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ラジオシェイクradioshake

第43回「世界遺産と地域農業」

<かみかわ陽子ラジオシェイク 7月16日オンエア>

(上川)リスナーのみなさん、こんばんは。上川陽子です。

(鈴木)コピーライターの鈴木真弓です。よろしくお願いいたします。7月、本格的なサマーレジャーシーズン到来ですね。

(上川)この夏は、富士山が世界文化遺産に登録されたことで、富士山周辺のレジャースポットも大変な賑わいのようです。真弓さん、富士登山は?

(鈴木)恥ずかしながらまだありません。今回世界遺産に登録された構成資産、富士宮浅間大社や各浅間神社は取材でさんざん回りましたが、こんなに盛り上がるんだったら事前に登っておくべきだったと後悔しています(苦笑)。

(上川)この夏は、世界遺産登録フィーバーで大いに盛り上がっていますが、一過性で終わることなく、信仰と芸術の源泉となった富士山の価値を大切にしていきたいですね。これからは世界の目が注がれてくるのですから。

(鈴木)世界遺産といえば、静岡県の茶草場農法が世界農業遺産に登録されましたね。

(上川)本当に素晴らしいことです。世界農業遺産とは、国際連合の食糧農業機関(FAO)が始めた登録制度で、当初は、発展途上国の農業を紹介し、地域を発展させるための制度でしたが、今は世界の重要な農業システムを後世へと残すための登録制度となっています。

これまでに、世界で19地域が登録されていますが、2013年5月に石川県七尾市で開催された世界農業遺産国際会議で、「トキと共生する佐渡の里山」と、「能登の里山里海」に次いで、日本では3番目となる世界農業遺産として「静岡の茶草場」が認定されました。

今年はほかに、「阿蘇の草原の維持と持続的農業」、「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」が同時登録されました。

(鈴木)勉強不足ですみません。私、このニュースで初めて知ったんですが、茶草場農法ってどんな農法なんですか?

(上川)私も今回、初めて知ったのですが、茶園周辺で刈り取ったススキやササなどを、茶畑に有機肥料として投入する農法です。この投入する草を刈り取る採草地を、茶草場と言います。

かつては、日本各地で見られたこの農法ですが、生産方法の変化や時代の変化にともなって、現在では、静岡県など、ごく一部だけで続けられています。もちろん手間はかかりますが、茶草場は貴重な生物(キキョウ等の植物や、羽のないバッタ「カケガワフキバッタ」等の動物)が住む特別な場所になったのですね。良いお茶を作ろうとする農家の生産努力と、生物多様性の確保が両立しているこの地域は、世界的にも非常に珍しい事例だそうです。

(鈴木)茶畑の周辺が自然の草地だという光景、さぞ美しいでしょうね。

(上川)静岡の茶業が生産性だけで評価されるのではなく、生物多様性保全と自然共生という側面から世界的評価を受けたというのは素晴らしいことです。TPPの問題がクローズアップされているだけに、このニュースはよけい重みがありますね。

(鈴木)そんなわけで、今日は、あらためて地域農業の未来を考えようと思います。ゲストをお招きしていますので、曲のあと、陽子さんとじっくり語り合っていただこうと思います。

             ♪ 

(鈴木)今日はJA静岡市しづはた営農経済センターの指導員野崎圭介さんをお迎えしました。野崎さんは静岡市の中山間地の農業指導、とりわけお茶の生産者の事情にお詳しい現場担当者でいらっしゃいます。

(上川)野崎さんこんばんは。ようこそお越しくださいました。

(野崎)こんばんは、JA静岡市しづはた営農経済センターの野崎です。よろしくお願いします。

(上川)初めてお会いしますが、たくましい農業青年という感じですね。ご出身は静岡市の新間だそうですが。

(野崎)静岡市に生まれ、県立農業高校、県立農林大学校の出身です。両親ともに茶農家です。

(上川)しずはた営農経済センターでどんなお仕事をされているんですか?

(野崎)茶畑の管理、お茶の生産技術等の指導を行っています。

葵区賤機・俵沢にて(野崎さん:写真右)

葵区賤機・俵沢にて(野崎さん:写真右)

(上川)ご両親ともにお茶農家さんということで。小さい頃からお茶に触れてこられたんでしょうね。

(野崎)そうですね、子どもの頃はお茶の時期、とくにゴールデンウィークは、お茶の適採時期で収入が増えるという意味で「ゴールデンウィーク」だと教えられ、休みなくお茶摘みの手伝いをしていました。

(上川)そんな野崎さんが、お茶づくりの指導員になられたきっかけというのは?

(野崎)今思うと、やはり、親の背中を見て、ということでしょうか。

(上川)若い方がご両親の背中を見て進路を決めたというのは、大変心強いお話ですね。今年は梅が島で「石激(いわばし)る垂水(たるみ)の里こくり茶・梅里(ばいり)」というのご指導を担当されたとうかがいましたが?

(野崎)はい、JA静岡経済連等が中心となって、「石激る垂水の里農業活性化協議会」を設立し、静岡大学、静岡市等と共同で新しい地域のお茶を作るプロジェクトがスタートしました。

1年目はよい結果が得られなかったので、まずは茶園を見直し、茶葉の植え替えを行う“更新”を経た茶園を指定し、ここで採れた茶葉のみを荒茶に使い、こくり茶に仕上げました。その後、成分分析をし、アミノ酸等が一定基準をクリアした茶葉のみを「梅里」として商品化したのです。味・香りともどこに出しても自信が持てる商品になったと思っています。

(上川)こくり茶というのはどういう意味ですか?

(野崎)こくりというのは、手揉み作業の最後に、茶葉を針のように細くピンと仕上げる作業のことです。この作業をイメージし、このお茶も荒茶にするとき、手揉みで仕上げたようにピンと立つことからその名を使わせてもらいました。

(上川)確かに、名人がお茶を手で揉むとき、茶葉を針のように細くよらせてピンピンのお茶にするんですよね。

このこくり茶・梅里は。梅が島で試行錯誤しながら商品化にこぎつけたということですが、市内の他地域ではどうですか?

(野崎)私が直接指導をしているのは梅が島だけですが、基本的には他の地区でも茶園の更新し、こくりのような手法を取り入れるのは可能で、大河内地区でもよいお茶が出来たという事例があります。

(上川)現場に行かれると、いろいろな方法を試したくなるでしょう。

(野崎)そうですね、学生時代は勉強が楽しくて自分の身になればよいという思いでしたが、今は、農家さんにとっていいお茶を作り、収入を増やすということが目標です。なんといっても飲んでもらって美味しいと言ってもらえるお茶を作らなければなりません。

(上川)静岡のお茶にはどんな課題があると感じていますか?

(野崎)茶価の低迷や高齢化ですね。60代が「若手」と言われる業界になってしまっており、自分から見ても高齢化を実感します。耕作放棄地の問題もありますし、栽培を続けたい気持ちが強くても、体がついていかないのです。

(上川)難しい課題ですが、なんとしてでも野崎さんの世代に繋げ、美味しいといわれるお茶を作り続けていただきたいですね。これからの静岡茶の未来にどんな思いを寄せていますか?

(野崎)とにかく前向きに、ポジティブに考えていきたいと思っています。こういうご時世ですので、お茶の生産者は後ろ向きになりがちで、「こういうの、やってみようよ」と声をかけても、まずは出来ない理由を挙げます。そうではなく、やってみて、問題があったらそのとき考えてみる。とにかく前向きに取り組むという意識改革から始めたいと思っています。

(上川)今、現在、応援されている茶園の中に、若い世代が入ってくるためには、どんなことが必要でしょうか?

(野崎)この問題は一番難しいのですが、まずは面積の集約や耕作放棄地の問題を解決しなければなりません。静岡市の中山間地は斜面が多く、県東部や西部と比べても茶園の常用稼働率が低いため、土地基盤整備や農道の整備が必要です。茶園に行くのに山道を30分も登っていかなければならないというところもあります。そういったハード面の整備、外部の人が誰でもお茶栽培に取り組める環境整備が必要ですね。

(上川)さきほど「こくり茶・梅里」を飲ませていただきましたが、とても力強い味でした。若手で静岡を背負って立つ野崎さんからみて、同世代の若者にリーフ茶を飲んでいただくには何が必要だと思われますか?

(野崎)それも難しい課題ですが、自分がJAで取り組んでいるのは、本当に若いもっと下の世代、幼稚園や小学校の児童・生徒たちにお茶を飲んでもらうプロジェクトです。

お茶摘み、工場見学、お茶の淹れ方教室、効能の説明、手揉み体験などをシリーズで行い、卒業し、大人になって社会や海外に出た後も、「小学生のときお茶の面白い体験をしたな」と思い出してもらえたら、と思っています。自分のふるさとのお茶が価値ある誇れるものだと振り返ってもらえたら、またお茶を飲もうという気持ちになってもらえるのではないでしょうか。お茶の淹れ方ひとつ覚えるのも意味あると思います。

(上川)そういう“茶育”って本当に大切ですね。生産者の励みにもなると思います。最後に、静岡の茶農業に対する豊富をお聞かせください。

(野崎)静岡本山のお茶のブランド力を全面的に押し出していきたいと思います。この地区のお茶は味・香りともに、どこにも負けない品質を持っていると自負していますので、もっと積極的に、前へ、前へと進んでいきたいと思っています。

(上川)大変力強い言葉ですね。またそれを実現できる力が野崎さんにはおありだと思います。今日はありがとうございました。

   ♪ 

(鈴木)今、お話にあった梅が島のこくり茶、正式名称をもう一度申し上げますと、「石激(いわばし)る垂水(たるみ)の里こくり茶・梅里(ばいり)」と言います。

(上川)私、梅が島には時々足を運びますが、このような力強いお茶が誕生したことを誇りに思います。清らかな水、太陽の恵みの中で力強く育つ茶葉が一気にイメージできますね。

(鈴木)陽子さんは「力強い味だ」とおっしゃっていましたが、これ、実は、ティーバッグなんですよね。

(上川)急須で淹れたものとなんら変わりありません。

(鈴木)このお茶は、家に急須がないという若い人が増えているために、あえてティーバッグやドリップタイプのお茶にしてみたとうかがいました。

(上川)できればお茶は急須で淹れて味わっていただきたいところですが、若い人に向けてこうした新しい企画も当たり前の時代になったのかなと思います。

(鈴木)ティーバッグで飲んだお茶が美味しければ、次はリーフで飲んでみようかと、お茶の楽しみ方が前に前にと広がっていくといいですね。

(上川)今日は20代の野崎さんが頑張っておられるということが、何より嬉しく、心強かったですね。

(鈴木)さて、今月末には陽子さんの国政報告をうかがう政経セミナーが予定されていますね。

(上川)7月29日月曜日ですがホテルアソシア静岡ターミナルで政経セミナーを予定しています。前回もお話しましたが、女性活力特別委員会の提言を具体的にご説明するとともに、講演会の講師に自民党の野田聖子総務会長をお招きしますので、興味のある方はぜひお越しください。詳しくは上川陽子のホームページをご覧ください。

さあ、そろそろお時間となりました。最後までおつきあいくださったリスナーのみなさま、ありがとうございました。それでは次回まで、ごきげんよう。

 

法務大臣 活動記録 2017.8.3~、2014.10.21~2015.10.7 総務副大臣 活動実績!

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