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かみかわ陽子

活動報告国会活動

 

政務調査会副会長に就任後の初仕事として 10 月 10 日、広島市で開催された自民党中国ブロック政調会長会議に党本部代表として出席しました。同会議は中国地方5県(山口・広島・岡山・島根・鳥取)の自民党政務調査会長たちの会合です。

当初は小泉政権から安倍政権への展望をお話しするつもりでしたが、前日の北朝鮮による核実験強行をうけ、急遽、東アジア外交の枠組み変化を中心にお話しすることにしました。

会議が始まるまでの間、しばし平和公園の原爆資料館をつぶさに見学しました。今日、世界的に危惧されている核拡散の動きについて深く思うところがありました。

2006 年 10 月 10 日

 

小泉政権から安倍政権へ

――自民党・中国ブロック政調会長会議での講演要旨――

1.  先日の自民党総裁選で安倍、麻生、谷垣の3候補がそれぞれに自分の主張をし、自民党員の皆さんに考えや持ち味を十分アピールした。その成果がそれぞれの得票数にみごとに反映され、自民党という政党の幅の広さや懐の深さも明らかになった。このことは国民政党としての自民党に対する国民の信頼感を高めることにもつながったと思う。

2.  いよいよ安倍政権がスタートした。これまでの 5 年間の小泉政権を受け継いで、史上最年少、戦後生まれの内閣総理大臣が誕生した。初々しいスタートを切り、就任後、短期間のうちに所信表明演説、本会議での代表質問、そして予算委員会質疑と、次々にハードルを越えた。その過程は、これまでの一政治家・安倍から一国の総理大臣・安倍への脱皮でもあった。そうした中で歴史認識の問題や靖国神社参拝問題については、従来の主張を大きく軌道修正したとして、そのことが野党の批判を招いている。

3.  しかし無節操に過去の言動を翻したと理解すべきではないだろう。むしろ日本を取り巻く国際環境の急激な変化を考えれば当然のことであり、だれが総理大臣であっても同じように決断しただろうと思う。安倍総理もそうした国際情勢の変化を冷静に見極め、好機を逃さず柔軟に判断した結果だと考えている。

 

4. では日本を取り巻く国際環境の大きな変化とは何か。私は次の 3 点を挙げたい。

 @  アメリカの対中国政策の変化

   これまでアメリカはややもすれば中国をライバル視し、「封じ込め政策」に偏りがちだった。しかし中国経済の急速な発展振りを目の当たりにし、次第にその成長力を自国の繁栄に利用することが得策と考えるようになった。最近は「ステークホルダー(利害共有者)」として位置づけるまでになっている。

   そうした中で障害となるのが中国と関係のこじれた日本の存在である。日中関係の悪化はアメリカにとっても頭の痛い問題であり、議会のみならずアメリカ政府も日本に対し靖国問題の早期決着を強く求めるようになっていた。このため、日本としても中国との関係改善に踏み出さざるを得ない流れであった。

  A  中国共産党における権力シフト

   安倍総理が訪中した一昨日は中国共産党にとり一年で最も重要な会議「六中全会」の初日であった。そうした日に中国が安倍総理を迎えたことは、日中関係正常化に向けた中国政府の強い意欲と胡錦涛主席の並々ならぬ自信を示している。そうした背景として指摘されるのが、中国共産党の内部で進行しつつある江沢民前主席グループ(上海閥)から胡錦涛主席への全権委譲の動きである。胡錦涛主席は元々親日派であり、彼を党幹部に抜擢したのが親日派の代表だった胡耀邦元主席(親日派を理由に失脚)というめぐり合わせである。

   そうした中国共産党内の動きは、今後の日中関係改善にとって願ってもない追い風となることが期待される。

   B 北朝鮮による核実験の強行

   第 3 の、そして最も重大な変化が昨日の北朝鮮による核実験強行だ。この事件は東アジア全体の国際環境を一変させる出来事だ。安倍総理の初の訪韓・訪中日程に合わせるかたちで北朝鮮が強行したことは、ある意味では危機感を共有することになった日本・中国・韓国を共同歩調へと促すことにもなろう。

 

5.  当面は国連などの場での各国の出方が注目されるが、最も重要な鍵を握るのは中国だろう。これまで中国は北朝鮮への外交圧力を頑ななまでに拒否してきたが、今回は日本やアメリカなどの国際世論とどこまで歩調を合わせることができるのか。具体的には国連憲章第 7 章による制裁決議を容認することになるのかどうか。

もし仮に中国が制裁決議を受け入れない場合、アメリカはどのように行動するのか。すでにアメリカ国内には一部に北朝鮮の核施設に対する先制攻撃論も聞かれるようだが、北朝鮮における核開発の実態について正確な情報が得られていない以上、極めて危険な賭けであり避けなくてはならない。

他方、中国が制裁決議に同調する場合、どういう方法で北朝鮮に対し自制を迫るのか。これまで北朝鮮を庇護の下においていた中国にとっても簡単ではないだろう。

いずれにせよ、戦争一歩手前の瀬戸際の外交交渉が今後展開されることになる。

 6. そうした中で、日本の国内政治を考えると、当然のことながら政府や国会は当面、北朝鮮問題、あるいは東アジア外交を最優先に取り組むことになろう。すでに衆議院では北朝鮮に対する非難決議が本日予定されているとの連絡が先ほどあった。この間の様々な与野党間のせめぎあいは一旦脇に置いてでも、政治全体が足並みをそろえ対処しなければならない状況だろう。

 7.  先日、ある大学教授がテレビで小泉前総理による安倍首相の人物評を紹介していた。小泉さんによれば、「皆さん知らないと思うけれど、安倍君は想像以上に柔軟性のある政治家です」と。国際情勢、とりわけ東アジア情勢が大きく変化する中で、日本が国際世論をリードし東アジアの平和と安定を築き上げることができるかどうか。このことが就任間もない安倍総理の双肩にかかっている。情勢の変化を適切に判断し柔軟に行動することでこの国難を乗り切っていただきたい。私たち自民党の国会議員もそれを全力で支える覚悟だ。

 

 

講演の合間に平和公園で

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