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かみかわ陽子

 

女性連帯基金講演:「国会議員と政策を語ろう」第 8 回

 

   政権政党で改革をめざす

上川陽子衆議院議員(自民党女性局長)を迎えて

日時: 2005 年 2 月 26 日(土) 14:00 〜 15:30

2004 年 2 月から始めた「国会議員と語ろう」も今回で終わります。最後は、政権政党の自民党と私たち市民派を太いパイプでつないでくださる、期待の星、上川陽子衆議院議員をお迎えしました。上川議員には、昨年突然提起された国立女性教育会館( NWEC )と青少年施設の合併問題に向け、ご奮闘いただきました。

議員を目指した動機

大卒後、就職した三菱総合研究所を休職してハーバード大学院に留学し、政治行政を学びました。当時日米間は貿易摩擦が懸案となる中、競争相手として市民や学生の間では「日本語講座」が大人気でした。日本はバブルの絶頂期でしたが、アジアからの留学生のパワフルな向上心に接し、 10 年後の日本社会に言い知れぬ危機感を持ちました。留学中、米国上院議員の政策立案スタッフとなりましたが、率直に言って、当時ワシントンから見た日本の政治はほとんど顔が見えない状況でした。多くの政治家がワシントン詣でするにもかかわらず、日本の考え方が伝わっていない。自分の言葉ではっきりとしたメッセージを言っていないのです。「政治がもっとしっかりしないといけない」との思いを抱き、 2 年間の留学を終え、帰国しました。

議員立法による「犯罪被害者等基本法」の成立

ある先輩議員から「新人の時、どんな小さな法案でも作るといいよ。後々政治家として成長していくための大きな財産になるから。」とのアドバイスを受けました。2期目の当選後すぐ、犯罪被害者の皆さんとの出会いがありました。1年かけて「犯罪被害者等基本法」の議員立法に取り組みました。その法案は、 2004 年 12 月1日参議院本会議で可決、成立しました。「政治というのは皆さんの声に耳を傾け、周囲を説得しながら幸せを作っていくものだ」という実体験をさせていただきました。先輩議員の教えどおり、確かにあの経験は今でも私の活動のエネルギー源となっています。

※  この基本法には、これまで必ずしも明らかでなかった犯罪被害者の権利や基本理念が明確にされ、権利利益の保護のため必要となる基本的施策が具体化されるとともに、内閣府に犯罪被害者等施策推進会議を設置し、基本的施策実現のための省庁横断的な組織体制を作り上げることが定められています。(上川議員のホームページより抜粋)

 

自民党女性局長として

昨年 10 月、女性局長に就きました。地域の中で活動している女性党員の皆さんの生の声をできるだけ聞かせていただいています。その中で皆さんが党の中央と地方の間に距離を感じておられることを実感しました。そうした距離感を縮めるためにも、「対話の政治活動」を今年度の課題としました。党の活動は、政治そのものです。女性局には@男女共同参画、A共生社会の 2 つのテーマがあります。これからの社会で女性が果たす役割はとても重要ですので、そのことをはっきりと位置づけるような提言も求められています。この間、私は中央より地方の女性たちの方が元気だなと感じています。例えば県連の組織代表である三役にも、女性の方々が就いていらっしゃる。ポストを得て、しっかりと発言し、役目を果たしている。これは中央より先んじていると頼もしく思いました。

「公募制」で女性候補の発掘を!

昨年の埼玉の補欠選挙で、党として初めて「公募制」を導入しました。結果は、弁護士の若い男性でした。党の青年局と女性局の合同で応援に駆けつけました。現在、議員として非常に素晴らしい活動に取り組んでおられます。今後、女性も含め、候補者をこの「公募制」で広く求めるようになっていくものと思います。選考に際しては、全く男女差別はありません。女性も積極的に手を上げていただき、決定後は私たちが一丸となって当選に向け支援を惜しみません。特に女性には「これからの改革に私たち女性の力が必要だ」という気概を持って、公募に応じていただきたいと思っています。今、担当部局が 20 選挙区で候補者を公募しています。その中にはきっと女性公募候補者第 1 号がいるはずと期待しています。

選挙制度と女性

現在女性の国会議員は、衆議院で 33 名、参議院も 33 名の計 66 名です。衆議院 33 名の女性議員の中、自民党所属は 9 名、民主党が 15 名です。当選の仕方を見ると小選挙区の当選者の方が比例区よりも多いようです。公明、社民、共産は比例区当選者が多い。これを見て明らかなのは、小選挙区制は小さな政党にとって不利に働いても、女性にとっては必ずしも不利とは言えないということです。参議院は自民党が 12 名、民主党が 11 名。これを地方区と比例区に分けてみると、自民党が比例区に 8 名、地方区に 4 名。民主党は地方区が 8 名で比例区が 3 名。小さな政党はやや比例区の方が上回っている状況です。全国区は何といっても知名度が最優先ですし、地方区ですと地域の支援が大きな要素になります。女性がそれぞれの選挙制度の特徴を生かして当選をめざす。そんなことを戦略化する必要があるのではないでしょうか。私としては、非拘束名簿の選挙制度が始まったばかりである点を踏まえれば、現段階で選挙制度の抜本的見直しを言い出すのはやや難しいように思います。ただ実際のところ、小選挙区で女性が候補者になるのは大変です。参議院地方区で当選するのもなかなか大変です。

選択的夫婦別姓制度の導入について

私は賛成派です。これに関しては、自民党の女性議員の中でも真っ二つに意見が分かれています。法律を作るのは根回しを必要とするので大変です。賛成の人を多くしていかなければなりませんから。今懸案の「郵政民営化」同様、そのことに多くの皆さんが理解を示し、自信を持って応援していただくことが大切です。一部の動きだけで法律が通る社会ではないので、もう一段の努力が必要だと感じています。この件についてはまだまだ党内でもしっかりと議論していかないといけないし、そのことをしないでオープン(超党派による議員立法)にというわけにもいきません。まだ少し時間がかかると認識しています。

憲法 24 条改正について

「家族って、何なの?」ということについて、皆さんご意見があろうかと思います。しっかり議論をしていくことが大事な時期に入ってきています。男女共同参画について今現在議論が交わされているように、憲法についてもこれまで十分な議論がされて来なかったことは不自然ではなかったかと思います。憲法は国の背骨にあたるものだと思います。作った当初の思い、育てていくプロセスにおいて、いろんな問題が出てくるつど、向き合って検証する。右に曲がりすぎていないか、はたまた左に曲がりすぎていないか。絶えず考えながら検討していくことこそが、憲法を生かしていくために必要ではないかと思っています。 24 条改正については論点を整理中ですが、大いに議論しながら、国民が互いにもう少しフランクに話し合っていく。それが民主主義だと思います。

NPO 、 NGO などへの支援

行政と国民をつなぐものとして、市民活動がとても大事だと思います。残念ながらこれまでの日本社会では「共助」とも言えるその部分が育っていなかった。実際は介護、子育て支援、環境も含めたあらゆる分野を市民活動が支えているのです。こうした活動が元気良く、活力を持って育つことができるか否かが、これからの日本社会にとって勝負どころです。そのために法人格を付与し、先頃、法改正したのも活動が広がるようにしたものです。 NPO で女性団体の活躍が目立つのは保健、医療、福祉の分野で、東京都でいえば街づくり推進、人権擁護、平和、男女共同参画、子どもの健全育成などです。このような活動はとても重要ですから、社会の中で大切にしていかなければなりません。そのための障害はできるだけ取り除いていきたいと考えています。しかしそうした団体の活動メンバーは女性が多いのに、代表は男性といったケースも少なくありません。責任ある立場にもっと女性のリーダーが増えるよう、研修などで支援していきたいと考えています。

(まとめ : 吉田富士子)

 

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