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かみかわ陽子

論文・対談・投稿・マスコミ

 

新少子化対策の推進役 上川陽子少子化担当相

働き方の多様性を認めよ

2008年2月3日付 中日新聞

日本の少子化の深刻化が叫ばれ始めてから、20年が過ぎようとしている。残念ながらこの間も出生率低下には歯止めがかからず、国の活力の維持・復活に明るい展望は開けていない。そうした中、政府の「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」が昨年末、新たな少子化対策の報告書をまとめた。実態打開の特効薬となるのか、推進役の上川陽子少子化担当相に聞いた。(聞き手・白鳥龍也)

 

報告書の柱の一つは、仕事と生活の調和「ワークライフバランス」を進めること。働き方の改革です。それと並行して、子育て支援のさまざまな行政施策を再構築していく。この二つを車の両輪として、大事なスタートを切りました。 

〈福田内閣の二人の女性閣僚の一人。はつらつとした語り口から張り切りようが伝わる。ただ、少子化対策は期待するような結果が出ていません〉

合計特殊出生率が一九六六年 の「ひのえうま」の年を下回り「一・五七ショック」と言われたのが八九年。九五年からはエンゼルプランも始まり、いろいろな施策が実践されてきましたが、出生率はほぼ下がり続けている。これは、従来の対策が比較的女性の頑張りを応援することに重点が置かれ、構造的な問題にたどりつくことができなかったのが原因だと思うんです。

 

〈構造的な問題とは〉

 

人口構成のダイナミックな変化を見据えた対応です。二○○六年の厚生労働省予測では、半世紀後の曰本の総人□は九千万人を割り、年間出生数は現在の半分以下の四十七万人程度。六十五歳以上の高齢化率は、二割から四割へとバーンと上がる。若い人が少なく、衰えていく社会へのイメージが国民全体で共有できず、総合的な対策にもなかなか結びつきにくかった。

 

〈働き方の改革は、そんな反省から出てきたわけですね。具体的にはどうすることですか〉

女性が結婚後、仕事か、子育てか、の二者択一を迫られるような構造を変えること。子育てをしながら、あるいは子育てが終わってからでも以前のように仕事ができる、そんな多様な働き方が認められる社会にしていく。企業や労働組合の協力、また、夫の側の家事・育児への積極局的な参加を実現させていかなくてはなりません。

〈非正規雇用が増えたり、正社員でも勤務が過密化したりで、なかなか余裕を持った働き方は難しくなっているのでは〉

 

従業員の多様な働き方を認めないと生産性が上がらない。優秀な人材も集まらない。そういうことに気付き、企業戦略としてさまざまな取り組みを始めているところが、大企業、中小企業によらず出始めています。ただ、まだまだ多数派にはなっていないので、国がきちんと指導力を発揮して国民運動として普及を図っていきたい。

 

〈仕事と二人の娘さんの子育てを両立させてきた、ご自身の経験から得られたことは〉

娘はいま28歳と17歳。歳は十一離れてますが、いずれも十月生まれで、年度途中から保育園に入れないとか、勤務先で育児休業が取りにくいとか。同じ苦労をしました。それだけ、当時の子育て環境には変化がなかったのかもしれません。結局、家庭内保育をしてくださる地域の「保育ママさん」や自分の家族の助けが大きかった。

けれど、これからは大いに変わりますよ。保育ママさんや、公的保育園に頼らずに済む企業内保育園はとても大事。国も普及に努めます。企業や男性側の意職も、当時とはだいぶ変わってきています。地域や企業、みなで命をはぐくむことが幸せであり、グローバル化の中で曰本の経済を成長させる手段だと理解し始めています。私は決して、将来に悲観はしていません!

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