かみかわ陽子のラジオシェイク第5回オンエア(2)ハーバード大学のリーダーシップ授業

 

かみかわ陽子ラジオシェイク第5回(8月28日オンエア)のつづきです。

 

 

 

(鈴木)ハーバード大学で何か思い出に残る授業は?

 

 

 (上川)「リーダーシップ」という授業です。ハイフェッツ教授という教授の授業で、大変人気があり、100人ぐらいの円形の大教室が満席になる授業です。そんな中で質問や意見を言ったりするのは、本当に勇気のいることでした。

 言葉のハンディもあって、なかなか発言のチャンスがなかったのですが、あるとき教授が、特別授業として、黒澤明監督の「生きる」という日本映画を取り上げたのです。真弓さんはご覧になったことあります?

 

 

(鈴木)すみません、ないんです・・・。

 

 

(上川)志村喬扮する万年係長が、定年間際に癌を宣告され、これまでハンで押したような役所の生活を送っていたのが、一念奮起して、忘れ去られていた「町の小さな公園をつくる」プロジェクトを、わき目も振らずに実現に向けて動きだし、ついに完成にこぎつけるというお話です。最後のシーンは、主人公が公園のブランコにのって、「命短し恋せよ乙女〜♪」という歌を口ずさむところで終わります。

 

 

(鈴木)ああ、そのシーンは何かで観たことがあります。有名なシーンですよね。

 

 

(上川)映画で描かれる、日本人が見れば、当たり前の風景や行動が、アメリカ人は理解できないんですね。たとえば万年係長というのは組織の中でどういうポジションなのか、どうして主人公は机の上の積まれた稟議書の山の中から一つのプロジェクトをひっぱりだしてくるのか。あの書類の山は何なのか・・・わからないことだらけだと言うのです。

 

 その質問に答えられるのが日本人である私だけでした。「ヨーコ、それはどんな意味があるのか。どうして主人公は、そうした行動をしたのか」といった質問が立て続けに飛んでくるのです。

 それに無我夢中で応えているうちに、私自身がその授業のリーダーシップをとっていたことに気づかされました。教授が、私に与えてくれたリーダーシップを実感する大切なチャンス(機会)でした。まさに体で体験できましたね。

 

 

 

(鈴木)陽子さんは黒澤監督になり代わり、日本人を代表して、きちんと説明する責任を負ったわけですね?

 

 

 

(上川)そうなんです。でもそれから、授業中も手を上げることが苦でなくなり、積極的に発言できるようになりました。留学生から一人の人間として受け入れてもらえたのだと思います。

 言葉で理解してもらうのはなかなか大変でも、映画を通して説明できたのはよかったですね。そして文化の違い、民族性の違い、生きる価値をどこに置くかの違いなど、多くの“違い”の存在を、互いに認識しあうことの重要性を学びました。

 

 

 

(鈴木)異なる意見や考え方を力ではねつけようとしたり、排除しようとすることが、多くの歴史上の悲劇を生んできたわけです。政治家を志す若者に、違いを認識し、尊重し、よりよい結論を導き出すという訓練をさせる授業だったんですね。

 

 

 

(上川)アメリカ社会の中でも手を上げることに抵抗があり、なかなか発言できないという状況はあります。でも勇気を持って突き抜ける行動そのものが、リーダーシップなんですね。

 

 

 

(鈴木)それにしても、個性あふれる学生たちの議論を進行させる教授の手腕もすごいですね。後半は先生、指導者といわれる人たちのリーダーシップについてうがかいたいと思います。(つづく)

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