続き、核・ミサイルをめぐる動向や、金正恩体制下の国内情勢等の把握に努めるとともに、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、公安調査庁を中心として、関連情報の収集・分析等を積極的に行ってまいります。尖閣諸島関係については、我が国の主権に関わる事案の相次ぐ発生を踏まえ、関係機関と連携し、関連情報の収集・分析に尽力するなど、遺漏のない対応をしてまいります。

(難民の保護)
近年、難民認定申請者が急増しています。一方、その中には、明らかに難民該当性が認められないにもかかわらず、我が国での就労を目的として申請した事案や、不法滞在者が送還停止を企図して申請した事案が含まれ、全体の審査期間の長期化をもたらし、その結果、真の難民の迅速な庇護に支障が生じかねない事態に至っています。法務大臣の私的懇談会である「第六次出入国管理政策懇談会」の下の「難民認定制度に関する専門部会」での検討結果を踏まえ、難民認定手続の適正かつ迅速な実施に努めてまいります。

四 未来に挑戦し、時代の変化に対応していく
 二○二○年のオリンピック・パラリンピック東京大会開催は、我が国の「今」を世界中に発信するチャンスです。

おおらかな自信に満ちた、私たち
安全・安心で、内と外の風通しがよい社会
人々の知恵が、世界中を魅了する国

こうしたメッセージを法務省からも発信できるよう、法務行政において様々な課題に取り組む必要があると考えます。また、それを担う法務省の組織の在り方も、時代の変化に対応できるものとしていかなければなりません。

 (一人ひとりを尊重する社会)
私たちがおおらかな自信に満ちた個人として、一人ひとりの人権を尊重し、擁護する、そうした豊かで成熟した社会を目指す必要があると考えます。社会的関心を集めている子どもたちに対するいじめ、女性に対するDV、インターネットを利用した名誉・プライバシーに対する侵害、外国人に対するヘイトスピーチなどに対し、より一層、人権啓発、調査・救済活動等の取組を推進してまいります。ところで、親によって出生が届けられず、無戸籍のまま様々な不利益を被っている方々がおられます。これは、正に、国民としての社会的基盤が与えられないという、人間の尊厳に関わる重大な問題です。法務省では、現在、無戸籍の方々の実態把握を行っておりますが、同時に、全国各地の法務局において常時相談を受け、無戸籍の方に一日も早く戸籍を作っていただくためのアドバイスを懇切に行っております。「成熟した社会」へ成長するための試金石として、無戸籍の解消に取り組んでまいります。犯罪被害者等の保護・支援についても、犯罪被害者等基本法の理念にのっとり、犯罪被害者や御家族・御遺族の方々に寄り添い、その権利・利益の保護を図るための各種制度を適切に運用し、きめ細やかな対応に努めてまいります。

(法教育)
司法制度改革以降、その普及・推進に取り組んでいる法教育は、法律の専門家ではない一般の方々が、法や司法制度、これらの基礎となっている基本的価値を理解し、法的なものの考え方を身につけることを目的とするものです。特に、未来の社会の担い手である子どもたちが、法や司法によって自らの権利・自由が守られていることを学び、他者の権利・自由を等しく尊重する理念を体得することは、子どもたちの未来を拓くために欠かせないものと考えます。法務省では、関係機関・団体の協力を得て、法教育についての実情調査や、それを踏まえた教材作りなどに加え、法務行政に精通した職員が教育現場等を訪ね、実務家ならではの授業を行うなど、法教育の普及推進に力を入れてまいりましたが、更に工夫を重ね、法や司法制度が国民の皆様にとって身近なものとなるよう法教育の充実に努めてまいります。

(法務行政における国際貢献)
国際協力については、国際連合と協力した各国の刑事司法実務家を対象とする国際研修等の実施や、アジアの開発途上国に対する立法支援・人材育成等の法制度整備支援を推進してまいります。また、我が国がタイ王国及びマレーシアとともにその運営の中心的役割を担うアジア矯正建築実務者会議を通じて、アジアにおける矯正建築に関する情報共有や技術支援を進めてまいります。 

(訟務機能の充実)
訟務局の新設が来年度政府予算案に盛り込まれています。国の利害に関係する訴訟に適切かつ迅速に対応するとともに、紛争を未然に防止するという観点からの予防司法の充実、国際訟務への関与の在り方の検討を進めるなど、訟務機能の充実強化に取り組み、より一層国民の権利・利益の保護に資するよう努めてまいります。

(女性が輝く社会の実現)
女性が輝く社会を実現するためには、政府が率先して女性が活躍しやすい環境を整えていかなければなりません。法務省、そして全国の法務官署においても、ICTの戦略的な活用も含めた「働き方」の改革を進め、風通しよく働きやすい環境作りを目指してまいります。その第一歩として、本年一月末、「法務省における女性職員活躍とワークライフバランス推進等のための取組計画」を決定し、「法務省五万二千人の働き方改革宣言」を行い、各種取組を開始したところです。

(法務行政に関する情報発信)
国民の安全・安心な生活の基盤である法務行政は、地域コミュニティや国民の皆様の御理解と信頼をいただいてこそ、十全なものとなります。広く法務省が国民生活に果たしている役割をより多くの国民の皆様に認知していただき、信頼していただけるよう、高度情報化社会にふさわしい適確で分かりやすい情報の発信に取り組んでまいります。

第四 結び
 委員長を始め、委員の皆様方には、日頃から法務行政の運営に格別の御尽力を賜っております。「鵬程万里」、遼遠として行く道は果てしなく、様々な課題もございますが、時代の大きな方向を見据えつつ、葉梨康弘副大臣、大塚拓大臣政務官と協力し、全力で取り組んでまいりますので、より一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

法務大臣 活動記録 2017.8.3~、2014.10.21~2015.10.7 総務副大臣 活動実績!

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