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かみかわ陽子

 

「海のプロジェクト X」に取り組もう

 

                                                                                            情熱だより 2004 年4月号巻頭

 

日本固有の領土である尖閣諸島に中国人グループが不法上陸し、先日来、中国との外交問題になっています。尖閣諸島の帰属については、 19 世紀以来、日本の領土であることが明らかで、国際法上、何ら問題は存在しません。にもかかわらず、中国がこれに異を唱え始めたのは、1969年国連調査で列島付近の海底に豊富な石油・天然ガス資源埋蔵の可能性が指摘されて以降のことです。主権を有する日本としては、今後とも法治国家として違法行為を厳重に取り締まる一方、国際社会に対し、日本の正当性を冷静かつ粘り強く主張しつづける姿勢が求められます。

 

この問題と同時に、最近、中国の海洋調査船が日本周辺の東シナ海で、資源探査や軍事目的のための海洋調査に力を入れていることも気がかりな点です。実際、今年に入って中国の調査船が日本の領海を侵犯し、海上保安庁の巡視船に阻止されるといった事件も発生しています。

日本周辺の大陸棚については、国連海洋法条約によって地質・地殻などが一定の条件を満たしていることを国連大陸棚画定委員会に立証すれば、そこに埋蔵される天然ガスや鉱物資源などすべての権利を日本が獲得できることになっています。その面積は、実に日本の領土全体の 1 . 7 倍にも達するといわれ、鉱物資源のほとんどを海外に依存するわが国にとっては、夢のような話です。

しかし、そのためには精密な海底調査が必要で、承認期限の2009年5月まで残された時間はあと 6 年しかありません。日本としては、海洋調査で先行する中国に遅れることのないよう、明確な戦略ビジョンにもとづき、国を挙げて取り組むことが求められます。あわせてこの問題が、将来、東アジアにおける領土・領海・大陸棚をめぐる新たな対立の火種に発展しないよう、海洋調査のみならず、外交面の努力も怠れません。まさに日本の主権と国益にかかわる、きわめて重要な政治テーマです。

 

政府としては、平成16年度予算に大陸棚調査費を104億円計上し、今後さらに1000億円を投入する計画です。自民党でもこうした政府の取り組みを積極的に支援するため、本年 2 月「大陸棚調査推進議員連盟」(会長:扇千景前国土交通大臣)を発足させ、私はその事務局長に就任しました。今回の計画が、将来の日本と東アジア地域全体の平和と繁栄に結びつくよう、全力で「海のプロジェクト X 」に取り組んでいきたいと思っています。

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