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かみかわ陽子

論文・対談・投稿・マスコミ

 

月刊誌「りぶる」 2009年5月号掲載

私たちの代表として、政治の舞台で活躍する女性国会議員。今月号で紹介する衆議院議員・上川陽子さんは、一貫して「生命(いのち)」の問題に取り組んできました。国務大臣の経験を踏まえ、様々な課題に取り組んでいます。

 

多忙な一日の始まりはエコ・ウオーキングから

 上川さんの起床は、6時30分から7時の間。新聞やテレビのニュースをチェックし、赤坂の議員宿舎を出るのは7時40分頃。毎日ではありませんが、マラソンへの挑戦と健康のため、永田町の党本部まで、上川さんいわく「エコ・ウオーキング」。朝食はほとんど党の部会でとります。

この日は、8時の党内閣部会・青少年特別委員会合同会議への出席から活動開始。9時から衆議院厚生労働委員会で大臣所信を聞き、10時には党政務調査会審議会に。続けて党の行政改革推進本部役員会、農業基本政策小委員会の勉強会に出席し事務所へ。昼食は大好きな野菜たっぷりの五目ラーメンです。

 午後は13時からの本会議に出席。その後、前日開催の「上川陽子君を励ます会」のお礼を兼ねてあいさつ回り。

初代・担当大臣として公文書管理への取り組み

 16時30分に内閣官房公文書管理検討室から、公文書管理に係る提出法案の説明を受けました。上川さんは、昨年2月、初代・公文書管理担当大臣に就任し、8月に退任するまで公文書管理の仕組みづくりに取り組みました。19の府省庁の行政文書の管理状況を自分の目で確認した上川さんは、文書管理の統一ルールが確立していないこと、また公務員自身の管理意識の希薄さを指摘します。「年金記録問題は、文書管理の曖昧さに原因」と上川さん。立法、司法、行政の三権の文書を記録としてきちんと保存・管理することは、民主主義の土台であり、国民への責務と語ります。本来、日本は7世紀後半の律令制の頃から文書を記録し、大切に残してきた。だから歴史が今に継承されている。ところが戦中・戦後を経てそうした文化・風土が失われてしまった。上川さんは語ります。「公文書管理は、古来、日本が培ってきた良い制度を現代に蘇らせればいいのです。公の仕事を記録として残し、利活用できるように公文書を管理することは、行政改革の大きな柱の一つです」と。

 また、上川さんは、地元での活動をとても重視しています。そのために、地元の人と直接触れ合い、対話を通じて地域に暮らす人々の声を積極的に聞くようにしています。「職場でも家庭でも、現場で生きる方々に頑張ってもらえるようサポートをする、それが政治の大きな仕事」と考える上川さんは、今「女性と健康」をテーマに地元での対話を進めています。地元での講演に備えて17時30分から資料を作成。その後、同期や若手議員らとの懇談や交流、大臣の時にサポートしてくれたスタッフの労をねぎらい、地元、静岡に向かったのは22時。自宅でのつかの間のくつろぎタイムで明日への英気を養い、就寝したのは24時でした。

私のある1日

7:40 議員宿舎を出発

8:00 党内閣部会・青少年特別委員会合同会議

9:00 衆議院厚生労働委員会

10:00 党政務調査会審議会

11:10 党行政改革推進本部役員会

12:00 党農業基本政策小委員会

13:00 本会議

14:15 パーティー出席者へ、お礼を兼ねたあいさつ回り

16:30 内閣官房公文書管理検討室から説明を受ける

17:30 静岡県立大学での講演へ向けて資料作成などの準備

18:30 同期議員のパーティーに出席

19:00 若手議員と有識者の勉強会

20:00 大臣時の内閣府スタッフ(地方自治体からの出向者)送別会

22:00 新幹線で静岡へ

24:00 静岡の自宅にて就寝

             

これまでの活動から

「一緒にやろうね」とミニ集会で対話

 内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)を務めた上川さんは、今、地元でのミニ集会を頻繁に開催しています。国民の声を聞き、その声に応えることが政治の仕事であり、政策であると確信する上川さん。生活者と同じ目線に立ち、対話していると、時には厳しい声が聞こえてきます。その声が上川さんの政治活動の原点。いつでも、どこでも現場に赴き、多くの対話を繰り返し「一緒にやろうね」と。大臣の時も今も、その姿勢は変わりません。

 

 

人間の尊厳を大切にした労働それは世界共通の課題

 昨年、北海道洞爺湖サミット(G8サミット)に先立ち、新潟県で労働大臣会合が開催されました。そこで上川さんは「仕事と生活の調和?ワーク・ライフ・バランス」を提唱。世界の要人との会合で確信したのは、人間の尊厳を大切にした労働のあり方でした。現状の雇用情勢を踏まえ、今、女性や障害者を含めて、働くことの本質が問われているのでは、と上川さん。地域社会をベースとした日本型ビジネスモデルの創出に向けて、新たな政策に取り組んでいます。

 

男女共同参画についてオマーン訪問で考えたこと

 昨年、上川さんは閣僚として20年ぶりに中東のオマーンを公式訪問しました。中東外交といえば石油外交ですが、上川さんは女性大臣が4人いるオマーン政府を見て、女性の政治へのかかわりに関心を持ちました。そうした人たちと交流することで、石油だけでなく、多様な外交チャンネルを持つことの必要性と可能性を実感したと言います。しなやかな女性ならではの「ソフトパワー」を生かした外交を展開することで、世界での日本の評価がさらに向上すると考えています。

 

 

 

Interview

「21世紀は生命(いのち)の時代

  - 政治家としての原点に戻って、フレッシュ・スタート」

-男女共同参画や少子化問題などに取り組まれてきました。

上川 大臣の時に「子どもと家族を応援する日本」重点戦略で、少子化や男女共同参画に取り組み、二つの柱を掲げました。

 一つは「仕事と生活の調和?ワーク・ライフ・バランス」を理念に、働き方を変え、生活スタイルを変えていこうという「カエル! ジャパン」運動。二つ目は、子育てを支援する多様な働き方を社会全体で共有する仕組みづくりです。そうした取り組みの中で、なぜ働くのか、という労働の本質をもう一度問わなければいけないと思ったんです。それは今の雇用問題にも密接に関連しています。

-上川さんは「21世紀は生命の時代」とアピールされていますね。

 

上川 生命にも様々あります。子どもの生命、自然や環境の生命、公文書にも生命があります。現場の声を聞くと、そうした様々な生命の危機に出合います。

 私は今一度、原点に戻って、そうした「生命の声」と向き合いたい。原点からの「フレッシュ・スタート」。それが、私のライフワークですから。

-具体的に取り組まれているのは、どのようなことですか。

上川 まず、女性の健康づくりです。党でも「女性の健康と医療」をテーマに勉強会を立ち上げました。更年期障害など女性特有の健康問題や性差医療への取り組みが急務と考えています。女性自ら早期に体をチェックできる仕組みづくりが必要です。

 それと、生命を育む「水」。山や森が持つ多機能性が失われつつある今、日本の水環境を見直す必要があります。地元が静岡県で、富士山の湧水が豊富なので、一層「水」が身近な問題です。子どもたちの未来のためにも具体的に取り組んでいきます。

 また、現代の社会は、「きずな」が弱まり、個人で身を守るか(自助)、国に助けてもらうか(公助)という極端な選択を迫られている状態です。社会を束ね直すために、私は共助の仕組みであるソーシャルビジネスに注目しています。例えば、NPO法人フローレンスでは、働く女性のニーズがとても大きい病児保育を実施しています。営利目的ではない、民間のソーシャルビジネスが成長していけば、国や自治体にはない、きめ細やかな支援が可能となります。こういった活動がより活発になるよう応援していきます。

 

Profile

1953年 静岡市生まれ

1977年 東京大学(国際関係論専攻)卒業後、(株)三菱総合研究所研究員

1988年 ハーバード大学ケネディスクール卒業

2000年 衆議院議員選挙(静岡1区)にて初当選。以降、当選3回

2004年 自民党女性局長

2005年 総務大臣政務官

2006年 自民党政務調査会副会長、衆議院法務委員会理事

20072008年 内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)

2008年 公文書管理担当大臣

現在の主な役職

厚生労働委員会理事、党青少年特別委員会委員長、自民党静岡県第一選挙区支部長

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