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かみかわ陽子

活動報告国会活動

 

犯罪被害救援基金 「ふれあい」

2005年1月

「犯罪被害者等基本法」の制定に際しお世話になった(社)被害者支援都民センター事務局長の大久保恵美子さんが(財)犯罪被害救援基金の機関誌「ふれあい」(平成 17年1月新年号)に寄稿されていますのでご紹介します。

「犯罪被害者等基本法」に思う

 

● プロフィール
保健師として保健所に勤務してきた専門性を生かし、平成三年からボランティアとして被害者自助グループ「小さな家」を運営すると共に、犯罪被害者支援活動を行ってきた。
平成十二年四月、「犯罪被害者相談室」が発展的に改組し「(社)被害者支援都民センター」になったことを機に退職し、被害者支援に専念している。
現在、同センター事務局長。保健師。

 

◆ 被害者の視点で法案を


 日本では、犯罪者の権利は法律で保証され守られていますが、被害者の権利はほとんどなく、泣き寝入りせざるを得ない状況が長く続いてきました。どれだけ多くの被害者や遺族の人たちが苦しみと絶望の中でこの世を去っていったかを思う時、心穏やかではいられません。


 しかし、被害者や支援者たちが理不尽に放置される現状や法整備を必死に訴え続けてきた結果、心ある政治家の方々により超党派の議員立法でようやく「犯罪被害者等基本法」ができました。中心となり法案をまとめてくださった衆議院議員の上川陽子さんが法案作成当初から心掛けてくださったことは「自分は法律の専門家ではないので、とにかく被害者の声を聞き、最大限その声を生かし、被害者の視点に立った法案を作る」ということだったそうです。
 そのため、私たち「被害者支援都民センター」を始め「あすの会」等被害者関係5団体の代表は何回も小委員会に呼んでいただき、要望や意見を伝えることができました。法案作成にあたっては私たちの知らないところで、議員さんたちと関係省庁との間で熾烈なやりとりがあったことは想像に難くありません。しかし、負けずにあくまで被害者の立場に立ち、被害者の要望が網羅された立派な法案になっていることで議員さんたちの熱意と人間性が伝わってきて感無量です。

◆「犯罪被害者等基本法」とは


 この「犯罪被害者等基本法」では、犯罪被害者支援は国・地方公共団体・国民の責務とうたわれています。基本的な施策としては

@相談及び情報の提供
A損害賠償の請求についての援助等
B給付金の支給に係る制度の充実等
C保健医療サービス及び福祉サービスの提供
D安全の確保
E居住の安定
F雇用の安定
G刑事に関する手続きへの参加の機会を拡充するための制度の整備等

H保護、捜査、公判等の過程における配慮等
I国民の理解の増進等
J調査研究の推進等
K民間の団体に対する援助
L意見の反映及び透明性の確保等
 です。

今、ようやく法的スタートラインに立つことができました。これらの条文に関係省庁がどこまで肉付けをし、継ぎ目の無い真に被害者のためになる法律にしてくださるかどうか、関心を持って見守っていくことが重要だと思います。

◆ 支援体制の充実

  犯罪被害者への支援体制の充実度は、その国の社会の成熟度や文化のレベルを表すとも言われています。犯罪被害者支援は単に犯罪被害者を支援するだけではなく、弱い立場の人が堂々と発言し、その声を真摯に受け止め、変われる社会にすることでもあります。被害者に温かい社会は、次の世代にとっても安心で安全な、より住み良い社会であると思います。そのような社会に変えていくことは、今生きている私たち大人の役目だと思います。
 犯罪被害者が放置されている現状や支援の必要性は、関係機関や社会でもまだ十分に理解されているとは言えません。犯罪被害に遭えば110番通報のように、躊躇することなく被害者支援センターに連絡できることが普通にならなければなりません。そのためには、被害者だけでなく、関係者や社会からも信頼され支持される支援センターでなければなりません。私たちは、一日も早く、日本のどこに住んでいても同じような支援が提供できるように今後とも精一杯努力していきたいと思っています。

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