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かみかわ陽子

活動報告国会活動

全国犯罪被害者の会(あすの会)ニューズ・レター

5 周年記念号 Vol.21 ( 2005.3.5 )に掲載

 

記念講演 「犯罪被害者等基本法について」

                  

衆議院議員 上川 陽子氏

 

昨年秋の臨時国会において、犯罪被害者等基本法が議員立法により成立しました。本法律の制定に取り組まれた上川陽子氏(自由民主党政務調査会・犯罪被害者等基本法PTリーダー)から、同法制定に至る経緯、本法律の枠組み・内容および制定過程における主要な議論等についてご講演いただきました。

政治主導による取り組み

 平成 15年7月、「あすの会」会員による39万名以上の街頭署名をもって、代表幹事が小泉首相に犯罪被害者の惨状を訴えたのを受け、小泉首相は犯罪被害者対策の検討を自民党と内閣に指示した。自民党では、政務調査会の「経済活動を支える民事・刑事の基本法制に関する小委員会」にプロジェクトチームを立ち上げ、被害者団体の参加も得て19回にわたり委員会を開催、同16年6月中間報告を取りまとめた。その際の提言は参議院選挙時のマニフェストにも盛り込まれ、自民党の公約として明確に位置づけられた。その後の法案審議に際しては、これまで政治が犯罪被害者問題に積極的に関わってこなかったことへの反省とともに、多くの国会議員が早急な対応の必要性に理解を示したこともあり、概ね円滑に制定まで漕ぎつけることができた。

 

被害者が置かれている状況への理解

 私自身、法案の検討にあたっては常に被害者の立場に立った判断に心がけたが、その過程で浮き彫りになったのは犯罪被害者の置かれている厳しい現実であった。とりわけ@被害者たちが刑事司法に対して抱く根深い不信感、A地域的・犯罪類型的な違いから、被害者への支援体制にはケースによって大きなバラツキがあること、B担当機関の手際の悪さや複数の関係機関が縦割りで関与する結果、二次被害が拡大したり救済に長い時間を要するケースも少なくないこと、などである。

 こうした問題を解決するには、犯罪被害者への十分な情報開示や刑事司法への参加実現、経済的・精神的支援策の充実、支援のための幅広い人的基盤の整備などが必要である。

基本法の制定が必要と判断

 被害者支援の法的枠組みとしては、当初、個別法の積み上げで十分ではないかとの意見もあった。しかし被害が身体・精神・経済面など広範囲に及び、関連省庁も多岐に亘るため、最終的には基本法を制定することで総合的・計画的に施策を実施していくことが必要との結論に落ち着いた。

 

基本法のポイント

 本法律は、前文および第1章ないし第3章までの30条からなる。このうち1条では本法律の目的を被害者の権利・利益の保護・実現である旨明記したが、とりわけ犯罪被害者の「権利」という2文字を盛り込んだ意義は大きい。このほか、6条では国民の責務を規定したが、これは我々一般の国民も二次被害の加害者になりうることを意識したためである。これに関連し、議論の過程ではマスコミの責務を明記した条項を盛り込むべしとの意見もあったが、国民の「知る権利」とのバランスを考慮し、最終的にはマスコミに限定した責務は特に盛り込まないこととなった。

基本法成立後の動き

  小泉首相は本年1月 21日、通常国会冒頭の所信表明演説において犯罪被害者問題を取り上げ、基本法の趣旨に則り被害者支援策の充実を図る旨明言した。この間、1月11日には内閣府に犯罪被害者等推進協議会を立ち上げるための準備室が発足した。今後は同準備室を中心に、法律施行に向けて基本計画の立案作業が進められる予定である。私どもはこうした取り組みがしっかり行われるよう、政治の立場から引き続き関与していく所存である。

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