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ラジオシェイクradioshake

第49回「ヨーロッパの公文書館視察」

<かみかわ陽子ラジオシェイク 10月15日オンエア>

(上川)リスナーのみなさん、こんばんは。上川陽子です。

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。よろしくお願いいたします。今日は、前回うかがった陽子さんの海外視察の続きについてお話したいと思います。8月末から9月頭にかけて、イギリス、デンマーク、フランスの3カ国を回り、再生医療と薬のインターネット販売の実状について、各国ならびにEUの取り組みを探ってこられたんですね。

(上川)衆議院厚生労働委員会の理事7名、超党派の仲間で各国を回り、大変充実した視察でした。

(鈴木)超党派での視察って、どんな雰囲気なんですか? すみません下世話な質問で(苦笑)。

(上川)安倍政権が誕生して、通常国会が150日間開催されましたね。厚生労働委員会では国民の生活や働き方に関わる重要な課題を審議するのですが、政局に左右されず、政策をしっかり話し合っていこうという暗黙の了解があります。今回、国会の閉会直前に審議していたのが、生活保護に関わる2法案でした。最終日のギリギリまで粘り、なんとかこの2法案は通そうということになったのですが、最終日になり、参議院の中で、どこの党とは申しませんが、反対にあって通せなかったのです。衆議院では通過していましたので、参議院でも採決されれば問題なく、今国会ではあわせて11本の法案が成立するところでした。歴代内閣の法案通過率でもトップとなるところでしたが、2法案が通過できず、継続審議となりました。
与野党間で当然バトルをすることもありますが、今回の超党派の視察は大切な政策は協力し合おうという空気の中で行われました。それぞれの国会議員の持ち味と、視点をいかして、全体としてすばらし成果を上げることができました。

(鈴木)ところで今回の視察の合間に、サイドツアーで各国の公文書管理状況を視察してこられたそうですね。

(上川)ご承知の通り、私は今、公文書管理の政策に取り組んでいます。厚生労働委員会関連の視察は、前回お話したように、しっかりと行ってまいりましたが、合間の時間を出来るだけ活用し、イギリス、デンマーク、フランスの公文書館を視察させていただきました。各国とも、お国柄の象徴と歴史の宝庫で、ビックリするような発見がありました。
デンマークは、人口が560万人、静岡370万人の1.5倍の小国です。バイキングをルーツにもつデンマークは、第一次世界大戦では中立を貫き、第2次世界大戦ではドイツに占領されるものの自治を許され、その結果、街は焼けることなく昔のままに古い建物が残されている、大変落ち着いた雰囲気の国です。教育水準も経済水準も高く、一人当たりのGDPは日本より高い。社会保障は徹底しており、よく働き、豊かに生きる、そんなライフスタイルの国です。
議会は一院制で、クリスチャンスボー城というお城にあって、議会と広場を挟んで真向かいに公文書館がありました。お城の一部です。それだけでも公文書の位置づけがいかに重いかお分かりいただけるかと思いますが、所長はじめ、デジタルアーカイブ担当と展示担当のアーキビスト3名の方々が対応してくださいました。デンマーク国立公文書館館長、職員と

(鈴木)しっかりと文化として根付いているという感じですね。

(上川)デンマークのアーカイブズ文化はなかなかのものです。国立公文書館には、地方5か所に地方アーカイブズ、そして企業からの文書寄託要請があれば特別なビジネスアーカイブズがあって、収蔵保管してくれます。日本にはない特徴ですね。
デジタルアーカイブスについては、新しい技術革新にどう対応するか、ヨーロッパ全体の共通課題となっており、10月に開かれるヨーロッパの公文書管理担当者の会合では、お会いしたアーキビストの方が講演されるとのことでした。その模様を日本にもお寄せいただきたいとお願いをし、さっそく送っていただきました。展示教育も重視しており、子供たちの教育の一環としてプログラムが十分に検討され、実施されていました。

(鈴木)公文書に対する意識付けが教育の中でしっかりされているという感じですね。イギリスではどうでしたか。

(上川)イギリスの公文書館は、ロンドン市内にも古い施設があるのですが、郊外に近代的な大規模施設が建設されています。敷地内には、緑多き公園や池などもあり、誰でも自由に利用できます。とくにイギリスでは、自分たちの家系図の検索に利用する市民が多いんですね。閲覧コーナーには若い人も結構いました。日本とは違う風景でしたね。

(鈴木)さすが歴史ある国です。

(上川)ちょうど企画展が開催中でした。その中に、産業革命のとき、蒸気機関車を発明したスティーブンソンが、特許申請をした時の分厚い巻物を見ることができました。まさに、イギリス産業革命当時の息吹を伝える公文書です。分厚い巻紙に、蒸気機関車の平面図が丁寧に描かれ、機関車図を囲むようにびっちり特許の説明文が肉筆で書き込まれていました。それを一心に書いているスチーブンスンの姿が見えるかのようでした。イギリス国立公文書館2
中世やそれ以前の公文書も大事に保管されています。驚いたことに、閲覧室では若い人から研究者のような人が、それぞれに閲覧を希望した本物の古い文書を手にとっていました。中には、もうヨレヨレになっているようなものもあるのですが、一枚一枚広げながらカメラにとったり、パソコンに文字を映したりするのは自由なんです。ただしペンやボールペン、消しゴムは持ち込めません。本物を加工されないためだそうです。

(鈴木)ちょっと日本では考えられませんね。

(上川)フランスでは、さらに感動的な出会いがありました。パリでは、厚生労働行政について国民議会の女性議員と面談をしたのですが、その議員自ら、本会議場や議院運営委員会が開かれる部屋など議会内部を細かく案内してくださいました。
議会内部に立派な図書館があり、蔵書は天井高まで壁いっぱいの書架に所蔵されており、ハシゴに乗って取って来るという感じです。また地下3階の書庫は空調管理されており、そこには貴重な議会関係の記録が保管されているとのことでした。その中に、ジャンヌダルクが処刑された時の裁判記録が残されているんです。

(鈴木)うわぁすごい、世界史をリアルに感じたんじゃないですか?

(上川)フランスの議員ですら見たことがないと言っていたので、限られた人しか入ることはできない書庫なのでしょう。しかし、天井いっぱいの書籍に囲まれた図書館の真ん中に立ち、この下地下3階までの書庫をイメージするだけで、歴史が過去ではない、生きた記録だということ、議会活動の今のつながりの先に、ジャンヌダルクが存在することを実感した不思議な瞬間でした。

(鈴木)他にはどんなお宝を見てこられたんですか?

(上川)フランスの公文書館は、地下鉄の終点駅にあり、2013年1月にオープンにしたばかりのすばらしい施設でした。10年計画で開館までたどり着いたということでしたが、パリから延びる地下鉄の最終駅を降りると、そこに巨大な近代建築が待っていました。パリ市街にあらゆるものが集中しているため、地方が空洞化していることから、現在、周辺地域の再開発計画が進行中で、その目玉に公文書館を建設したとのことでした。
各省から届く公文書の搬入口や巨大な書庫、利用閲覧スペースなど、オランド大統領の視察コースと同じコースで見せていただきました。書庫では、16世紀の租税記録なんかも手に取って見ることができました。修復のアトリエスペースでは、ちょうど、ベルサイユ宮殿の設計図のへりの小さな破損を丁寧に修復している最中でした。設計図といっても完成されたものではなく、建築家が最初に頭の中で描いている建築のイメージをスケッチしたような、大ラフの状態のものです。消しゴムのようなもので消された跡、デッサンのような部分など、建築家の頭の中を垣間見るような図面でした。 フランス ベルサイユ宮殿ラフ案

(鈴木)大ラフまでちゃんと保存してあって、しかもそれを直接見ることができるんですか。

(上川)ベルサイユ宮殿の設計図面はそれ以外に膨大な数蓄積されているそうです。すべてを3D化して、さらに文書の記録と突き合わせて、ベルサイユ宮殿がどうやって建設されたのか、設計変更などの部分はどういう経緯があったのかなど、立体的にこと細かく研究するプロジェクトが始まっているんです。古いものをただ保存するだけでなく、最新技術を総動員して、新しい研究に活かす努力をしている。そこが素晴らしいと実感しました。

(鈴木)ただ単に古い書類を保管するだけでなく、今の若い人たちに活用してもらうということですね。

(上川)ひとつ感激したのは、古文書の修復に、日本の和紙が使われていたことです。日本には、絵画、古文書、書跡、工芸など紙をベースにした文化財が多数存在しますね。温暖多湿の日本でこれらの文化財を保存する技術は、紙文化とともに発達してきました。和紙は、紙をベースにした美術や文化財だけでなく、他の素材を使用した文化財の保存修復にも活用されています。日本から20種類ぐらいの和紙を取り寄せていると聞きました。今日、和紙は、多くの欧米諸国においてすぐれた保存修復材料として認められ、広く利用されているそうです。記録を残す媒体として和紙が最高だと認められているんですね。
文明の宝庫であるアラブやエジプト等でも、和紙が注目されているようで、日本の和紙の産地では、海外の博物館関係者や保存修復家に、和紙の基礎的な知識を理解してもらうための研修を行っているそうです。和紙の文化を通して、公文書管理の重要性を訴えていければ、と思いました。

(鈴木)3Dのような先端技術がある一方、日本の伝統技術が、世界の歴史の記録保存を担っているとは、なんとも誇らしい話ですね!

           ♪ 

(鈴木)すごいですねえ。向こうの公文書館って映画の「ダビンチコード」や「ナショナルトレジャー」みたいに、ホンモノの古文書を直接閲覧できるんですね。

(上川)それだけ公文書というものが、一般国民に浸透しているのでしょう。国や民族が入り乱れて抗争を繰り返してきたヨーロッパ大陸の人々は、自分の一族の家系や生まれ育った土地への誇り、民族のアイデンティティへの思いがより一層強い、ということもあると思います。

(鈴木)日本も明治の廃藩置県以前の幕藩体制の時代、各藩にはそれぞれのお国柄や名産品を大事にする風土があったはずです。

(上川)実は、日本国内の公文書館は、北の丸公園にある国立公文書館のほか、現在約50強の自治体に地方公文書館があるんですよ。一番古い公文書館は、下関公文書館なんです。国立公文書館よりも前の建設です。山口県や原爆のまち広島県など、県レベル、市レベルの立派な公文書館があって、地域の記録が大切に保管されているんです。残念ながら、静岡県には、県レベルも市レベルも正式な公文書館はありません。大変遅れています。

(鈴木)静岡県には県立の博物館すらないですものね。

(上川)静岡県で公文書館ができれば、いろいろなところに散在している記録が集まって、大変立派な公文書館になると思います。徳川家康顕彰400年祭も近いことですし、この地の歴史を醸成する好機でもあります。建物を造るだけでなく、イベント等も目標に、自分たちの歴史の掘り起こしをし、公文書というキーワードを頭の真ん中に置いて頑張らせていただきたいと思っています。

 ♪  

(鈴木)さて、先月の放送で、今年の夏、リニューアル1周年を迎えた福島県いわき市の道の駅よつくら港についてご紹介しました。実は陽子さんが素敵な企画を考えてくださったんですよね。

(上川)10月19・20日、静岡市中心市街地の青葉シンボルロードで、静岡グルメフェスタ2013という食のイベントが開かれます。ここに、復興支援の一環で、道の駅よつくら港のブースを出していただくことになりました。ちょうど今が旬の、イチジク、ナシのほか、道の駅よつくら港の人気商品を並べて、福島の物産へのご理解・ご支援につなげていこうと考えています。

(鈴木)10月19日(土)、20日(日)、青葉シンボルロードの静岡グルメフェスタ2013。時間は土曜日が11時から20時まで。20日が11時から19時までですね。

 (上川)売り上げの一部を義捐金に充てますので、ぜひ多くの方にお越しいただきたいと思います。さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、ありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

 

法務大臣 活動記録 2017.8.3~、2014.10.21~2015.10.7 総務副大臣 活動実績!

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