2005 年 3 月 17 日
女性農業者に期待する『食料・農業・農村基本計画』
政府の食料・農業・農村政策推進本部(本部長・小泉首相)はきょう、先駆的事業に取り組む全国 30 のモデル農村「立ち上がる農山漁村」の成功理由を探る有識者会議(座長・林良博東大副学長)を小泉首相出席のもとで開催しました。席上、出席委員から「農業の世界では女性や高齢者の活躍が目立つ。女性らの提案をもっと施策に生かすべきだ」などの発言があったとのことです(共同通信記事『成功の秘訣は女性の視点 先駆的農山漁村に学べ』)。 こうした意見には私もまったく賛成です。今後 10 年間の農業政策の基本となる「食料・農業・農村基本計画」を政府がまとめる段階で、私は以下 <参考1> のような提言を行いましたが、その主張が <参考2> のかたちで「基本計画」に織り込まれました(今月下旬、閣議決定の予定)。これからも農業に従事する女性たちの活躍を国会の場で精一杯、応援していく考えです。
<参考1> 平成 17 年 2 月 10 日 「食料・農業・農村基本計画骨子」(案)への提言 上 川 陽 子 1.標記の「計画骨子」(案)では、わが国の食料自給率45%達成を目標に、地産地消や食育などの施策を推進することとされているが、その際、以下の点を改革への基本的視点に加えるべき。 @農業就業人口の過半を占める女性たちが農業経営に果たしている役割の大きさを十分認識し、彼女らを農業経営の担い手として明確に位置づけること。 A農村社会の運営に女性農業者の力を活用するため、彼女らの社会活動への参画を積極的に推進すること。 2 .具体的には、女性農業者が自らの可能性を引き出し、農業経営や社会活動への参画に生き生きと自信を持ってチャレンジできるよう、以下の政策を積極的に推進すべき。 @農業経営や社会参画に必要なノウハウ・スキルを身に付けさせる。 A各家庭内で家族経営協定の締結を促すほか、数値目標の設定等により女性の認定農業者の増員を図る。 B数値目標を設定等により、女性農業者の JA役員・農業委員への登用を図る。 Cモデルとなる女性農業者・グループの成功事例やその活動内容をデータベース化し、情報の共有化を図る。 D意欲ある女性農業者・グループへの相談・情報提供機能を強化する。 E異分野で活躍する女性・グループをネットワークで結び、新規アグリビジネスの展開を支援する。 F次世代の農業経営や農村社会を支える若者・女性の人材を発掘し育成するとともに、子育て、介護、相続などに関する彼らの生活上の悩みに適切な指導を行う。 以上
<参考2> 食料・農業・農村基本計画 (該当箇所のみ) 第 3 食料、農業及び農村に関し総合的かつ計画的に構ずべき施策 2.農業の持続的発展に関する施策 (2) 人材の育成確保等 イ 女性の参画の促進 農業就業人口の過半を占め、農業生産や農村社会で重要な役割を果たしている女性の農業経営者としての位置づけを明確化するため、家族経営協定の締結の促進や女性認定農業者の拡大等を促進する。また、農協の女性役員、女性農業委員等の参画目標の設定及びその達成に向けた普及啓発等を推進する。 さらに、女性の農業経営や地域社会への一層の参画のための環境整備として、女性の企業活動を促進するための研修等の実施を推進するとともに、女性の活動や子育て期等の負担軽減を支援する情報提供等の推進、女性農業者によるネットワークづくりを促進する。
|